塚本晋也監督「戦争の恐怖。それを知ることが、戦争に近づかない一番の方法」『野火』今夏もアンコール上映決定!メイキング&石川忠のライブ映像の上映も実施

今年11月に新作時代劇『斬、』の公開を控える塚本晋也監督が、戦後70年、71年、72年と上映を重ねてきた、大岡昇平原作の映画『野火』が、今年も終戦記念日を中心に全国上映されることが決定した。併せて、本作の全容に迫る濃密なメイキングと、昨年逝去した石川忠の『野火』上映記念ライブ映像の上映が一部劇場にて行われることが決定した。

2014年にヴェネチア映画祭メインコンペティション部門選出、戦後70年に当たる2015年に全国83館で公開された本作。第89回キネマ旬報ベスト・テン「日本映画ベスト・テン」では第2位、第70回毎日映画コンクールでは監督賞と男優主演賞をダブル受賞した。塚本監督の製作当初からの「『野火』を毎年終戦記念日に上映されるような映画にしたい」という思いに劇場側も共感し、これまでアンコール上映が実施されてきた。また塚本監督自身が各地の劇場で観客との対話も重ね、初年度からの劇場・自主上映を含む総観客数は8.5万人にのぼる。

戦後73年の今年も、渋谷・ユーロスペースを中心に全国27館の劇場で上映が決定(6月30日現在)。ユーロスペースはじめ14館の劇場で塚本監督が登壇する舞台挨拶も実施予定だ。また、今年は本編に加え、60分のメイキング「塚本晋也解説『野火』20年の軌跡」も上映が決定。戦争体験者の声、撮影風景、映画祭、全国の劇場行脚の様子を通して、戦後70年という重大な年を浮き彫りにする濃密なドキュメンタリーに仕上がっている。

さらに、『鉄男 TETSUO』(1988)以来ほとんどの塚本作品の音楽を手がけ、2017年12月21日に惜しまれつつ逝去したメタルパーカショニストの石川忠と、本作にも出演するBLANKEY JET CITYのドラマー・中村達也が共演した、30分にわたる『野火』上映記念ライブ映像も公開。映像は、塚本晋也監督の現場で経験をつんだ『FORMA』(2013)の坂本あゆみが手がけ、劇場の音響でライブが体感できる。

そして、生前の石川が心血を注ぎ完成させた劇中使用の全16曲音を収録した『野火』オリジナル・サウンドトラックも初リリースが決定。一般発売に先駆けて、『野火』上映劇場にて先行販売が実施される。さらに、今夏の『野火』戦後73年アンコール上映に先行して、7月8日には早稲田大学大隈小講堂にて、シンポジウム「映画監督と時代」が企画されており、パネラーとして塚本監督が登壇し、メイキングも特別に先行上映される予定だ。

■塚本晋也監督 コメント
戦後70年の初上映のとき、すでに兵隊として戦地に行かれた方はほとんどいらっしゃらなくなり、戦地のほんとうの恐怖を知る機会が少なくなりました。戦争の恐怖。それを知ることが、戦争に近づかない一番の方法だと思います。これからも、大きなスクリーンで、体験としての「野火」を味わっていただきたいと思います。

『野火』
2018年夏、渋谷・ユーロスペース他にて公開
監督・脚本・編集・撮影・製作:塚本晋也
原作:大岡昇平「野火」
出演:塚本晋也 リリー・フランキー 中村達也 森優作
配給:海獣シアター

©SHINYA TSUKAMOTO / KAIJYU THEATER