デジタルで撮影・制作された作品にフォーカスし、若手映像クリエイターの登竜門として2004年にスタートした、川口市が埼玉県と共催する国際コンペティション映画祭「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」が、記念すべき15周年を迎え、7月13日から22日に開催された。このほど、最終日の22日に行われたクロージング・セレモニー(表彰式)にて、国際コンペティション、国内コンペティションの各賞が発表された。
国際コンペティションでは、アンドレア・ライズボロー主演の『ナンシー』(アメリカ/クリスティーナ・チョウ監督)が最優秀作品賞(グランプリ)に輝いた。女性監督作品のグランプリ受賞は、本映画祭では2005年のミランダ・ジュライ監督(『君とボクの虹色の世界』)、スサンネ・ビア監督(『ある愛の風景』)以来、13年ぶりとなる。国内コンペティションでは、長編部門で『岬の兄妹』(日本/片山慎三監督)、短編部門で『予定は未定』(日本/磯部鉄平監督)がそれぞれ優秀作品賞を受賞。国際コンペティション・国内コンペティションを通じた日本作品の中から、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対し贈られる「SKIP シティアワード」には『彼女はひとり』(日本/中川奈月監督)が選ばれた。
また、本年は各審査会の結果、審査員の総意により、本来の賞構成にはなかった、国内コンペティション(短編部門)「審査員特別賞」、国際コンペティション「スペシャル・メンション」を新たに追加・表彰することとなり、『口と拳』(日本/溝口道勇監督)、『ザ・スワン』(アイスランド、ドイツ、エストニア/アウサ・ベルガ・ヒョールレーフズドッテル監督)がそれぞれ選出された。「観客賞」は、映画祭終了後、観客投票を集計し、8月上旬に発表される予定だ。
国際コンペティション 受賞結果
■最優秀作品賞
『ナンシー』(2018年/アメリカ/86分)
監督:クリスティーナ・チョウ
<クリスティーナ・チョウ監督 コメント>
最優秀作品賞の受賞、ありがとうございます。とても驚いて、緊張しています。たくさんの時間を費やし、努力した作品ですので、このような形で受賞できたことを、とても光栄に思います。地球の裏側で、まったく違う文化の中で、このストーリーが受け入れられ、感動を与えられたこと、これこそがまさに、映画の力だと思っています。改めて、この映画祭に感謝したいと思います。日本大好きです!
▲ミシェル・キャメロン プロデューサー
■監督賞
『あの木が邪魔で』(2017年/アイスランド、デンマーク、ポーランド、ドイツ/89分)
監督:ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン
■審査員特別賞
『最後の息子』(2017年/韓国/124分)
監督:シン・ドンソク
■スペシャル・メンション
『ザ・スワン』(2017年/アイスランド、ドイツ、エストニア/91分)
監督:アウサ・ベルガ・ヒョールレーフズドッテル
国内コンペティション 受賞結果
■優秀作品賞(長編部門)
『岬の兄妹』(2018年/日本/89分)
監督:片山慎三
<片山慎三監督 コメント>
『岬の兄妹』は1年間の長い間、撮影をしていて、その中で、協力してくれたスタッフの皆さん、キャストの皆さん、どうもありがとうございました。正直、賞をいただけると思っていなかったので、受賞のコメントをまったく考えていなかったのですが、初めて出品した映画祭で、このような賞をいただけて、本当に嬉しく思います。ありがとうございました。
■優秀作品賞(短編部門)
『予定は未定』(2018年/日本/27分)
監督:磯部鉄平
<磯部鉄平監督 コメント>
僕は映画を始めるのが30歳ぐらいで、少し人より遅かったと思うのですが、そこから映画学校に入って、卒業後、映画を撮りたいなといいながら、うだうだと時を過ごしていました。映画制作のスタッフをしている時、女優の屋敷紘子さんと出会い、屋敷さんに出て欲しいと思い、この映画の脚本を書きました。2年前にこの映画祭でSKIPシティアワードを取った『見栄を張る』(藤村明世監督)で助監督をしていまして、その映画で若い女性監督が監督している姿を見て、自分もやっぱり監督をしようと思い背中を押されました。ですので、このSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で賞をいただけたのは、本当に嬉しいです。
■審査員特別賞
『口と拳』(2017年/日本/49分)
監督:溝口道勇
SKIPシティアワード 受賞結果
■SKIPシティアワード
『彼女はひとり』(2018年/日本/60分)
監督:中川奈月
<中川奈月監督 コメント>
トロフィーが重くて…(笑)すごく嬉しいです。まず、この映画祭に見つけていただき、ノミネートしていただいたこと、そして上映する機会をいただけたことが嬉しいですし、さらにこのような賞をいただけて本当に光栄です。この作品は、大学院での卒業制作だったのですが、どうなるかわからない状態で脚本を書いて、その脚本のおかげで、いろいろなプロのスタッフの方や役者さんに集まっていただきました。どうなるかもわからなかった中、たくさんの人たちの力によって助けていただいて、なんとか作品になったものなので、賞をいただいて、皆に報告できることを本当に嬉しく思います。