予算・撮影日数など同条件で5人の俳優たちが25分以内のショートフィルムを制作し、世界から6,000本超のショートフィルムが集まる米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」(SSFF &ASIA)のグランプリ、ジョージ・ルーカスアワードを目指すWOWOWによる一大プロジェクトの第2弾「アクターズ・ショート・フィルム2」が、2022年2月6日より放送・配信される。このほど、永山瑛太が監督・脚本、役所広司が主演を務めるショートフィルム『ありがとう』のポスタービジュアルと場面写真がお披露目となり、追加キャストとして、橋本マナミと服部文祥が出演することが発表された。さらに、永山瑛太と役所広司が作品への思いなどを語った。
▲『ありがとう』ポスタービジュアル(縦ver.)
WOWOWが開局30周年を記念して行ったプロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム」。第1弾では磯村勇斗、柄本佑、白石隼也、津田健次郎、森山未來がそれぞれ監督を務め、一大プロジェクトとして各所から大きな注目を集めた。第2弾では、青柳翔、玉城ティナ、千葉雄大、永山瑛太、前田敦子と錚々たる豪華俳優陣5名が監督を務める。
『ありがとう』で役所広司が演じるのは、家族から離れ、死に場所を求めさまよう男。癒してくれるはずのマッサージ嬢からも逃げ出し、奥深い山へとはいっていく男は、そこで奇妙な狩猟者の若者に出会う…。男(役所広司)が立ち寄った風俗のマッサージ嬢に橋本マナミ、そして山奥で暮らす狩猟者の男にサバイバル登山家として知られる服部文祥を迎え、監督・永山瑛太自身も狩猟者の一人として劇中に登場する。
ポスタービジュアル(縦ver.)には、主人公の男の姿が収められる。どのような感情なのか、一概には汲み取れない表情だが、どこか心の奥に深い葛藤を抱えているかのようにみえる。顔には傷を負い、洋服は水に濡れており、一体彼の身に何があったのか?一度は生きることを諦めた男の行く末に想像が膨らむビジュアルに仕上がった。同作のティザー映像は、『アクターズ・ショート・フィルム2』番組公式SNSにて公開中だ。
▲『ありがとう』ポスタービジュアル(横ver.)
▲自殺を図ろうとする男のもとに、若い狩猟者(永山瑛太)がやってきて…
▲男はひょんなことから狩猟者たち(服部文祥、永山瑛太)と食卓を囲むことに
▲男(役所広司)が出会うマッサージ嬢(橋本マナミ)
■永山瑛太(監督・脚本) コメント
Q:本格的な監督業は本作が初かと思いますが、『ありがとう』が完成した今の率直なお気持ちを教えてください。
今年の3月頃から脚本を書き始めて、純粋にものづくりに向き合い、ロケハン、衣装合わせ、撮影、編集とすべての工程に携わらせて頂きました。そして、ようやく完成を迎えた今は達成感と感謝の気持ちでいっぱいですし、気分がとてもいいですね。『ありがとう』を手掛けるにあたって、自分の中には明確な答えがあった気はするのですが、それは何なんだろう、と分からないから映像化したかったんです。それがついさっき完成して、作品を通して「生きる」ということを自分自身でも確認したかったのかな、と少しだけ答えが見えてきた気がします。
Q:今回脚本も担当されていますが、どのようなところから作品の着想を得て、物語に落とし込んでいったのでしょうか。
素直にいま自分が一番撮りたいと思ったものを、初めてのショートフィルムで撮りたいなと思っていました。ただ俳優になる前から、遊び半分ですが兄や友達と映像を撮っていたことはあるんです。思い返すとその時から一貫して、死生観を描いた作品が多かったので、自分の中で繋がりはあるのかな、とは思います。
Q:主演の役所広司さんとの作品づくり、撮影はいかがでしたでしょうか。
この作品に関して、そしてこの男の生き様を描く時に、真っ先に思い浮かんだのが役所広司さんでした。役所さんに出演を断られたらこの作品を撮る意味は無いとも思っていたので、オファーを受けてくださったことは感謝しきれないですし、僕にとってとても大きなことでした。役柄や物語に関しては事前にお話ししましたが、役所さんは俳優としてそれ以上の要素を現場に持ってきてくださったと思います。そして、ディスカッションをしながら撮影していきましたが、もう役所さんがカメラの前にいるだけで、生きていた経験値や生き方すべてが全身から溢れ出ているんです。なので狡いかもしれませんが、ある程度は役所さんに委ねながら、僕はそこに生まれる空気感とリズムを大切にして撮影を進めていきました。
Q:特に注目していただきたいシーンはありますか。
もう全カットです。本当に我が子のような気持ちなので、全てが愛おしくてしょうがないです。
Q:本作品に込めた想いを含めて、視聴者へのメッセージをお願い致します。
