ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロの鮮烈なデビュー作「遠い山なみの光」を、広瀬すず主演で、『ある男』で第46回日本アカデミー賞最優秀作品賞を含む最多8部門を受賞した石川慶が監督し映画化する『遠い山なみの光』が、2025年夏に公開される。このほど、追加キャストとして二階堂ふみの出演が発表された。
日本人の母とイギリス人の父を持ち、ロンドンで暮らすニキ。大学を中退し作家を目指す彼女は、執筆のため、異父姉の死以来足が遠のいていた実家を訪れる。母の悦子は、長崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきていたが、ニキは母の過去を何一つ聞いたことがない。夫と長女を亡くし、想い出の詰まった家で一人暮らしていた悦子は、ニキと数日間を共にする中で、最近よく見るという、ある「夢」について語り始める。それはまだ悦子が長崎で暮らしていた頃に知り合った、佐知子という女性と、その幼い娘の夢だった。
主人公の悦子を務めるのは、抜群の演技力と表現力で映画・ドラマと幅広く活躍する広瀬すず。追加キャストとして、悦子がまだ長崎にいた頃に出会った謎多き女性、幼い娘と暮らす佐知子役で二階堂ふみが出演することが発表された。イギリスで暮らす悦子の夢にたびたび登場するこの女性と悦子の間には、いったい何があったのか。二階堂ふみは、本作の出演に際し「この作品に参加させて頂き、改めて、当時の女性たちが何を抱えて生きていたのかを、登場人物を通じて感じていくような経験でした。石川監督はじめ素晴らしいスタッフの方々とご一緒できたこと、とても光栄に思います」と語り、石川組への初参加に喜びを滲ませた。また、石川監督も二階堂の出演について、「鮮烈な印象を残す必要もありながら、高い抽象度を求められる困難な役でしたが、二階堂さんの役に対する、そして映画全体に対する理解度には毎シーン驚かされました」と絶賛し、「二階堂さんが放つその異彩が、いかにこの映画を彩り豊かなものにしてくれているかを実感しています」と絶大な信頼を寄せている。
公開された場面写真では、広瀬演じる凛としたイメージの悦子と、二階堂演じるモダンな女性・佐知子のコントラストが際立つ。広瀬すずと二階堂ふみが、戦後混乱期の長崎に生きる対照的な2人の女性を繊細に演じる姿に、期待が高まる場面写真となっている。
■二階堂ふみ コメント
この作品に参加させて頂き、改めて、当時の女性たちが何を抱えて生きていたのかを、登場人物を通じて感じていくような経験でした。石川監督はじめ素晴らしいスタッフの方々とご一緒できたこと、とても光栄に思います。
■石川慶(監督) コメント
ネタバレになってしまうので、なかなか役の話ができないのがもどかしいのですが、二階堂さんに演じてもらった佐知子は、この映画の登場人物としても、この時代に生きた女性としてもひときわ異彩を放つ、非常に重要な役です。鮮烈な印象を残す必要もありながら、高い抽象度を求められる困難な役でしたが、二階堂さんの役に対する、そして映画全体に対する理解度には毎シーン驚かされました。今、編集室で、二階堂さんが放つその異彩が、いかにこの映画を彩り豊かなものにしてくれているかを実感しています。そしてなにより、広瀬すず、二階堂ふみという現代日本映画界の最高峰のふたりが、同じフレームにおさまっているのを見るだけでも、震えるような感動を覚えます。早く、みなさんとこの感動を共有できるよう、もう一息がんばります!
『遠い山なみの光』
2025年夏 全国ロードショー
監督・脚本・編集:石川慶
原作:カズオ・イシグロ「遠い山なみの光」
出演:広瀬すず 二階堂ふみ
配給:ギャガ
©『遠い山なみの光』製作委員会