【全文掲載】佐藤健、初の白石組に「体内を汚して挑んだ」、鈴木亮平「綾野剛くんが羨ましかった」、9度目の音尾琢真は「呼ばれなくなる恐怖」

MC:ありがとうございました。鈴木亮平さん、いかがでしょうか?

鈴木:僕もこの仕事をやっていこうと決めた夜がありまして、なんとなく俳優をやりたいなと思いまして、東京の大学に行って演劇サークルに入ってみたんですよ。そこで、初日の本番が終わって、フィクションの世界から開放されて、阿佐ヶ谷の50人ぐらいしか入れない小さな劇場でやったんですけど、キャストが外に出て、お客さんが出てくるのを見送りしようと思ってたら、最初に出てきた人が感動して泣いてたんですよ。それを見て、一生の仕事にしようと思って。やっぱこれだって思ったんですよね。自分が何かをやったことで、人の心を動かしたっていう経験が今までなかったので、その夜は忘れられないですね。人生を変えた夜になったかなと。

白石:「フル・モンティ」じゃないの?

鈴木:「フル・モンティ」じゃないですよ(笑)。「フル・モンティ」っていう芝居もやって、大学の講堂で素っ裸になったこともあるんですけど。

松岡:下も!?

鈴木:ギリ穿いてた(笑)。

白石:男性ストリッパーの話しでね。それは鈴木亮平さんが企画、演出をした? 英語劇で?

鈴木:そうですね。

白石:当時から脱ぎたかった?

松岡:ん、仮面?

鈴木:違う違う違う(笑)。当時からとかやめてください(笑)。今回脱いでないから。脱ぐのが当たり前みたいに言わないでください(笑)。それも忘れられないですけど、学園祭だったんですよ。英語科だったので、英語劇をやるって言って、大使館の人が見に来るんですよ。「今年はどんなシェイクスピアが観られるんだろう」って、スーツの人が来てるんですよ。そしたら始まったのが男性ストリッパーの話でね。最後、5人みんなで脱ぐというのをやってましたけど(笑)。それで思い出したんですけど、最初の芝居でやった役が坂本龍馬でした。

MC:えーーー!?

音尾:「西郷さん」に飽き足らず、坂本龍馬役も狙ってるんですか!?

鈴木:飽き足らずって言い方、おかしいですから(笑)。

音尾:あんないい役をやっておきながら(笑)。

鈴木:たまたま、幕末の人をやってましたわ(笑)。

MC:運命ですね(笑)。ありがとうございました。佐藤さんは、どうでしょうか?

佐藤:現場での思い出深い『ひとよ』の話しで良いですか? やっぱり忘れられない夜がありまして、蔵之介さんに全力飛び蹴りをするという。

佐々木:蹴られたり殴られたり、ばっかりやねえ(笑)。

松岡:ヒヤヒヤしたなあ、あれ(笑)。

佐藤:忘れられないですね。台本にも書いてはあるんですけど、アクションシーンって巧妙なテクニックでカット割りだとか計算して作っていくもんなんですけど、そういうプランがなかったんですね。だから、あれはアクションシーンじゃないくて、ただの暴力なんですよ。それでも行くしかないので、蔵之介さんに「すいません、いくしかないので、よろしくお願いいたします」って言ったら快く「全然来て」と言っていただいて。全力でいかせていただいました。あのときは、ありがとうございました。

佐々木:心地よかったです(笑)。

白石:その数日前に、ご飯を食べながら、佐藤さんと話して「あのシーンどうしたらいいですか?」って、「こうしたい」って言ったら「あ〜。蔵之介さんが痛い思いするしかないんだなて…」ってつぶやいてましたけど(笑)。

佐藤:なんのごまかしもないので(笑)。

鈴木:当日も言ってたよ。「痛くするしかないんだよなあ…」って(笑)。

松岡:でもすごかったですよね? 殺陣の先生から一言あって、今の説明だけ?と思ったら、もう目の前を佐藤さんが飛んでいったんですよ(笑)。だから、「剣心〜!」って思いましたね。

佐藤:剣心、あんな雑な飛び蹴りしないから!

MC:美しかったですよ。一発OKだったんですか?

佐藤:一発でそこはOKを出していただいたんで良かったですけど。

松岡:身体が軽いっていいなあって思ったなあ。

音尾:泥臭い、良い蹴りでしたよ(笑)。

佐藤:ありがとうございます(笑)。

MC:ということで、ありがとうございました。それでは最後に、代表して白石監督と佐藤さんにご挨拶をいただきます。

白石:いろいろな思いを込めて作った映画です。家族の方がいろいろあるとは思いますけど、僕自身も作って、僕の家族はどうなってるのかなとか、電話してみようかなとか、いろんなことを思いました。受け止めかたはいろいろあるとは思いますけど、観終わってみなさん自身の家族のことを思い馳せていただければいいなと思います。本当に今日はありがとうございました。映画をぜひ応援してください。よろしくお願いいたします。

MC:ありがとうございました。最後に佐藤さん、お願いします。

佐藤:皆さん、本日はありがとうございました。僕も、この作品に入って、しばらく家族に連絡とってなかったなとか思ったので、元気かなあ、連絡してみようかなとか、なんでも良いんですけど、ご自分の唯一無二の存在ですので、家族のことを思い馳せる時間にしていただければ嬉しいです。本日はありがとうございました。

『ひとよ』
11月8日(金) 全国ロードショー
監督:白石和彌
原作:桑原裕子「ひとよ」
脚本:髙橋泉
出演:佐藤健 鈴木亮平 松岡茉優 音尾琢真 筒井真理子 浅利陽介 韓英恵 MEGUMI 大悟(千鳥) 佐々木蔵之介 田中裕子
配給:日活

【ストーリー】 どしゃぶりの雨降る夜に、タクシー会社を営む稲村家の母・こはる(田中裕子)は、愛した夫を殺めた。それが、最愛の子どもたち三兄妹の幸せと信じて。そして、こはるは、15年後の再会を子どもたちに誓い、家を去った。たった一晩で、その後の家族の運命を変えてしまった夜から、時は流れ、現在。次男・雄二(佐藤健)、長男・大樹(鈴木亮平)、長女・園子(松岡茉優)の三兄妹は、事件の日から抱えたこころの傷を隠したまま、大人になった。抗うことのできなかった別れ道から、時間が止まってしまった家族。そんな一家に、母・こはるは帰ってくる。15年前、母の切なる決断と残された子どもたち。皆が願った将来とは違ってしまった今、再会を果たした彼らが辿り着く先とは…。

©2019「ひとよ」製作委員会