素晴らしいキャスト・スタッフの皆さんと、自分が本当に撮りたかったものが撮れて個人的には大満足の仕上がりです。観て頂いた方それぞれが感じたことが全てだと思いますので、先入観をあまり持たず、まずはこの作品を楽しんで頂けたら嬉しいです。そして欲を言えば、観た後に作品の感想をどなたかと一緒に話し合って貰えれば、さらに嬉しいですね。
■役所広司(主演) コメント
Q:ご自身の監督作品『ガマの油』に出演なさった永山瑛太さんの監督作品へのご出演となりますが、監督と役者の立場が逆になった今回の撮影はいかがでしたでしょうか。
僕も前に監督をやったときに出演してもらった恩義がありましたし、ずっと何かの形で返せればいいなと思っていました。あれから10年以上経って、瑛太くんはとても素晴らしい俳優になり、彼が手掛けるショートフィルムとはどんなものだろうという興味心も強かったですが、この作品に参加できて良かったなと思っています。監督の瑛太くんは現場の温度感を感じながら自分の直観を大切にし、そして決断力もある。素晴らしかったです。
Q:今回どのように撮影に臨まれたのでしょうか。役所さんが考えた作品・役への想いなどあればお教えください。
今回演じた物語の主人公は、何の傷かは分からないが心にも体にも傷を負っていて、人生に迷いながら生きる実に不器用な男でした。台本は事前に読み込みましたが、あくまでも瑛太くんの頭の中のイメージを具現化するにあたってのメモのような役割のものだと思ったので、現場に入ってから順応していくことを大切に撮影に挑みました。このメモの中から何が生まれてくるか、そしてどれだけ臨機応変に対応できるかは、俳優として楽しみでもあり不安でもありましたが、瑛太くん・スタッフと話し合い、知恵を重ねることで、その場その場で信じた一番よいものを形にしていくことができたと思います。
Q:視聴者へのメッセージをお願い致します。
永山瑛太という、不思議でユニークで、素敵な俳優がこの『ありがとう』というショートフィルムを撮りました。まだ若い彼ですが、今まで生きてきた人生のすべてが、この作品に集約されていると思います。瑛太くんの頭の中を覗いたような面白さがあると思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。
「アクターズ・ショート・フィルム2」
2022年2月6日(日)午後5時より、WOWOWプライム・オンデマンドにて放送・配信
監督:青柳翔 玉城ティナ 千葉雄大 永山瑛太 前田敦子
出演:村上虹郎 琉花 奥平大兼 伊藤沙莉 千葉雄大 役所広司 柳英里紗 三浦貴大
『いくえにも。』
監督:青柳翔
脚本:山咲藍
出演:村上虹郎
【ストーリー】 線路脇にポツンと設置された電話ボックス。そのかたわらを通り過ぎた修平(村上虹郎)は、とぼとぼと家に帰って行く。家には父と母、妹が待っていて、週に一度の家族団欒でテーブルを囲もうとしていた。そこに、隣に引っ越してきた奇妙な夫婦が挨拶に訪れる。犬を抱いた妻はリビングに上がり込み、一家団欒を掻き回すような言動をしはじめるのだが…。
『物語』
監督・脚本:玉城ティナ
出演:琉花 奥平大兼
【ストーリー】 高層ビルに囲まれた都会の雑踏をひとり音楽を聴きながら歩いている少女(琉花)が、向かった先は、なにもない真っ白な部屋。その部屋には、ものいわぬ美少年(奥平大兼)が、ひとりベッドに横たわっている。そのベッドのかたわらで、少女は少年に向かって自分の装わない気持ちを問わず語りに語り出す。二人のスリリングな関係の行方は…。
『あんた』
監督・脚本:千葉雄大
出演:伊藤沙莉 千葉雄大
【ストーリー】 「あたしはいつでもあんたの味方だからね」筆を走らせるスナックの雇われママの男が思いを馳せるのは、キャンプを楽しむ女(伊藤沙莉)と男(千葉雄大)。恋人でもなく、友人というには軽すぎ、でも家族にはなれない。近くにいるのに遠く感じる。ひとりでも平気だと思っていたはずなのに込み上げる寂しさ。一生続くはずだった関係は、男の一言によって徐々に歪が生まれていき…二人の先にあるものとは…。
『ありがとう』
監督・脚本:永山瑛太
出演:役所広司
【ストーリー】 家族と離れ、死に場所を求めてひとり彷徨うおとこ(役所広司)。癒してくれるはずのマッサージ嬢からも逃げ出し、路上で盗んだ車で奥深い山へとはいっていく。車を乗り捨て、さらに森の奥へ歩み入るおとこは、そこで奇妙な若者に出会う。
『理解される体力』
監督:前田敦子
脚本:根本宗子
出演:柳英里紗 三浦貴大
【ストーリー】 小さな喫茶店の店中に響き渡る大声で泣くキエ(柳英里紗)と、やさしくそれを受け止めるユミ(三浦貴大)。キエは貪るように巨大なパフェをたべ、貪るように涙を流して子どもみたいに大声で泣いている。どうやら旦那に浮気されたらしいキエは、とどまることのない怒りと涙と食欲の激流に押し流されている。喫茶店の店長は、キエが大声で泣いているその理由を想像してキエにつたえるのだが…。