AKIRAの指揮で大合唱!大森南朋「東京ドームの時より格好良い!」『この道』完成披露試写会 レポート

天才詩人・北原白秋の波乱に満ちた半生を、秀才音楽家・山田耕筰との友情とともに描き出す映画『この道』が、2019年1月11日に公開される。このほど、11月11日にTOHOシネマズ 日比谷にて完成披露試写会が行われ、キャストの大森南朋、AKIRA、貫地谷しほり、松本若菜、羽田美智子、佐々部清監督が登壇した。

本作で主演を務め、北原白秋を演じた大森は「今日はありがとうございます。皆さん映画を観ていただいた後だと思いますが、白秋をあんな風に演じた自分がどんな顔をして出ていけばいいかわからなかったです(笑)」と少し照れながら話し、同じく主演で山田耕筰を演じたAKIRAは「本日はありがとうございます。日本の歌曲を築いた偉大な大先生を演じることができて恐縮でしたが、精一杯やらせていただきました」と会場へ集まった観客へ述べた。

白秋の三番目の妻・菊子をを演じた貫地谷は「私は今日初めてこの劇場に来たんですが、広くて見やすそうで素敵な劇場ですね」、白秋の最初の妻となるソフィーこと松下俊子を演じた松本は「秋晴れが素晴らしい日ですね。今日は皆さんと素敵なひと時を過ごせたらと思います」と挨拶。詩人としての白秋の才能を評価し支えた与謝野晶子を演じた羽田は「北原白秋さん、山田耕筰さんお二人のお名前こそ知ってはいたんですが、どんな人だったのかというのをこの作品に関わるまで案外知りませんでした。数々の歌を作ったお二人に友情があったことも初めて知りましたし、歌が生まれたその背景も描かれていて、この時代を知ることができる映画だと思いました」とコメント。続けて、「私の演じた与謝野晶子は、略奪愛の末、純愛を貫き12人の子供を産み育てる芯のある女性でした。映画のパンフレットに本物の皆さんのお写真があるのですが、俳優陣の皆さんのお顔がとても似ているんですよ。先日EXILEさんのライブへ行かせていただいた際も、AKIRAさんが踊っている姿は、耕筰さんが踊っているようにしか見えなかったです」と作品や自身の役どころ、共演者とのエピソードについても語った。さらに、本作を手掛けた佐々部監督より「今日初めて一般の方に映画を観ていただき少し緊張していますが、今日久しぶりにみんなに会えてよかったです。こんなにたくさんの方に見てもらえて嬉しいです」と挨拶した。

誰もが耳にしたことのある童謡を、この世に送り出した二人の半生を描いた本作。北原白秋を演じた大森は「やっぱり教科書で見ていた偉人なので、失礼のないように演じなければいけないと思ったんですけど、台本を読んだらだいぶ失礼な状況になっていたので、これは遺族の方に不満に思われないか心配でしたが、思い切ってやらせていただきました」、山田耕筰を演じたAKIRAは「今年は童謡誕生100年で、この映画に携わることができ光栄でした。何か縁を感じましたし、全力でやらせていただきました。僕が今回演じた耕筰さんは生真面目な方で、白秋さんとコントラストをつけているような感じでしたが、実際の耕筰さんは酒豪だったり、何度も結婚をされている人で、そんな耕筰さんも演じてみたかったなと思います」とそれぞれ本作のオファーを受けた際の気持ちを語った。

撮影が行われたのは今年2月。特に苦労したシーンを聞かれ、「とにかく寒かったです。季節も夏の設定だったので、吐く息が白くなっちゃいけなくて、氷を口に入れてからセリフを話したりしていました」と過酷な撮影を振り返る大森。AKIRAは「僕は大森さんとの二人芝居が多かったので、リードしていただきました。個人的には60代の耕筰さんを演じた時に、頭を丸めた特殊メイクをして指揮に臨んだのですが、初めは合唱団の学生の誰にも僕だと気づかれず…。だんだんみんな気づいて笑っていましたね(笑)」と当時のエピソードを披露し、さらに「京都での撮影の合間、大森さんとカラオケに行って『この道』を熱唱しました。大森さんもバンドをやっているので、楽しませてもらいました」と撮影中の思い出を語った。

献身的に白秋を支える三番目の妻を演じた貫地谷は「関東大震災のシーンの撮影の時、セットの作りがアナログで、スタッフさんが手で物を倒したりしていたのですが、そのタイミングを合わせたり、現場には赤ちゃんもいたりしたので大変でした。大森さんとは、同じ作品に出演したことはありましたが、ちゃんと目を合わせて一緒にお芝居をさせていただくのは今回が初めてでした。私の演じた菊子が白秋に怒るシーンがあるのですが、その度に大森さんがしゅんとされるので、その様子がとても可愛らしいなと思いながら演じていました」と演じた役と大森との共演について語った。

