星野源主演『引っ越し大名!』公開記念、絶対観るべき 笑って泣けるコミカル時代劇3選!

生涯に7度も国替えをさせられ、“引っ越し大名”とあだ名された実在の大名・松平直矩をモチーフにした土橋章宏の時代小説「引っ越し大名三千里」を星野源主演で映画化。物語は、藩主が姫路(兵庫)から日田(大分)への国替えを言い渡されたことを機に“引っ越し奉行”に任命されてしまった書庫版の片桐春之介(星野)の活躍を描くもの。本ばかり読んで暮らしていた引きこもり侍・春之介が、幼馴染や前任の引っ越し大名の娘に助けられながら、知恵を絞って移動人数10,000人、距離600キロ、予算なし、失敗すれば即切腹!の、超難関プロジェクトに挑む。嫌だ嫌だと駄々をこねながらも、あの手この手を考え突き進んでいく主人公と、彼を取り巻く濃ゆ〜いキャラ達の奮闘に、笑って泣いて、手に汗握る!? 痛快時代劇だ。

今回はそんな本作にちなみ、気軽に見られる3つのコミカル時代劇を紹介。おじいちゃん、おばあちゃんが観るものだというイメージがまだまだ強い時代劇。だからこそ、ぜひ若者を含む多くの人に観てもらいたい! 最近の時代劇、本当に、面白いです。

『のぼうの城』(’12)

頼りな〜い城代が2万の兵に喧嘩を売る!?

『引っ越し大名!』を手がけた犬童一心監督作。天下統一を目指す豊臣秀吉と敵対する北条氏の本拠・小田原城を守る支城の1つ、忍城。その城主の従兄弟で、城代を務める成田長親(野村萬斎)が、総勢500人の軍勢で石田三成率いる2万の兵を迎え撃つさまを描いたスペクタクル時代劇。農民たちから「でくのぼう」をもじり「のぼう様」と親しみを込めて呼ばれる長親が、誰がどう考えても勝ち目のない戦を受けてしまったことから、前代未聞の籠城戦が幕をあける。のらりくらりと頼りないように見えて、実は人格者にして戦略家(!?)でもあるのぼうが、地の利、人の利を生かし、奇想天外な作戦で目を見張るような善戦を繰り広げていく様は圧巻。のぼうはもちろん、彼を取り巻く少々ぶっ飛んだ家臣たち。さらにはのぼうを慕い、共に戦おうと奮起する農民たちの活躍にも注目だ。

『超高速!参勤交代』(’14)

侍たちのなりふり構わぬ激走を見よ!

『引っ越し大名!』原作・脚本の土橋章宏が、同じく原作と脚本を務めた傑作時代劇。悪徳老中・松平信祝(陣内孝則)から藩に隠し金山があると疑われたことから、通常8日かかる参勤交代を5日でやり遂げよと命じられた小藩・湯長谷藩の藩士たちが、藩の存続を掛け一致団結してピンチを乗り越えていく姿を追う。資金も人も少ない中、藩主・内藤政醇(佐々木蔵之介)と家臣たちは、少人数で山中を走り抜け、幕府の監視のある宿場町では日雇いで人を集め、大名行列を組むことを画策。信祝が放った刺客に追われながらも必死に江戸を目指す姿が熱い! 六角精児、西村雅彦(現:西村まさ彦)といった名バイプレイヤーたちが家臣を怪演し、笑いどころではまさに体を張った演技で観客を沸かせる。さらに、仲間との絆や恋物語など、見どころ満載。続編『超高速! 参勤交代 リターンズ』も、しっかりパワーアップした内容で楽しませてくれるので、併せてどうぞ。

『殿、利息でござる』(’16)

貧乏町人たちが命がけの銭集めに奔走

仙台藩の宿場町吉岡宿を舞台に、年貢の取り立てや労役で疲弊した町を救うため、千両もの大金を用意して藩に金を貸し、その利息を取るという壮大な計画を立ち上げた町民たちの奮闘を描く。現代にして約3億円もの大金=千両をどうやって集めるのか。搾取される側からする側へ、という悲願の行方から目が離せない! 町をどうにかしたいと考える造り酒屋の主人・十三郎を演じる阿部サダヲ、計画を思いつく張本人・篤平治を演じる瑛太だけでなく、妻夫木聡や寺脇康文、千葉雄大など、バラエティー豊かな役者陣が、一癖も二癖もあるようでいて、実は全員いいヤツという味のあるキャラをそれぞれ好演。一見コメディーちっくなものの、人のため町のためにと私財を投げ打ち、身を削って奮闘する彼らの姿に思わず胸が熱くなる。フィギュアスケーターの羽生結弦が藩主・伊達重村を演じ、貴重な役者姿を見せているのも必見!

(文:深田尚子)

『引っ越し大名!』
8月30日(金)全国公開
監督:犬童一心
原作・脚本:土橋章宏「引っ越し大名三千里」(ハルキ文庫刊)
主題歌:ユニコーン「でんでん」(作詞:川西幸一 作詞・作曲:奥田民生 Ki/oon Music)
出演:星野源 高橋一生 高畑充希 小澤征悦 濱田岳 西村まさ彦 松重豊 及川光博 富田靖子 山内圭哉 丘みどり 正名僕蔵 飯尾和樹 中村靖日 斉藤暁 岡山天音 松岡広大 和田聰宏 鳥越壮真 矢野聖人 向井理
配給:松竹

【ストーリー】 姫路藩書庫番の片桐春之介(星野源)は、人と話すのが苦手で、いつも書庫にこもりっきりで、周囲から「かたつむり」とあだ名される引きこもり侍。あるとき、藩主の松平直矩(なおのり)(及川光博)は、幕府から国替え(引っ越し)を言い渡される。行先は遠く離れた豊後(大分県)の日田。藩まるごと1万人の引っ越しという、参勤交代をはるかに上回る費用と労力が必要な一大事業。これを成し遂げるには、引っ越し奉行の手腕にかかっている。お国最大のピンチに、いつも本ばかり読んでいるのだから引っ越しの知識があるだろうと、春之介に白羽の矢が立つことに。国替えの減封による人減らし。無理難題とも言える大役に怖気づく春之介だったが、幼馴染で武芸の達人・鷹村源右衛門(高橋一生)の説得もあり、嫌々引き受ける羽目になる。しかし、引っ越しの経験がない春之介は、どこから手をつけて良いか見当がつかない。そこで、前任の引っ越し奉行の娘である於蘭(高畑充希)に助けを借りることに。こうして源右衛門たち仲間の協力や於蘭の厳しい引っ越し指南に助けられて引っ越しの準備が始まった!果たして春之介はこの一世一代のプロジェクトを知恵と工夫で無事に成し遂げ、国を救うとができるのだろうか!?

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