【全文掲載】岡田将生「僕の芝居は大丈夫だったのか…」、現場で演出家・西島秀俊の顔色をうかがっていた!?

世界中に熱狂的ファンを持つ作家・村上春樹が2013年に発表した短編小説を、『ハッピーアワー』、『寝ても覚めても』の濱口竜介監督が、西島秀俊主演、三浦透子共演で映画化し、第 74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で日本映画史上初となる脚本賞ほか全4冠に輝いた『ドライブ・マイ・カー』が、8月20日に公開初日を迎えた。このほど、同日にTOHOシネマズ 日比谷にて行われた初日舞台挨拶に、西島秀俊、岡田将生、濱口竜介監督が登壇した。ここでは、本イベントの模様を全文掲載でお届けする。

MC:それでは早速皆さんからまずは一言ずつご挨拶をいただきたいと思います。まずはじめにこの映画の監督になります濱口竜介監督です。

濱口:『ドライブ・マイ・カー』の監督を務めました濱口です。今日は本当にありがとうございます。皆さんに来ていただけて、本当に嬉しく思っています。今日はよろしくお願います。

MC:続きまして主演の西島秀俊さんです。

西島:皆さん、こんにちは。家福悠介役の西島秀俊です。こうやってたくさんの皆さんと直接お会いしてお話ができるのが、本当に嬉しいです。今日はよろしくお願いします。

MC:そして岡田将生さんです。

岡田:高槻耕史役をやらせていただきました岡田将生です。初日を迎えられて本当に嬉しく思っております。本日はどうぞよろしくお願いします。

MC:ついに映画が公開いたしました。濱口監督、改めて今日はどんなお気持ちでございましょうか。

濱口:本当に皆さんと一緒に頑張って作ったものなので、キャスト・スタッフ一同頑張って作って。村上春樹さんの物語なんですけれども、自分自身も監督をしながら素晴らしいものが撮れていると思っていたので、それが今こうして多くの方に観ていただける機会がようやくやってきて本当にうれしく思っています。

MC:西島さんは初日を迎えられていかがですか?

西島:本当に嬉しいです。撮影期間中にいったん撮影がストップしたり、撮影中はまるまる1日ずっと集中し続けて、スタッフ・キャストで撮影し続けた作品なので、初日を迎えられて皆さんに観ていただけて、本当に感無量です。

MC:岡田将生さんはいかがでしょうか?

岡田:僕も集中してこの作品に関わらせていただいたので、早く皆さんに観て頂きたいという気持ちがあったので、初日を迎えられて本当に嬉しいなと思っています。

MC:監督、この作品は旅をした気持ちになりますよね。しかもあの九つの言語、様々な国の方が出演されたということで物語が進みながら、映画の中でも演出そして舞台というものが出てくるわけですけれども、この九つの言語を入れることは初めから意図していたのですか?

濱口:そうですね、元々、家福悠介さんが演出家ということで、じゃあこの演出家がいったいどういうことをやるんだろうっていうことを考えたときに、この多言語演劇っていうものを思いつきまして。実のところこれはすごくシンプルに演技をするための方法になるんじゃないかなということをむしろ思っているというか、もちろん我々は言葉の意味でやりとりをしているんですけど、セリフの順番が決まっているような演劇っていうものの時には、映画の中でやったみたいにリハーサルをすれば違う言語でもやりとりができて、その時に相手の声とか、相手の身体とかをよく見たり聞いたりしていると、自然とその演技が出てくるんじゃないかなと、かえってシンプルに演技ができるんじゃないだろうかということは思っていました。すごくシンプルに演技をし合う人達を撮りたいということを全編を通して思っていたので、そのために出てきた設定という感じです。

MC:その言葉っていうことが、ある意味で五感で味わいながらも心で通じ合えるんだっていうのを作品を観て感じたんですけれども。

濱口:やる側は大変だったと思うので、役者さん皆さんのお力でそう見えてるんだと思います。

MC:そう言われた西島さん、様々な国の方々とも共演された現場はどんな体験がございましたか?

西島:監督が選ばれたキャストということで、まず共通点としてやっぱりすごくまっすぐな人が多かったです。作品に対してもそうだし演技に対してもそうだし、監督の演出に対しても100%信じて、その事に向かって行くっていう形が多かったので、すごく気持ちよく毎日演技をしてました。本当に労力だったり、実際時間をかけてリハーサルを繰り返していたんですけど、そのことを楽しむ人たちで、演技がどんどん豊かになっていくことを実感して楽しむ人たちが集まっていたので、実際毎日が豊かで喜びのある現場だったなと思っています。

MC:撮影の合間に皆さんで交流されたりしてたんですか?

西島:たぶん舞台をやっているチームは。僕は冷たい感じの演出家なので、あんまりコミュニケーションをとらないようにしてたんですけど(笑)。それでも、お互い同じ苦労を、本読みをずっとやっていて、通じ合っている部分があるので、何か繋がってるなっていうのはすごくありました。