モデルの小谷実由と映画ライターの新谷里映が登壇!『若い女』トークショー付き女性限定試写イベント レポート

2017年のカンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)を受賞し、フランスで最も権威あるセザール賞へのノミネートも果たした、レオノール・セライユ監督のデビュー作『若い女』が8月25日より公開となる。それに先立ち、8月20日に渋谷ユーロスペースにてトークショー付き女性限定試写イベントが開催され、モデルの小谷実由と映画ライターの新谷里映が登壇した。

本作は、10年付き合った恋人に別れを告げられた31歳のポーラが、自分の居場所をもとめてパリを彷徨うコメディタッチのドラマ。冒頭から不平不満をまくしたてる主人公・ポーラの印象を「最初は面食らっちゃって。どんどん喋るし怒るし物を壊すし(笑)。でもだんだん応援したくなりました。感情を外に出していくのも見ていて気持ちいい」と言う小谷。新谷も同意見だったようで、「私も、なんてエキセントリックな主人公なんだろうって。感情移入できなさそうなキャラなのに、憎めないですよね。感情を発散したい気持ちって女性は誰しも持っているんじゃないかと考えると、そこが彼女の憎めない、愛すべきところなのかも」と分析した。小谷は「私も悲しいことがあったらポーラみたいに怒っちゃいますね(笑)。劇中に『彼がいなかったら私には何もない』というような台詞があって。それではいけないと思いつつ、全部彼に捧げたい、彼とともにありたいという気持ちもわかるな」と、ポーラと自身に重なる部分があるとも語った。

原題と同じ意味の『若い女』という邦題について、新谷が「31歳って若いというよりは微妙な年代ですよね。このタイトルをどう感じましたか?」と投げかけると、「最初、タイトルもそうですけど、メインビジュアルの様子も 31歳には見えなくて。観てみたら色々とセンシティブで、グサグサと刺さってきて。タイトルとポスターに意表を突かれました」と小谷。新谷は「このタイトルをつけられるのって、この映画の製作スタッフがみんな女性だからですよね。男性だと勇気が出ないんじゃないかな」と言い笑いを誘った。

続いて劇中のパリの描き方の話題に。新谷が「エッフェル塔、凱旋門、おしゃれなカフェ、じゃなくて真逆のイメージ。公園でゴミ箱を覗いたりするシーンもあって結構ショッキング。でもそれがこの映画の魅力なのかもしれないですね」と話すと小谷も「冷たいパリですよね」と頷く。この日テラコッタのワンピースで登場した小谷は、「でもやっぱりファッションはかわいかったですね。今日の衣装は、劇中でポーラが着ているレンガ色のコートを意識して選びました。青いニットも着たくなりました」と、衣装でパリを感じたとのこと。

最後に、小谷が「観た後に、考えるための余白をすごく残してくれる映画だと思います。私は二回観たんですが、一回目と違って関係性もストーリーも知っているので自分の感情も添えつつ違った視点で楽しめました。あと、猫のムチャチャがとってもかわいくて演技派でした」と、猫好きとして主人公の相棒猫の魅力もアピールしてトークショーを締めくくった。会場に集まった約100名の女性客からは「主人公の同世代として勇気をもらった」「タイトルは、人間としても『青い』と言う意味と、31歳からでもまだ生き方を変えられるという意味も込められているのでは」「冒頭は観るのがつらかったが、最後は彼女の強さが感じられて救われた」などといった声があがっていた。

『若い女』
8月25日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次ロードショー
監督・脚本:レオノール・セライユ
出演:レティシア・ドッシュ グレゴワール・モンサンジョン スレマン・サイエ・ンディアエ
配給:サンリス

【ストーリー】 フランス、パリ。31歳のポーラは、10年付き合った年の離れた恋人に突然捨てられる。お金も、家も、仕事もないポーラは途方に暮れ、苦しまぎれに恋人の飼い猫ムチャチャを盗む。猫を連れてきたことで、居候先の友人宅からも、安宿からも追い出され、実家に戻ろうとするも、疎遠だった母親からは拒絶されてしまう。パリにはポーラの居場所などなかったのだ。なんとか住み込みのベビーシッターのバイトを見つけ、ショッピングモールの下着屋でも働き始める。ようやく自分の居場所を見つけたかに思えたが…。

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