心に孤独を抱えてしまった女性と、自分を彼女の恋人だと信じて疑わない猫との関係を描いた映画『猫は抱くもの』が6月23日に公開初日を迎え、同日に新宿ピカデリーにて行われた初日舞台挨拶に、キャストの沢尻エリカ、吉沢亮、峯田和伸、コムアイ(水曜日のカンパネラ)、犬童一心監督が登壇した。
初日を迎え、登壇した本作のキャストと監督。初めに、犬童監督は「みんなで普段使わない脳や筋肉を使って、すごく楽しんで作った映画です。皆さんもぜひこの映画の仲間になっていただけたら嬉しいです」と挨拶した。
本作は第21回上海国際映画祭にてコンペティション部門に選出され、先日、現地で満席となった舞台挨拶に登壇した沢尻と犬童監督。6時間ほど滞在し、すぐに帰国したという沢尻は、「中国の皆さんの熱量がすごかったですね!ちょっとだけですけど、上海の街並みや空気を味わえて良かったです」とコメント。中国には9000人の“沢尻会”というファンクラブがあり、「なかなかファンの皆さんと接する機会がないので、すごく嬉しかったです」と笑って映画祭への参加を振り返った。
猫の良男役に挑戦した吉沢は、「飼い主とペットという距離感は普通の恋人以上に近い」と初めは戸惑ったという。飼い主役の沢尻との共演については、「猫役の僕から(沢尻に)近づいていくことが多くて、嫌がられたらどうしようという不安があった」と明かしながら、「沢尻さんが受け入れてくださって、僕を見ている目がもう完全にペット」と安心しながら撮影に臨めたと語った。
売れない画家・ゴッホを演じた峯田は、沢尻と坂を転がるシーンを振り返り、「女性と男性の二人のスタントマンが坂を転がる予定だったんですけど…」と、リハーサルを10回ほど重ねたにもかかわらず、本番で勢い余って転んでしまったことを告白。沢尻に対して申し訳なさそうにしながらも、峯田は「僕はどのシーンも本当に楽しかったんです!」と力強く言い、沢尻を笑わせた。
最後に、6月24日に誕生日を迎える犬童監督に猫の良男の形をした誕生日ケーキがプレゼントされ、キャストと観客ともに「ハッピーバースデートゥーユー」を合唱。犬童監督は「これを思い出に還暦を迎えられたら(笑)。ありがとうございました」と照れくさそうに笑って答えた。さらに、犬童監督から沢尻へ手紙のサプライズも。犬童監督は、沢尻を「猫というよりも、サバンナを駆け巡るチーターのよう」と例え、「とても創造力に富み、楽しい時間を共にできました。いっぱい助けてくれてありがとうございます。またさらなる作品に出会えたらと思います」とメッセージを贈った。それを受けて沢尻は、「それぞれがいいものを作ろうとぶつかっていった現場で、監督とすごくいい時間を過ごして、自分の役者人生の中で大切な映画になりました」と涙ぐみながら笑顔で答え、舞台挨拶は終了した。
『猫は抱くもの』
6月23日(土)、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:犬童一心
脚本:高田亮
原作:『猫は抱くもの』(大山淳子著・キノブックス刊)
出演:沢尻エリカ 吉沢亮 峯田和伸 コムアイ(水曜日のカンパネラ) 岩松了 藤村忠寿 内田健司 久場雄太 今井久美子 小林涼子 林田岬優 木下愛華 蒔田彩珠 伊藤ゆみ 佐藤乃莉 末永百合恵 柿澤勇人
配給:キノフィルムズ
【ストーリー】 主人公の沙織(沢尻エリカ)は、とある地方都市のスーパーマーケットで働くアラサー女性。かつてはアイドルグループ「サニーズ」のメンバーとして芸能界で活動していたが、歌手としては芽が出ず、すべてに嫌気が差して都会から逃げてきた。今の自分を好きになれず、周囲ともうまく馴染めない彼女にとって、心を許せる唯一の存在は、ペットショップで売れ残っていたロシアンブルーのオス猫「良男」(吉沢亮)。嬉しかったこと、哀しかったこと、腹が立ったこと…。すべてを受け止めてくれる「良男」に向かって、沙織は日々、妄想を交えながら語りかける。そして「良男」は、いつしか自分を人間だと信じ込み、恋人として沙織を守らねばと思い始める。そうやって過ごしてきた、こじらせた1人と1匹の日常にも、変化が訪れて…。
©2018 『猫は抱くもの』製作委員会