ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作『13回の新月のある年に』『第三世代』予告編

ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の劇場未公開の2作品『13回の新月のある年に』と『第三世代』が、10月27日より公開される。このほど、2作品の予告編がお披露目となった。

ファスビンダー監督の作品は、女性の抑圧、同性愛、ユダヤ人差別、テロリズムなどスキャンダラスなテーマが多く、それゆえドイツ国内では常に激しい論議を巻き起こしてきたが、観客を飽きさせない娯楽映画の方法論を守り続けた。戦後ドイツにおいて、映画産業の外部で映画活動に徹しながらプロの映画作法を身につけたファスビンダー監督は、元来対抗文化であった「新しいドイツ映画」をメインストリームに押し上げた。

■『13回の新月のある年に』1978年/西ドイツ/124分
監督・製作・脚本・撮影・編集・美術:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
出演:フォルカー・シュペングラー イングリット・カーフェン ゴットフリート・ヨーン

【ストーリー】 男性から女性に性転換をしたエルヴィラ。過去には結婚し娘もいるが、男装して男娼を買いに街に出るような曖昧な性を生きている。一緒に暮らしていた男クリストフが家を出て行き、傷つくエルヴィラを、仲の良い娼婦ツォラが支える。二人はエルヴィラがかつて働いていた精肉場を訪れ、育ての親シスター・グルドンを訪ねる。エルヴィラは過去を振り返ろうとする。妻イレーネと娘マリアンとも会うが、それは昔の自分に戻れないことを確認することであった。エルヴィラはアントン・ザイツという男に会いに行く。エルヴィラが性転換をするきっかけは、彼への愛があった。アントン・ザイツは強制収容所を生き延び、フランクフルトの大物となっていた…。

■『第三世代』1979年/西ドイツ/109分
監督・製作・脚本・撮影:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
出演:フォルカー・シュペングラー ビュル・オジェ ハンナ・シグラ ハリー・ベア ウド・キアー マーギット・カーステンゼン エディ・コンスタンティーヌ

【ストーリー】 1970年代末期のベルリン。企業家 P・J・ルーツは、自身の事業であるコンピューター販売の不振を憂う中で、一つの着想を持った。この都市でテロ事件が起これば、警察が捜査用にコンピューターを導入する、というものであった。ルーツの秘書ズザンネは地下組織のメンバーで仲間と共にテロを計画している。夫のエドガーもそのメンバー。そのグループには「革命」のような思想や理念はなく、ただスリルに耽溺した遊びであった。リーダーはアウグストという男であるが、このアウグストはルーツと通じており、全ては企業と権力の手中にあるのだった…。

『13回の新月のある年に』『第三世代』
10月27日(土)よりユーロスペースにて2作品一挙ロードショー
監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
配給:アイ・ヴィー・シー

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