TSUTAYAが主催する、2016年に行われた第2回TSUTAYA CREATORS’ PROGRAMで審査員特別賞を受賞した箱田優子による企画「ブルーアワー」を、夏帆主演、シム・ウンギョン共演で映画化した『ブルーアワーにぶっ飛ばす』が10月11日より公開される。このほど、9月30日にテアトル新宿にて完成披露プレミア上映イベントが行われ、キャストの夏帆、シム・ウンギョン、渡辺大知、黒田大輔、でんでん、そして箱田優子監督が登壇した。
満席の場内から割れんばかりの拍手で迎えられ、主人公・砂田を演じた夏帆は「去年の夏にこの映画の撮影をして、今年の夏はNYの映画祭に行ったりこの映画の宣伝をしたりして、いよいよ公開に向けて動き出したんだなと、とても嬉しいです。今日は楽しんでください」、砂田の“秘密の”友だち・清浦ことキヨを演じたシムは、少し緊張気味の様子だったが「みなさんにお会いするのを楽しみにしていました!」と明るく挨拶。そして本作が初監督の箱田優子監督は、「こんなに素晴らしいキャストで初映画を作ることができました。自画自賛ですが面白いです!新宿テアトルは通い詰めていた劇場なので、舞台の上からお客さんの顔を見ることができて泣きそう!」と今の心境を口にした。
公開が決定した際に「いま自分が一番やりたかった役にやっと巡り合えた」と話していた夏帆。砂田を演じたいと思った理由を聞かれると、「砂田が抱えている葛藤が、どこか自分自身と重なる部分があったんです。時間に対しての向き合い方やいろいろなことが、28歳の今と重なる部分があって、そんな今をぶつけられる役ができて本当に思い出深いです。初めて完成した映画を観て、あまりに等身大の自分すぎて最初は落ち込んだんですけど(笑)。だんだん今の自分を残して頂いて幸せだと思うようになりました」と胸の内を明かした。
続いて、初めての日本映画への出演について聞かれたシムは、「去年の真夏に撮影して、暑さに圧倒されました。一生分の汗が出たと思います(笑)。短い期間の撮影で、キャラクターに合った演技ができるか心配で監督と話をしたんですけど、現場に入ったら皆さんの作品に対する熱量が凄くて、楽しんで芝居ができました」と撮影への思い出を話し、砂田の夫役を演じた渡辺は、撮影での印象に残ったエピソードを「僕は初日の撮影だったんですけど、まだスタッフと距離感がつかめていない時に、助監督さんがぎっくり腰になったんです。歩けない!と大騒ぎしている中、夏帆さんがすぐ整体師さんを呼んだりして、『あーこの人が主役なら大丈夫だ』と思いました(笑)」と夏帆の男気を暴露。そして夏帆は、「実は初日に『この作品に懸けています!』と決意表明したんです!」と本作品に懸ける意気込みを語った。
また、茨城の実家にいる砂田の家族として出演する黒田は、茨城のロケでの出来事を「あー気持ちのいいところだなーと思いました」、「シムさんはいつも部屋の片隅にいて、ほわほわほわという感じだった。なんか妖精みたいな人だなと思っていました」とシムのプライベートの姿を吐露し、夏帆と黒田の父役・でんでんは、「僕は監督のお父さんに感じが似ているということで、勉強がてら会いに行ったんだよね。みんな暑い暑いって言っているけど、行ったら牛が1頭死んでたからね!!」とビックリ発言。「それでお父さんからトウモロコシの手ぬぐいを借りたんだよ(笑)。そこも注目してほしいです!」と話し、会場からは大きな笑いが起こった。
箱田監督は「皆さんが言っていたようなエピソードはいっぱいあるんですけど、撮影期間がとても短かったせいか、思い出を聞かれても頭真っ白で。でも、映画って素晴らしいなと思ったのが、夏帆ちゃんと作品に対して深める時間をたくさん取ってもらえて、だから観た時に『これ夏帆100』じゃん!って(笑)。夏帆感が凄く出ていて嬉しかった。良い時間を共有できたし、今しか撮れないものを突き詰めて撮れたからこそ、あの時のあの瞬間が映像に映し出すことができたんだなと思います」と感無量の様子。それを聞いた夏帆は、「夏帆が100%出てたから私が落ち込んだんですよ!」と突っ込み、笑いを誘った。
ここで突如、パンチングマシーンが登場。本作が「おとな」と呼ばれる年齢にさしかかりながらも“なにか満たされない”“不自由だ”ともやもや、イライラを抱えるアラサーの“おとなのイヤイヤ期”を描いていることにちなみ、渡辺は「このパンチングマシーン、やりづらいなー!」、ウンギョンは「悩みたくないー!」、最後に夏帆は「この映画が公開するのが寂しい!!」と叫び、思いをパンチングマシーンにぶつけた。
最後に、夏帆は「この話を頂いてから、どんな時もこの作品の事を考えていたような気がします。こうやって公開日が近づいていて、嬉しくもあり、複雑な心境です。初日に向けてもっと盛り上げていければと思いますので、ぜひ応援してください」とコメントし、本イベントを締めくくった。
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』
10月11日(金)より、テアトル新宿、ユーロスペースほか全国公開
監督・脚本:箱田優子
出演:夏帆 シム・ウンギョン 渡辺大知 黒田大輔 上杉美風 小野敦子 嶋田久作 伊藤沙莉 高山のえみ ユースケ・サンタマリア でんでん 南果歩
配給:ビターズ・エンド
【ストーリー】 30歳の自称売れっ子CMディレクター・砂田(夏帆)は、東京で日々仕事に明け暮れながらも満ち足りた日々を送っている…ように見えるが、口をひらけば悪態をつき心は荒みきっている。ある日、病気の祖母を見舞うため、砂田の嫌いな故郷に帰ることに。ついて来たのは、砂田が困った時には必ず現れる、自由で天真爛漫な秘密の友だち・清浦(シム・ウンギョン)。しかし、再会した家族の前では、都内で身に着けた砂田の理論武装は通用しない。やがて全てを剥がされた時、見ようとしなかった本当の自分が顔を出す…。そして、一日と始まりと終わりの間に一瞬だけおとずれる“ブルーアワー”が終わる時、清浦との別れが迫っていた…。
©2019『ブルーアワーにぶっ飛ばす』製作委員会