『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』で知られる映画界の巨匠、フランシス・フォード・コッポラが、私財186億円(1億2000万ドル)を投じて完成させた最新作『メガロポリス』が、現在全国で絶賛公開中だ。構想40年、製作に14年という長い歳月を経て完成したこの歴史的プロジェクトは、SNSでも「映像美が圧巻」「まるで夢の中にいるよう」と話題沸騰中。そんな本作から、劇中の印象的なシーンを収めた本編映像がついに解禁された。
■人工衛星落下――衝撃とユーモアが交錯する象徴的シーン
公開された本編映像では、老朽化した旧ソ連の人工衛星が突如軌道を外れ、舞台となる近未来都市「ニューローマ」へと落下してくるという衝撃のシーンが描かれる。市長フランクリン・キケロ(ジャンカルロ・エスポジート)のもとに部下が駆け込み、衛星の落下進路が変更されたと報告。「どこに落ちるのか調べろ」と市長が指示を出すも、部下の返答に間髪入れず「遅いだろ」と鋭く返す一言が、重厚な物語の中にコッポラ監督らしいユーモアを感じさせる。
さらに、落下する衛星の光が街のビルに人影を映し出すという演劇的な演出も見どころの一つ。緻密に計算された構図と光の使い方が、コッポラならではの映像美を際立たせている。
▼本編映像
■ニューローマをめぐる理想と現実、対立と陰謀
物語の舞台は、21世紀のアメリカをローマ帝国になぞらえた架空都市・ニューローマ。富裕層と貧困層の格差が拡大し、社会は混迷を極める。そんな中、理想都市「メガロポリス」の建設を推し進める天才建築家カエサル・カティリナ(アダム・ドライバー)と、現状維持を望むキケロ市長は真っ向から衝突する。都市の未来をめぐる壮絶な対立に、カエサルの一族による陰謀も絡み、彼は絶体絶命の危機に追い込まれていく。
■現実を予見した脚本と“幻の構想”
本作の脚本は、2001年の同時多発テロ以前に執筆されていたが、老朽化したソ連の人工衛星が地上に落下するという描写が偶然にも現実の事件と重なり、撮影は一時中断を余儀なくされた。コッポラ監督は「脚本にあった破壊のショットが、実際の事件を予期したようだった」と語っており、彼の構想力の深さを感じさせるエピソードとなっている。
■作品情報
『メガロポリス』
絶賛公開中
監督・脚本・製作:フランシス・フォード・コッポラ
出演:アダム・ドライバー、ジャンカルロ・エスポジート、ナタリー・エマニュエル、オーブリー・プラザ、シャイア・ラブーフ、ジョン・ヴォイト、ローレンス・フィッシュバーン、タリア・シャイア、ジェイソン・シュワルツマン、ダスティン・ホフマン
2024年/アメリカ/英語/138分/カラー
原題:Megalopolis
配給:ハーク、松竹
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