パンデミックの影響を受けて停滞していたハリウッドが、活気を取り戻しつつある。休業を余儀なくされていた全米の映画館が営業を再開したことで、待機中だった話題作が次々と公開され、ヒットを記録。そんな熱波は、ハリウッド大作の供給が限られていた日本にも広まろうとしている。東京五輪後の8月の映画館では久しぶりに、それらの、とりわけアクションの注目作が目白押し。待ちに待った、そんなド派手なエンタメ大作をチェックしておこう。(文/相馬学)
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』
8月6日(金) 全国公開
監督:ジャスティン・リン
出演:ヴィン・ディーゼル ミシェル・ロドリゲス ジョン・シナ シャーリーズ・セロン ジョーダナ・ブリュースター サン・カン
配給:東宝東和
まずは21世紀のカーアクションをリードし続ける人気シリーズ『ワイルド・スピード』の第9作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』。スピンオフ的な『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』が2019年前に劇場公開されたが、それを除けば、じつに4年ぶりのシリーズ最新作で、抜群の度胸とドライビングテクニックを誇る犯罪者ドムと彼のチームが再結集する。画期的なデジタル・アイテム回収のミッションを任されたドムの前に現われる、新たな敵。それは生き別れ、某国独裁者の息子と結託した彼の実弟ジェイコブだった!
ドムとジェイコブの過去の因縁をはじめとするドラマは、死んだと思われた仲間の復活もあり、物語は進行するほどヒートアップ。アクションの見せ場も凄まじく、地雷原を猛スピードで駆け抜ける荒野のチェイスから、建物を破壊して対向車を吹き飛ばす市街地での爆走、さらには車が成層圏を突き抜けて宇宙に飛び出す仰天のクライマックスまで、とにかく目が離せない。ヴィン・ディーゼルらおなじみのキャラに加え、WWFの元人気レスラー、ジョン・シナら豪華キャストの結集も見どころだが、ファンとしては3~6作目の監督を務め、キャラクターの群像を細やかに描いてシリーズの熱気を爆上げしたジャスティン・リン監督の復帰も嬉しいところだろう。
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』
8月13日(金) 全国公開
監督:ジェームズ・ガン
出演:マーゴット・ロビー イドリス・エルバ ジョン・シナ ジョエル・キナマン ダニエラ・メルキオール シルヴェスター・スタローン ヴィオラ・デイヴィス
配給:ワーナー・ブラザース映画
群像劇と言えば、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』にも注目しないわけにはいかない。DCコミックスのヴィランが総登場するアンチヒーローもの。2016年にも『スーサイド・スクワッド』のタイトルで映画化されているが、数名のキャラクターが再登場する以外はドラマ面でのつながりはない。重犯罪者の刑務所に収監されている札付きの悪党たちが招集され、減刑と引き換えに、未知の宇宙生物を駆使した独裁国の陰謀を阻止するという困難なミッションが下される。チームワークさえままならない、このならず者集団、通称スーサイド・スクワッドに勝算はあるのか!?
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズをヒットに導いたジェームズ・ガンが監督を務め、スクワッドの面々の型破りな活躍を活写。ガン作品らしくこちらはよりユーモラスで、悪党たちの傍若無人なふるまいにニヤリ。その顔ぶれも個性がトンがっており、DC作品ではおなじみの凶暴美女ハーレイ・クインを筆頭に、射撃の達人、ネズミを操るメンヘラ女子、人間社会に同化した人食いザメまで奇抜なキャラぞろい。そんな連中が力を合わせて、不可能な任務に挑むのだから、痛快この上ない。
『フリー・ガイ』
8月13日(金) 全国公開
監督:ショーン・レヴィ
出演:ライアン・レイノルズ ジョディ・カマー ジョー・キーリー タイカ・ワイティティ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
奇抜さという点では、ストーリー自体が奇抜な『フリー・ガイ』に期待。主人公ガイは人気の戦闘オンラインゲーム内のモブキャラで、毎日勤務先の銀行に出向いては強盗をやり過ごす日々。そんな彼が自我に目覚め、ゲーム内の女性戦士キャラに恋をした。しかし、ゲームの製作会社は新作の発表に合わせて、このゲームをシャットダウンしようとしていた。ガイは、この危機を乗り切ることができるのか?
たいした個性も設定されていない、ごくフツーのゲームキャラクターを主人公に据えるというアイデアだけで面白いが、残酷な面もあるアクションゲームの中で、あくまで善人であろうとするそんな彼のキャラクターも味。『デッドプール』シリーズで世界中の人気者となったライアン・レイノルズが、ゲーム内でどんどん成長していく主人公を演じる。『ナイト・ミュージアム』のショーン・レヴィ監督による、現実とデジタル世界をクロスさせたファンタジー演出にも注目。
『スペース・プレイヤーズ』
8月27日(金) 全国公開
監督:マルコム・D・リー
出演:レブロン・ジェームズ ドン・チードル セドリック・ジョー ソネクア・マーティン=グリーン ゼンデイヤ
配給:ワーナー・ブラザース映画
ふたつの世界がクロスオーバーするファンタジー系作品では『スペース・プレイヤーズ』も見逃せない。NBAのスーパースター、レブロン・ジェームズが本人役で主演を務め、バックス・バニーらアニメキャラクターとバスケ・チームを組み、デジタル・ワールドを乗っ取ろうとする巨悪に立ち向かう。
ジェームズのバスケットボールの妙技が楽しめるうえに、彼の超人的なプレーに息を合わせることができるアニメ・キャラとの“共演”も見どころ。バットマンやスーパーマン、ジョーカーに、『マトリックス』『IT/イット』『時計じかけのオレンジ』などのワーナー・ブラザース映画の人気キャラクターも登場し、デジタル世界のアクションを賑やかに盛り立てる。
いずれもスケールや独創性で抜きんでた、ハリウッド大作らしいつくり。真夏の暑さを忘れさせ、熱血的なアツさを提供し、爽快なラストへと導く。感染症対策を行ないつつ、この興奮をスクリーンで体感してみてはどうだろう。
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