昨年の第30回東京国際映画祭「アジアの未来」部門にて日本人監督では初となる2冠を達成し注目された『僕の帰る場所』が、10月上旬より全国順次公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルと場面写真がお披露目となった。
世界的な関心事項である“移民”という題材を、ミャンマーでの民主化の流れや、在日外国人の家族を取り巻く社会を背景に描いた本作は、ミャンマー政府の厳しい検閲を通過し、企画から5年を経て完成した。
監督は本作が長編デビューとなる新鋭・藤元明緒。演技経験のないミャンマーの人々を多数起用し、まるでドキュメンタリーを思わせる映像は、ミャンマー人一家の生活を優しく見守りつつ、シビアな眼差しで貫かれている。東京国際映画祭「アジアの未来」部門ではグランプリにあたる作品賞と、監督賞にあたる国際交流基金アジアセンター特別賞を受賞。「ある家族の物語を繊細に語ることで、世界中の様々な家族のメタファーとなっている。フィクションを用い、現実の困難さを素晴らしく芸術的に描き、大変優れた映画的な価値と演技を持つ作品」と評された。また、オランダ・シネマジア映画祭では子役のカウン・ミャッ・トゥ(当時6歳)が心揺さぶる演技で最優秀俳優賞を受賞。ほか、12ヶ国以上20の映画祭で招待上映され話題を集めている。
『僕の帰る場所』
10月上旬よりポレポレ東中野ほか全国順次公開
監督・脚本・編集:藤元明緒
出演:カウン・ミャッ・トゥ ケイン・ミャッ・トゥ アイセ テッ・ミャッ・ナイン 來河侑希 黒宮ニイナ 津田寛治
配給:E.x.N
【ストーリー】 東京の小さなアパートに住む、母のケインと幼い二人の兄弟。入国管理局に捕まった夫アイセに代わり、ケインは一人家庭を支えていた。日本で育ち、母国語を話せない子ども達に、ケインは慣れない日本語で一生懸命愛情を注ぐが、父に会えないストレスで兄弟はいつも喧嘩ばかり。ケインはこれからの生活に不安を抱き、ミャンマーに帰りたい想いを募らせてゆくが―。
©E.x.N K.K.