200年にわたり愛され続けてきたゴシック小説の金字塔「フランケンシュタイン」を生み出した作家メアリー・シェリーの人生を、エル・ファニング主演で映画化した『メアリーの総て』が12月15日より公開となる。このほど、各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられ、併せて画家・ヒグチユウコが本作をイメージして描き下ろしたオリジナルイラストがお披露目となった。
「高慢と偏見」のジェーン・オースティン、「ジェーン・エア」のシャーロット・ブロンテと並び、イギリス文学史に名を残す女流作家メアリー・シェリー。本作は、19世紀のイギリスを舞台に、これまでヴェールに包まれてきた、彼女の波乱に満ちた人生を初めて映画化した。奇しくも、今年は「フランケンシュタイン」出版から200周年の節目の年である。
メアリーを演じるのは、『マレフィセント』、『パーティーで女の子に話しかけるには』、『ネオン・デーモン』などの話題作・異色作に立て続けに出演するエル・ファニング。このほか、無神論者で自由主義、奔放に生きてメアリーを創作へと“追い込む”詩人のパーシー・シェリー役に『ノア 約束の舟』のダグラス・ブース、異母妹のクレア役に『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』『マイ・プレシャス・リスト』のベル・パウリー。監督は、長編映画デビュー作となる『少女は自転車にのって』で第86回アカデミー賞外国語映画賞に出品され、各国の批評家から絶賛を浴びた、サウジアラビア初の女性監督ハイファ・アル=マンスールが務める。
著名人 絶賛コメント
■窪美澄(小説家)
女性が自分の名前で本を出すということ。その自由を獲得するために何人のメアリーがいたのだろう。自分だけの声(物語)を見つけたメアリーはどこまでも強く、美しい。
■俵万智(歌人)
創作は、あらゆる負の感情をプラスに変える魔法。深すぎる絶望が、希望になる瞬間を見ました。
■山崎ナオコーラ(作家)
苦難が続いたあとの執筆シーンで、「あ、書けた」と声が出た。出版交渉では「若い女性のテーマではない」と何度も断られるが、性別は関係ない、と突き進むメアリー。出版は、革命だ。
■幾原邦彦(アニメーション監督)
これはゴシック革命だ。情熱にまかせるまま、進んでみる。愚かな恋と絶望から、それは生まれる。あまねくアーティスト、クリエイター志望者は勇気を得るだろう。
■柚木麻子(作家)
怪物よりも百倍怖いのは、女の子の未来を食い潰す、偏見、差別、男の身勝手な欲望だとわかる。どんなに傷つけられたとしても、「心の声」に耳を澄まして、バラバラになった身体をつなぎあわせよう。
■柴田よしき(作家)
この激しさ、強さ、美しさに圧倒された!前作で、抑圧の下でもしなやかに成長する少女の姿を見せてくれた監督が、今度は、最もおぞましくかつ切ない怪物を生み出した女性の、苛酷に真摯に人生に立ち向かう姿を描いた。本作には作家としての芯を揺すぶられる。
■姫野カオルコ(小説家)
これは〝昔”の話ではない。〝今”の話だ。頭ごなしに否定されて暮らす人たちが今も世界中にいる。その一例としてのメアリーと、そして彼女の妹の物語は、現代の人間こそを惹きつける。
■菊地秀行(作家)
孤独と悲しみと絶望――。不幸が傑作を生むとは限らないが、「フランケンシュタイン」はそこから生まれた文学的傑作であった。それを教えてくれるこの映画も同じだ。
■皆川博子(作家)
女性は、作者としての名さえ消されかねない時代。自由恋愛は男の身勝手な弁に過ぎない。<怪物>は、メアリーの壮絶な孤独の結晶であった。画面の色調と構図の美にも惹かれた。
■嶽本野ばら(作家)
バイロンの警句より透徹で、シェリーの賛歌よりも気高き熱情よ!真の革命は悉く女が成し遂げる。メアリーが創造したものは怪物ではなく、新しい人間の魂だったのだ。
■はらだ有彩(テキストレーター)
怪物を生むことも、怪物に共感することも、とても苦しい。この物語はハッピーエンドではないのかもしれない。だけど決して明るくはないものが、希望と理想になることもある。
■宇野亞喜良(イラストレータ)
これが百年以上前の話だから、面白い。現代人には全ての事象が新鮮である。リアリズムで描くロマネスクの世界。
■ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
200 年前の保守的なイギリスで奔放に生き、18 歳で文学の意欲作「フランケンシュタイン」を生んだメアリー、エル・ファニングの静かに燃える演技に拍手!
■ヒグチユウコ(画家)
あの怪物のかなしみは彼女自身のかなしみ。孤独も。
■黒色すみれ ゆか(ネオクラシックユニット)
凶暴で怖いばかりの存在だと思っていたフランケンシュタインの怪物。物語を生み出した 18 歳の少女は一人の恋人を愛し、愛されたかった、ごく普通の女の子。怪物が泣くとき、彼女もまた裏切られ泣いていた。その姿が重なるとき、この灰色の怪物に対してとてつもない温もりと親近感を覚えずにはいられない。
■ヴィヴィアン佐藤(ドラァグクイーン・美術家)
劇中エル・ファニングが自筆でフランケンシュタインを執筆するシーンがあるわ。自筆で書く行為とはそこに「何ものか」を宿らせる儀式。ファニングとメアリーが本当に重なり合う名シーン!
『メアリーの総て』
12月15日(土) シネスイッチ銀座、シネマカリテほか全国順次ロードショー
監督:ハイファ・アル=マンスール
出演:エル・ファニング ダグラス・ブース ベル・パウリー トム・スターリッジ
配給:ギャガ
【ストーリー】 19世紀イギリス。小説家を夢見るメアリー(エル・ファニング)は“異端の天才”と噂される、妻子ある詩人パーシー・シェリー(ダグラス・ブース)と出会う。互いの才能に強く惹かれあった二人は、情熱に身を任せ、駆け落ちする。愛と放蕩の日々は束の間、メアリーに襲い掛かる数々の悲劇。失意のメアリーはある日、夫と共に滞在していた、悪名高い詩人・バイロン卿(トム・スターリッジ)の別荘で「皆で一つずつ怪奇談を書いて披露しよう」と持ちかけられる。深い哀しみと喪失に打ちひしがれる彼女の中で、何かが生まれようとしていた―。
© Parallel Films (Storm) Limited / Juliette Films SA / Parallel (Storm) Limited / The British Film Institute 2017