瀬々敬久監督が『ヘヴンズ ストーリー』から8年振りに放つオリジナル企画のアナーキー青春群像劇『菊とギロチン』が、7月7日より公開される。このほど、6月18日に本作の特別試写会が行われ、木竜麻生、東出昌大ら総勢21名のキャストと瀬々敬久監督が登壇した。
▲(右ブロック上段右より)東龍之介、伊島空、小水たいが、荒巻全紀、池田良、嶺豪一、(中段右より)小林竜樹、川瀬陽太、大西信満、飯田芳、(下段右より)東出昌大、瀬々敬久監督、(左ブロック上段右より)田代友紀、背乃じゅん、播田美保、持田加奈子、仁科あい、和田光沙、(下段右より)木竜麻生、嘉門洋子、大西礼芳、渋川清彦
本作は、大正末期の関東大震災直後の日本を舞台に、かつて日本全国で「女相撲」が興行されていた史実に基づき、時代が急速に不寛容な社会へと向かう中で、女相撲の一座と実在したアナキスト・グループ「ギロチン社」の青年たちの出会いを描くオリジナルストーリー。
今回開催された「『菊とギロチン』やるなら今しかない特別試写会」は、監督の自主企画である本作の制作・公開をクラウドファンディングなどで支援してくれた人々を招待した感謝の試写会。最初に登場した瀬々監督は、「皆さんのおかげで、この映画が完成しました。ありがとうございました」と客席に深い感謝を伝え、「映画自体も、キャスト・スタッフ一丸となって全員野球で作った映画です」と告げると、駆けつけたキャストを一人ずつ壇上へ招いた。キャストの木竜麻生、東出昌大、渋川清彦、嘉門洋子、大西礼芳、仁科あい、持田加奈子、和田光沙、背乃じゅん、播田美保、田代友紀、嶺豪一、荒巻全紀、池田良、小林竜樹、小水たいが、伊島空、飯田芳、大西信満、川瀬陽太、総勢21名が登壇し、それぞれに支援への感謝、この映画に参加できた喜びを語り、感謝の“四股”も披露されて、客席を沸かせた。
オーディションで約300名の中からヒロインの新人力士・花菊役に選ばれ、映画初主演を務めた木竜は、「こうして映画を応援してくださる皆さんにお会いできたこと、そして皆さんに映画を観ていただけたことが本当に嬉しいです」と真っ直ぐなコメント。一方、ギロチン社のリーダーで、詩人でもある中濱鐵を演じた東出は、「女相撲の皆さんが命を削りながら一触即発で相撲をしている姿に感化されて、ギロチン社も動き出しました。僕らも僕らで、毎晩安酒をかっくらって、夢だとか、役者だとか、ギロチン社って何なのかって、一触即発になりながら語り合って撮影していました。男連中はありていに言えばクズなんですけども、それでも、撮影していたことに嘘はなかったと思います。女相撲の皆さんは、もちろん嘘はなかったと思います。その嘘のない芝居がフィルムに映っていたら、そしてそれを感じていただけたら最高です」とこの作品に懸ける熱い想いが伝えられた。
また、舞台挨拶の後半では、木竜が現場での一番の思い出を「いつでもどこでも四股を踏んでいたこと」と語り、東出は、この日、仕事のために欠席した、中濱鐵の盟友であるギロチン社の古田大次郎を演じた寛一郎のエピソードを披露。この映画が実は初めての現場だった寛一郎の出演シーンで「彼が古田大次郎として感情の爆発を求められた時に、監督が竹やぶの向こうで“お前はそんなに自分がかわいいのか!自己を解放しろーッ!”と叫んでいて。それを聞いて、何て愛のある現場なんだろうと思いました」と参加できなかった寛一郎を優しく“イジり”ながら、リーダーらしくコメントした。
最後に、一同を代表して再び瀬々監督が「京都の撮影所でギロチン社のアジトの場面を撮った時に、美術部がセットの中に貼紙をしてくれていました。“革命”とか色々なことが書いてある中に“自主自立”という言葉があったのがすごく印象的でした。自分たちが映画を作ろうと思ったのは、そういう気持ちが出発点だった。皆さんの力がなければ、この映画は完成できませんでした。今日は本当に、ありがとうございました!」と支援者へ謝意を述べた。映画だけでなく舞台挨拶もスタッフ・キャストの熱い想いがこもった試写会に、初めて映画を見た観客からも「ものすごいエネルギーが詰まった映画」「胸が熱くなって泣けた」「こんな素晴らしい映画に少しでも関われて幸せ」という言葉が監督やキャストに送られ、満場の拍手と喝采が会場を包んだ。
キャスト&監督 コメント
■瀬々敬久監督
京都の撮影所でギロチン社のアジトの場面を撮った時に、美術部がセットの中に貼紙をしてくれていました。“革命”だとか色々な言葉が書いてある中に“自主自立”という言葉があり、それがすごく印象的でした。自分たちが映画を作ろうと思ったのは、そういう気持ちが出発点だったんです。この映画は、自由とか、自分たちでやるんだとか、そういう気持ちの大切さを謳った映画だと思います。色んな形で協力してくれた皆さんに本当に感謝を申し上げます。皆さんの力がなければ、この映画は完成できませんでした。今日は本当に、ありがとうございました!
