前作『溶ける』が第70回カンヌ国際映画祭シネフォンダシオンに正式出品されるなど、国内外で注目を集めている22歳の新鋭・井樫彩による初長編作品『真っ赤な星』が12月1日に公開される。このほど、本作の特報映像がお披露目となった。
本作は、14歳の少女・陽(ヨウ)と27歳の元看護師の女性・弥生の、交わることのない愛の日々を力強く繊細に描く。少女・陽には、『みつこと宇宙こぶ』で第11回田辺・弁慶映画祭女優賞を受賞した小松未来。元看護師の弥生を、『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング・ビューティ』、『娼年』の桜井ユキが演じる。さらに、弥生の恋人・賢吾役には、『ケンとカズ』で毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞を受賞し、今後も出演作が多数公開待機中の毎熊克哉。このほか、小林竜樹、菊沢将憲、大原由暉、西山真来ら演技派俳優が脇を固め、モデルで女優の中田クルミも声で出演している。
公開された特報映像では、「ほしいものはいつも この手のひらには、おさまらなかった」というコピーとともに、元看護師の弥生(桜井ユキ)の部屋で、主人公の14歳の少女・陽(小松未来)が、弥生の姿を見つめているシーンから始まる。その後、空を飛ぶ赤いパラグライダーや星が輝く天文台、陽と弥生の共同生活など、本作にとって重要な場面が切り取られている。弥生の叶わなかった願い事について話すふたりの会話の最後には、陽と弥生が暗闇で見つめあいキスをしそうになるシーンへと続いていく。
また、本作は9月26日からイギリスで開催されるレインダンス映画祭にてワールドプレミア上映されることが決定し、同映画祭のオフィシャルコンペティションであるBEST INTERNATIONAL FEATURE部門の最優秀作品にノミネートされた。発表を受け、井樫彩監督、小松未来、桜井ユキ、毎熊克哉から喜びのコメントが寄せられた。
■井樫彩監督
表現を制限しろと言われたり、映画がポシャりかけたり、スタッフ・キャストに対して、「泥舟に乗せてゴメンな!」と何度も思いました。とまあ、そんなことはどうでも良く、願うのはたくさんの方々に観ていただきたいということです。
■小松未来
本当に大切で愛おしいこの作品が、たくさんの人に届くことを本当に本当に嬉しく思います。苦しい日々を足掻いてもがいて出来たこの作品を観ていただいて、何かを伝えられたら、感じていただけたら、と思います。
■桜井ユキ
当たり前の日常の中でもがき何かを掴もうとする陽と弥生の、ほんのひと夏に生まれた時間を切り取った作品です。日本での上映も決定し、とても大切なこの作品が、この映画祭から皆様の元に届く事をとても嬉しく思います。
■毎熊克哉
繊細でまっすぐな心の持ち主が集結して作った映画です。嘘が効かないこの作品に関わらせてもらうのはとても勇気がいることでしたが、自分にとっては大きな財産になりました。世界に届け!!!
『真っ赤な星』
12月1日(土)よりテアトル新宿ほか全国順次公開
監督・脚本:井樫彩
出演:小松未来 桜井ユキ 毎熊克哉 大原由暉 小林竜樹 菊沢将憲 西山真来 湯舟すぴか 山谷武志 若林瑠海 大重わたる(夜ふかしの会) 久保山智夏 高田彩花 長野こうへい 中田クルミ(声の出演) PANTA(頭脳警察)
配給:映画「真っ赤な星」製作委員会
【ストーリー】 片田舎の病院に怪我をして入院した14歳の陽(小松未来)。彼女はいつも優しく接してくれていた看護師の弥生(桜井ユキ)に対し、特別な感情を抱き始めていた。だが退院の日、弥生が突然看護師を辞めたことを知る。1年後、陽は買い物の帰り道で偶然弥生と再会する。そこにいたのは、過去の優しい面影はなく、男たちに身体を売ることで生計を立てている弥生だった。再会後、学校にも家にも居場所がない陽は、吸い寄せられるように弥生に近づく。一方、弥生には誰にも言えない悲しい過去があった。満たされない現実を冷めた目で見つめ、互いに孤独を抱えるふたりは、弥生のアパートで心の空白を埋める生活を始めていく—。
©「真っ赤な星」製作委員会