直木賞作家・朝井リョウの同名連作短編小説を、『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』の河合優実主演で映画化する『少女は卒業しない』が、2023年2月23日より公開される。このほど、主題歌入り予告編とメインビジュアルがお披露目となり、本作を鑑賞した朝井よりコメントが寄せられた。
本作は、廃校が決まり、校舎の取り壊しを目前に控えたとある地方高校を舞台に、世界のすべてだった“学校”と“恋”にさよならを告げる4人の少女たちの卒業式までの2日間が描かれる。原作は、同世代のリアルな心情を鮮やかに描き出し、共感を呼ぶ作品を発表し続け『桐島、部活やめるってよ』や『何者』など映像化作品も数多の直木賞作家・朝井リョウが、2012年に発表した連作短編小説「少女は卒業しない」。発表当時、現役高校生からこれまでに「卒業」を経験した20代以上の大人世代まで多くの共感を呼んだ話題作が、10年の時を経て待望の映画化となる。
メインビジュアルでは卒業式を目前に控えた、まなみ(河合優実)、後藤(小野莉奈)、神田(小宮山莉渚)、作田(中井友望)の4人の少女たちがそれぞれに思いを寄せる相手とのひとときが切り取られている。桜満開の下、仲睦まじい姿を見せるまなみと恋人の駿(窪塚愛流)。卒業後離れ離れになることが決まっている後藤と寺田(宇佐卓真)、
幼なじみの森崎(佐藤緋美)と自転車の二人乗りをしながらの下校途中、どこか嬉しそうな表情の神田。坂口先生(藤原季節)の後ろ姿を静かに見つめる作田。“学校”と“恋”から卒業する少女たち、残された2日間にみせる彼女たちの瑞々しい表情が切り取られたビジュアルとなっている。
予告編では「明日取り壊されるこの学校とこの恋にさよならする」という河合優実のナレーションからはじまり、4人の少女それぞれの卒業の物語が語られていく。本映像で初公開となる20歳のシンガーソングライター・みゆなが手掛けた主題歌も、卒業の切なさと卒業後の新しい世界への期待感を感じさせる楽曲で後押しする。東京への進学が決まっている後藤と地元に残る寺田、もうすぐ離れ離れになるというのに微妙な空気が流れ口も聞けなくなっていた。本当は離れたくかった。素直になれないままこのまま卒業を迎えてしまうのか。クラスに居場所がないまま卒業を迎えようとしている作田。淡い恋心を抱いていた図書室の管理をする坂口先生に、今日も会いに行く。卒業式を目前にクラスメイトと話をしてみたいと思い始める作田、先生は卒業を前に変わろうとする作田の背中を押す。軽音楽部の部長・神田は幼馴染の森崎にひそかに思いを寄せている、森崎が率いるビジュアル系バンドの衣装が紛失し卒業式ライブができないかもしれないという危機に。そんななか神田にはだれにも知られたくない秘密があった。卒業ライブ当日、神田は大切にしていたその秘密と向き合うことにする。まなみは卒業生代表として答辞を読む。恋人の駿と手作りのお弁当を食べた日々ももうすぐ終わってしまう。「ずっとこのままがいいよな」と言う駿の言葉に「そうだね…」とどこか釈然としない返答をするまなみ。卒業式当日、“卒業生代表・山城まなみ”と呼ばれるがすぐに立ち上がることができない。舞台上に立ったまなみが流す涙の真相とは?この時間がいつまでも続けばいいと願う4人の少女たち。刻一刻と近づいてくる卒業。抗うことのできない別れを受け入れ、それぞれが秘めた想いを形にする…。今後のストーリー展開が気になる予告編が完成した。
■朝井リョウ(原作)コメント
鑑賞後、心底、このチームに製作していただけてよかった、と思いました。良質な映画を観たあとにしか得られないあの独特の幸福感を胸に劇場を出ると、普段は社会人の顔をしている関係者陣が皆同じように目をトロンとさせていたので、だよね、超よかったよね!とタメ口で話しかけそうになりました。自著が原作の映画をこんなにも褒めてしまうのは、非常に巧みで適切な改変のおかげで、原作者というより一人の観客という距離感で映画に臨めたからです。オリジナルのシーンが尽く素晴らしいこと、この題材でターゲットを選ばない作品に仕上げていただいたこと――沢山の有り難さを噛み締めています。この映画から旅立っていくキャストの方々の未来まで、楽しみになりました。
『少女は卒業しない』
2023年2月23日(木・祝)より、新宿シネマカリテ、渋谷シネクイントほか全国公開
監督・脚本:中川駿
原作:朝井リョウ『少女は卒業しない』(集英社文庫刊)
出演:河合優実 小野莉奈 小宮山莉渚 中井友望 窪塚愛流 佐藤緋美 宇佐卓真 藤原季節
配給:クロックワークス
【ストーリー】 今日、私はさよならする。世界のすべてだったこの“学校”と、“恋”と。廃校が決まり、校舎の取り壊しを目前に控えたとある地方高校、“最後の卒業式”までの2日間。別れの匂いに満ちた校舎で、世界のすべてだった“恋”にさよならを告げようとする4人の少女たち。抗うことのできない別れを受け入れ、それぞれが秘めた想いを形にする。ある少女は進路の違いで離れ離れになる彼氏に。ある少女は中学から片思いの同級生に。ある少女は密かに想いを寄せる先生に。しかし、卒業生代表の答辞を担当することになったまなみは、どうしても伝えられない彼への“想い”を抱えていた。
©朝井リョウ/集英社・2023映画「少女は卒業しない」製作委員会