<女相撲 玉岩興行>
■木竜麻生(花菊ともよ役)
こうして映画を応援してくださる皆さんにお会いできたこと、そして皆さんに映画を観ていただけたことが本当に嬉しいです。公開はこれからなので、引き続きよろしくお願いします!
■嘉門洋子(玉椿みつ役)
こんなにたくさんの方々が支援してくださっていたと実感し、感動しています。楽しい愉快な仲間たちと、天国と地獄のような現場だったのですが、私たちがここにいるのは支援してくださる人がいるからこそだと思いました。
■仁科あい(若錦まき役)
イッチャナ節と相撲甚句を歌わせていただきました。映画は観てもらうことで映画になると思うので、ご支援いただいて、多くの人に観ていただけましたら嬉しいです。ありがとうございました。
■田代友紀(羽黒桜まつ役)
初めての映画出演となりました。山形弁で喋っていたんですが、実際は埼玉出身です。監督にこの間“山形出身じゃなかったの?”とガックリされました(笑)。この私のボディによって、女相撲の力士たちに光を当てる一助になれたことを幸せに思います。
■持田加奈子(小天龍よし役)
4年ぐらい前に大相撲にハマって、2年前にオーディションがあって、運命だと思って、受かるしかないと思っていたら本当に受かって、よかったです。
■播田美保(与那国うし役)
皆さまのご支援のおかげでこの映画ができて、感謝しております。私も参加できて嬉しいです。
■大西礼芳(勝虎かつ役)
私はこういう映画に出たくて役者をやってたんやと思いました。役者人生の中でそう思えることって、本当に幸せだと思います。ありがとうございました!
■和田光沙(日照山きよ役)
喋ることがないので、唯一褒められた四股を踏みたいと思います!(その後、見事な四股を披露)
■背乃じゅん(最上川せん役)
女相撲発祥の地である山形で生まれ育った私が、この作品で映画デビューをできたことに、深い縁を感じています。この縁が、山形の活性化や色んなものに繋がっていけばいいなと思っています。
■嶺豪一(行司・三治役)
今日は観てくださってありがとうございました。7月7日公開ということで、これから始まっていきますので、どうぞよろしくお願いします。
■渋川清彦(親方・岩木玉三郎役)
俺も初めて四股を踏みます!(そして、四股に挑戦)
<ギロチン社>
■東出昌大(中濱鐵役)
土俵上で女相撲の皆さんが闘っているのをギロチン社の皆で観に行って、命を削りながら一触即発で相撲をしている姿に感化され、ギロチン社も動き出しました。僕らも僕らで、毎晩安酒をかっくらって、夢だとか、役者だとか、ギロチン社って何なのかって、一触即発になりながら語り合って、日々を過ごして撮影していました。男連中はありていに言えばクズなんですけども、それでも、撮影していたことに嘘はなかったと思います。女相撲の皆さんは、もちろん嘘はなかったと思います。その嘘のない芝居を、映画から感じていただけたら最高です。本日は本当にありがとうございました。今後も応援のほど、よろしくお願いします。
■荒巻全紀(倉地啓司役)
この映画とは、運命的に出会えたと思っています。皆さんの支援も運命だと思っています。その支援にきちんと応えられたか、後で皆さんに伺いたいです。
■池田良(河合康左右役)
河合康左右は24歳ですが、僕は40歳なので、(V6の)カミセンかトニセンでいえば、僕はギロチン社のトニセンです。
■飯田芳(小川義雄役)
川でギロチン社が警察から逃げるシーンで、僕はちゃんと捕まえられてないんですよ。何でかなって思ってまして、監督にぜひ聞きたいです。
■小林竜樹(田中勇之進役)
絶対に落ちると思ってオーディションに挑み、選んでいただき、出ることができました。僕はこの映画は100年に一度しかない映画だと思っています。皆さんもそういう気持ちで支援してくれているんだろうと思います。ありがとうございました!
