原作者・島田荘司がファン・ズータオの素顔を明かす!『夏、19歳の肖像』初日舞台挨拶レポート

『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』で映画化された「御手洗潔」シリーズで知られる島田荘司の同名小説を中国で映画化した『夏、19歳の肖像』が、8月25日に公開初日を迎え、シネマート新宿にて舞台挨拶が行われ、原作者の島田荘司が登壇した。

島田から中国で映画化された経緯や本作の感想などが語られ、中国での実写化については「とても原作に忠実に描かれていてリスペクトが感じられる」と、満足した様子で語った。島田が今作のロケ地である台南へ赴き、主演のタオことファン・ズータオのチャーミングなエピソードが語られると、ファン・ズータオのファンから再び大きな歓声があがった。さらに、今作の裏側のほかにも島田が力を入れている中華圏におけるミステリー作家の育成について語られた。島田が語りだすと、島田やファン・ズータオのファンから笑いや歓声が度々あがり、舞台挨拶は大盛況のうちに幕を閉じた。

■島田荘司 コメント
原作にとても忠実に作ってもらいました。喫茶店の名前も小説に出てくる『R』で。これなんかは映画化にあたって変えてもいいと思うんですが、そのままやってくれました。プロデューサーからメールを頂いて『台南に撮影を見に来てください』ということで、そこで主演のタオちゃんにはじめて会いましたね。病院のシーンの撮影で初めてタオちゃんに会いました。タオちゃんが見当たらなかったので、タオちゃんはどこにいるのか聞くと『奥で顔を洗ってます』と言われました。これは自慢になってしまうのですが、タオちゃんにはじめて会った時〝わぁ!かっこいい!〟って日本語で言われたんですよ(笑)。そういった気遣いができる子でしたね。私は本人に会うまで女装をした写真などを見ていたので、華奢な人かと思っていたのですが、手もグローブのようにゴツゴツして大きくて、以前お会いしたジャッキー・チェンのようでした。(話題が島田荘司自身がアジアのミステリー作家育成のために行っている「島田荘司推理小説賞」に及ぶと)中華圏のミステリー作家の成長という点では、今台湾が断然リードしてきています。台湾の本格的な推理作家協会は、登録作家が20数名しかいなく、数は少ないのですが、台湾の方は論理的思考が得意で適正があると思います。第1回の『島田荘司推理小説賞』を受賞したミスターペッツ(台湾)の作品は、ITをモチーフとした21世紀型のミステリー小説で、私が提唱していた「本格ミステリー」に完璧に応えるものでしたね。

『夏、19歳の肖像』
8月25日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー
監督:チャン・ロンジー
原作:島田荘司「夏、19歳の肖像」(文春文庫刊)
出演:ファン・ズータオ ヤン・ツァイユー カルビン・トゥ リー・モン スタンリー・フォン チュウ・チーイン
配給:マクザム

【ストーリー】 大学の夏休み。19歳のカン・チャオはバイク事故で脚を骨折して入院。女友達のジュー・リーと、彼女への秘めた恋心を抱えるジャオ・イーが面倒を見てくれることに。退屈な入院生活のなかで、カンは病室から見える邸宅の二階に佇む女性に一目ぼれをし、想いを寄せるようになっていく。そんなある夜、彼女が父親らしき男性と口論の末、ナイフを手に飛びかかる様子を目撃してしまう。男は倒れ、やがて隣の工事現場に現れた人影は、そこに“何か”を埋めていた。真実を確かめようと動き出したカンの携帯に届く、謎めいたメッセージ。自分を監視しているのは誰なのか?事件の泥沼から美しいあの人を救い出したいという気持ちに衝き動かされ、カンは彼女―シア・インインに近づくのだが…。

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