是枝裕和監督、西川美和監督が立ち上げた制作者集団「分福」が満を持して送り出す新人監督、広瀬奈々子のデビュー作『夜明け』が、2019年1月18日より公開となる。このほど、11月5日にスペースFS汐留にて本作の完成披露試写会が行われ、キャストの柳楽優弥、小林薫、YOUNG DAIS、鈴木常吉、堀内敬子、広瀬奈々子監督が登壇した。
本作は、秘密を抱えて逃げてきた青年と、彼を偶然救った男の物語。是枝裕和監督の『誰も知らない』で俳優デビューした柳楽は、是枝監督の愛弟子である広瀬監督のデビュー作への出演ということで「すごく興奮しました」とコメント。本作では秘密を抱える青年シンイチ役を演じ、「最近は強いキャラクターの役柄が多かった」と『ディストラクション・ベイビーズ』や『銀魂』シリーズへの出演も振り返りつつ、「内面を丁寧に描くようなテイストの映画に久しぶりに参加できました。それが“分福”が関わっている作品でありがたいですし、(広瀬監督の)初監督作品に参加できて光栄です」と出演への想いを語った。
柳楽演じる青年シンイチと深く関わる哲郎を演じた小林は、「演じていて難しい役。なかなか手ごわいなと思いました」と出演への感想を述べ、「逆に答えを自ら結論づけてやるより、そういう答えを描こうとした映画じゃないなという意識になってきた。考えさせられるような仕事になりましたね」と撮影を振り返った。小林のファンだという広瀬監督は、小林の出演について「光栄でした」と言い、嬉しそうな表情を見せた。
イベントでは、現在フランスのパリで新作映画を撮影中だという是枝監督よりサプライズメッセージも。是枝監督は広瀬監督へ「奈々子、公開おめでとう」とお祝いのメッセージと共に、「デビュー作は自分の良いところも悪いところも出ている。自分がどっちへ進んでいくのか見えてくる時期だと思いますから、さらに2作目、3作目を期待しています」とエールを送った。柳楽については、「優弥は僕にとって特別な役者さん。10代でデビュー作で出会い一緒に作品を作って、20代で僕のそばにいたスタッフが優弥の主演の映画を撮るというのは感慨深いです」と今の気持ちを伝え、さらに「本人とも30代でまたタッグをという話も出てきているので、そんなコラボレーションが実現すればいいなと思っています」と期待を込めたコメントを寄せた。
最後に、柳楽は「『誰も知らない』は僕の中では派手なデビュー作になったので、自分の中で“どうすればもっといい俳優になれるんだ”ということを考えた10代でした。その自分の格好良くない感情を広瀬監督のもとで演じることができたらいいなと、そんな特別な想いもある作品。僕の芯としてあったのは“生命力”。これを大事に演じました」と挨拶。そして、会場で柳楽のファンを見つけると、「『銀魂』に出ていて良かったなと思います(笑)。吉沢亮に負けないように、これからも頑張るのでよろしくお願いします!」と会場を沸かせ、イベントは幕を閉じた。
『夜明け』
1月18日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督・脚本:広瀬奈々子
出演:柳楽優弥 YOUNG DAIS 鈴木常吉 堀内敬子 芹川藍 高木美嘉 清水葉月 竹井亮介 飯田芳 岩崎う大(かもめんたる) 小林薫
配給:マジックアワー
【ストーリー】 地方の町で木工所を営む哲郎(小林薫)は、ある日河辺で倒れていた見知らぬ青年(柳楽優弥)を助け、自宅で介抱する。「シンイチ」と名乗った青年に、わずかに動揺する哲郎。偶然にもそれは、哲郎の亡くなった息子と同じ名前だった。シンイチはそのまま哲郎の家に住み着き、彼が経営する木工所で働くようになる。木工所の家庭的な温かさに触れ、寡黙だったシンイチは徐々に心を開きはじめる。シンイチに父親のような感情を抱き始める哲郎。互いに何かを埋め合うように、ふたりは親子のような関係を築いていく。だがその頃、彼らの周りで、数年前に町で起きた事件にまつわる噂が流れ始める―。
(C)2019「夜明け」製作委員会