■小水たいが(小西次郎役)
生い立ちもありつつなので、アナキズムだったり、この歴史に触れて、ためになることが多かったです。(※小水は、映画監督の小水一男を父に持つ)
■伊島空(内田源太郎役)
初めての映画出演で、撮影期間中はずっと緊張していて、人前で話すのも初めてなので今も緊張しています。こんなにすごい作品に関われて、嬉しく思っています。
■東龍之介(茂野栄吉役)
皆さまのおかげでこの映画は成り立っています。先輩たちのお話を楽しんでいってください!
<勧進元>
■川瀬陽太(坂田勘太郎(歩方)役)
女相撲の皆がコメントを出すたびに、監督の涙腺がめっちゃ崩壊しているんですよ。そこを見てください!
<在郷軍人分会>
■大西信満(飯岡大五郎役)
俳優をこれまでやってきて、また、これからやっていったとしても、こういう現場にはなかなか出会えないと思います。こういう作品に関われるからこそ、俳優を続けられるのかなと強く思いました。どうか7月7日の一般公開に向けて、応援をよろしくお願いします。
『菊とギロチン』
監督・脚本:瀬々敬久
脚本:相澤虎之助
ナレーション:永瀬正敏
出演:木竜麻生 東出昌大 寛一郎 韓英恵 渋川清彦 山中崇 井浦新 大西信満 嘉門洋子 大西礼芳 山田真歩 嶋田久作 菅田俊 宇野祥平 嶺豪一 篠原篤 川瀬陽太
配給:トランスフォーマー
【ストーリー】 大正末期、関東大震災直後の日本には、不穏な空気が漂っていた。軍部が権力を強めるなか、これまでの自由で華やかな雰囲気は徐々に失われ、人々は貧困と出口の見えない閉塞感にあえいでいた。ある日、東京近郊に女相撲一座「玉岩興行」がやって来る。力自慢の女力士たちの他にも、元遊女の十勝川(韓英恵)や、家出娘など、ワケあり娘ばかりが集まったこの一座には、新人力士の花菊(木竜麻生)の姿もあった。彼女は貧しい農家の嫁であったが、夫の暴力に耐えかねて家出し、女相撲に加わっていたのだ。「強くなりたい。自分の力で生きてみたい」と願う花菊は、周囲の人々から奇異の目で見られながらも、厳しい練習を重ねていく。いよいよ興行の日。会場には、妙な若者たちの顔ぶれがあった。彼らは「格差のない平等な社会」を標榜するアナキスト・グループ「ギロチン社」の面々で、アナキズム運動を牽引した思想家の大杉栄が殺されたことに憤慨し、復讐を画策すべく、この土地に流れ着いていた。「ギロチン社」中心メンバーの中濱鐵(東出昌大)と古田大次郎(寛一郎)は、女力士たちの戦いぶりに魅せられて、彼女たちと行動を共にするようになる。「差別のない世界で自由に生きたい」―その純粋な願いは、性別や年齢を越えて、彼らを強く結びつけていく。次第に中濱と十勝川、古田と花菊は惹かれあっていくが、厳しい現実が容赦なく彼らの前に立ちはだかる。
©2018 「菊とギロチン」合同製作舎