松坂桃李「初めてのドラマはバーター」、松岡茉優、安藤サクラの名演に「悔しいと思った」「第28回映画祭 TAMA CINEMA FORUM」第10回TAMA映画賞授賞式レポート

1991年より毎年11月に開催され、今年で28回目となる市民手作りの映画祭「第28回映画祭 TAMA CINEMA FORUM」が、11月17日から11月25日にパルテノン多摩ほかにて開催される。その初日、パルテノン多摩 大ホールにて、第10回TAMA映画賞授賞式が行われ、受賞者の松坂桃李、松岡茉優、深川麻衣、伊藤沙莉、吉沢亮、吉村界人、山﨑努、今泉力哉監督、三宅唱監督、沖田修一監督、『カメラを止めるな!』スタッフ&キャストらが登壇した。

『孤狼の血』、『娼年』、『不能犯』、『彼女がその名を知らない鳥たち』など、全く異なる境遇の若者を演じ分け、最優秀男優賞を受賞した松坂。本年度最も心に残った男優に選ばれたことについて、「本当に嬉しく思っております。ありがとうございます」と喜びを伝えた。今年で役者10年目という松坂は「初めてドラマが決まった時、チーフマネージャーに『バーターだから』と言われて」と、同じ事務所の人気タレントの力を使ってドラマに出してもらったことを明かし、「2年目に『今年、結果を出さないと終わり』と言われ、3年目に、『ここで結果を出さないと本当におしまい』と言われ(笑)。二人三脚でやってきたチーフマネージャーさんから、精神的に追い詰められ、おかげでメンタルが強くなりました(笑)」と、辛い話を笑いに変えて会場を爆笑させた。「この10年で素晴らしい作品や共演者と出会えたのは、チーフマネージャーのおかげ。本当に感謝しています」と、受けた恩を少しずつ返していきたいという抱負を述べた。

『勝手にふるえてろ』、『万引き家族』、『ちはやふる -結び-』で最優秀女優賞に輝いた松岡。受賞の喜びを伝えつつも、「もし、この賞が一名しか受賞できなければ、私は確実にここにはおりません。完全なる二位」とコメント。そして、松岡と同じ賞を受賞した安藤サクラが、『万引き家族』で見せた演技について「悔しいと思った。これは2年前にこの映画祭で新人女優賞をいただいてからの成長。それまでの自分であれば、このシーンを見ても感動しただけだった。サクラさんに追いつき、追い越したいと思えるようになったのは、ここで認めてもらったから」と、熱き思いを語った。

本年度最も飛躍した女優として最優秀新進女優賞を受賞した深川。『パンとバスと2度目のハツコイ』で映画初出演にして初主演したこともあり、「自分にとってすごく思い入れのある作品。受賞させていただき、本当に信じられないくらい嬉しい気持ち」とニッコリ。

『榎田貿易堂』、『寝ても覚めても』に出演し、同賞に選ばれた伊藤沙莉は「15年間この世界にいて、心底悔しいこと、傷つくこともありました。こうやって誰かに認めてもらったりするのは、本当に幸せなこと」と目に涙を潤ませながら感謝の言葉を述べた。

『リバーズ・エッジ』『猫は抱くもの』に出演し、本年度最も飛躍した男優として最優秀新進男優に選ばれた吉沢。「賞をもらうのは初めて。映画を愛する人たちからいただけたことを嬉しく思います」と述べつつ、「三年前から映画を中心にやっていきたいという話をしまして、現場で出会った共演者やスタッフさんとの出会いが、この賞を導いてくれた」と、周りの関係者に感謝を伝えた。今年公開した映画が8本あったという吉沢は「どの役も違うタイプをやらせていただいて、楽しい年だった」とコメント。今後やってみたい役については「超普通な男」と答えて、会場を驚かせていた。

『モリのいる場所』、『悪魔』に出演し、同賞に選ばれた吉村は「僕みたいなものが、こういう賞をいただいて、テンパってます。すいません本当に」と何度謝り、会場を爆笑させていた。

なお、最優秀作品賞には是枝裕和監督作『万引き家族』、濱口竜介監督作『寝ても覚めても』が選ばれた。

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■「第28回映画祭 TAMA CINEMA FORUM」開催概要
会期:11月17日(土)~11月25日(日)※19日(月)は休映
会場:パルテノン多摩大ホール、小ホール(多摩センター)/ヴィータホール(聖蹟桜ヶ丘)/ベルブホール(永山)
主催:TAMA映画フォーラム実行委員会