一方、白秋が姦通罪で逮捕されるきっかけとなる松下俊子を演じた松本は「撮影に入る前から、北原白秋を作った人間はソフィーだと周りの人達から言われていてプレッシャーでした。ソフィーと白秋はそこに生きているようで存在しない、そんな不思議な感覚で演じてほしいと監督に言われ、とても難しいなと悩みながら演じていましたが、打ち上げの時に監督とその時の話をしていたら、『僕、そんなこと言ったっけ?』と監督は覚えていらっしゃらなくて…(笑)。でも楽しくやらせていただきました」と佐々部監督とのエピソードを明かした。

白秋が信頼を寄せる与謝野晶子を演じた羽田は、「白秋さんの色気は女性皆さんに向けられる優しさからくるのかなと思います。そんな白秋さんの優しさが勘違いされやすいんだよねと監督とも話していました。晶子と白秋は姉と弟のような関係でありながらも、もしかしたら二人の間にも何かあったんじゃないかと思わせるような、男女の関係にも、姉弟にも見えるようなことを意識して撮りました」と役に対する思いを語り、白秋のような男性については「白秋さんは、女性が放っておけなくなる要素が満載な人なんです。そんな人が近くにいたらどうしても構っちゃいますからね、そばにいたら危険ですね(笑) 」とその魅力を語った。

そして、佐々部監督からは「まず貫地谷さんと羽田さんは以前にもご一緒したことがあったので、二人の演じ方は分かっていたのですが、大森さんとAKIRAさんとは初めてだったので、最初に少し、大森さんをもっとやんちゃで、それでいて色っぽい白秋の雰囲気に寄せ、AKIRAさんにはピアノやバイオリンを弾けだの、指揮もやれだの、特殊メイクもやれだの、本当に色んな事をぶつけたのですが、何でも応えてくれました。この二人が組めば映画ができるなと思ったので、現場ではほとんど僕から何か言うことはなく、お二人にお任せ状態でした。松本さんは僕が思っていたよりもずっと色っぽかったです。撮影の期間が短かったので、僕よりもスタッフが大変そうでした」と大森やAKIRAをはじめとした豪華俳優陣との映画作りと作品に込めた思いを語った。

ここで、北原白秋と山田耕筰が作詞作曲した校歌を学校創立より90年間歌い継いでいるという宝仙学園高等学校女子部の総勢39名が登場し、校歌を披露。歌を聴いた大森は「久しぶりに若い人達のパワーを目の当たりにして圧倒されました」と感想を語り、AKIRAも「心が洗われるような気分です」と、白秋と耕筰が作った美しい音色を心地よいハーモニーで歌い上げた学生たちを賞賛し、会場からも盛大な拍手が送られた。

そして、劇中で力強い指揮を魅せたAKIRAが指揮を披露し、会場の観客と「この道」を大合唱。長い間日本で歌い継がれてきた「この道」が大勢で歌われ、会場はあたたかい空気に包まれた。AKIRAの指揮と会場の歌声を聴いた大森は「緊張すると言っていた割には堂々とされていて、東京ドームの時より格好良かったです!」と感想を語り、AKIRAは「東京ドームより緊張しました(笑)。合唱団の皆さんがリードしてくれました。ありがとうございました」と大人数を前に指揮をした感想を話した。

最後に、大森より「この作品は、若い人からご年配の方まで楽しんでいただける作品です。どうかいろんな方に宣伝をお願い致します」、続いてAKIRAより「本作は日本の歌曲を築きあげた二人の話です。どこか熱く、泣いて笑えて心がほっこりする、そんな映画が仕上がりました。僕たちも童謡誕生100年ということを盛り上げていきます!」と意気込みが語られた。そして佐々部監督より「今映画の作り方はたくさんありますが、この映画に関して言うと、俳優・スタッフ全員がプロです。プロがやると映画はここまで豊かになります。現場のセットもプロが素晴らしいセットを組んでくれました。音楽にもこだわりました。プロの音楽家である、後輩の和田薫が担当して素晴らしく仕上げてくれました。公開まであと2ヶ月、応援をお願い致します」と会場へメッセージが語られ、大盛況の中イベントは終了した。

『この道』
2019年1月11日(金) 全国公開
監督:佐々部清
脚本:坂口理子
出演:大森南朋 AKIRA 貫地谷しほり 松本若菜 柳沢慎吾 羽田美智子 松重豊 由紀さおり 安田祥子
配給:HIGH BROW CINEMA

【ストーリー】 九州柳川から文学を志し上京した北原白秋。彼は隣家の美人妻・俊子に気もそぞろで、逢瀬を俊子の夫に見つかり姦通罪で入獄となる。白秋の才能を眠らすまいと与謝野夫妻が奔走し釈放されるが、恩も顧みずのうのうと俊子と結婚する白秋。その刹那、俊子は家出し、白秋は入水自殺を図るが蟹に足を噛まれ断念する…。そんなおバカな白秋と洋行帰りの音楽家・山田耕筰に鈴木三重吉は童謡創作の白羽の矢を立てる。才能がぶつかり反目する二人だが、関東大震災の惨状を前に打ちひしがれた子供たちを元気づけるため、手を取り合い数々の童謡を世に出す。しかし、戦争の暗雲が垂れ込める中、子供たちを戦場に送り出す軍歌を創るよう命ぜられた二人は苦悩の淵に立たされる。

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