日本人サーファー、脇田貴之のドキュメンタリー『WAKITA PEAK』が6月公開

サーフィンの聖地ハワイ・パイプラインに、唯一その名を刻む日本人サーファー、脇田貴之の活躍とリアルな物語を描いたドキュメンタリー『WAKITA PEAK』が6月8日より全国順次公開となる。

これまで多くの有名TVドキュメンタリー番組でも実現出来なかった、脇田貴之への密着撮影。その生き様に魅せられた清野正孝監督(初長編監督作品)は、ようやく実現した本作品で、彼とその家族、世界的なサーファーやサーフィンの聖地ハワイ・ノースショアのレジェンド達の、普段あまり目にする事が出来ない姿を多く捉えている。

サーフィンの聖地ハワイ・ノースショア。奇跡の7マイルと呼ばれるそのエリアには、世界屈指の波が無数に存在する。中でも別格なのが、パイプライン。世界で最も危険で美しい、波の女王だ。その波に世界で唯一自分の名前を刻む日本人サーファー、脇田貴之。ハワイアンにとって海は生活のすべてであり、神聖な場所。脇田はそんなハワイアンたちを尊重し、彼らも手を出さない巨大で危険な波だけが来る場所で波を待つようになった。いつしか人はその場所を「WAKITA PEAK(ワキタピーク)」と呼ぶようになったのだった。

本作は、世界で最もコアなサーフィンの世界を舞台にしているが、いわゆるサーフィンのジャンル映画ではない。描かれるのは、たった一つのことに人生を捧げる男の生き方だ。家族を抱え、思春期の子どもたちに全力でぶつかり、将来への不安も抱えながら、それでもなお自分の道を突き進み、時には敗北し、後戻りすることさえ出来ない現実を描く。それは、将来への不安から諦めてしまった誰かの夢の先にあったかもしれない現実でもある。そして、物質的豊かさには恵まれながらも、日々に追われながら漠然と生きる現代社会の中で、ただ、「今」という瞬間を精一杯生きる脇田を通して、愚直なまでに純粋に生きることの“狂気と美しさ”を描く。サーフィンは娯楽やスポーツでもあるが、内省的な一面を持ち、ある者たちにとっては宗教であり哲学だ。だからこそ時に人を破滅にも導くが、命を豊かにもする。この映画はサーフィンのそういった一面にも深く切り込んでいる。

同時に、五輪の追加競技として注目を浴びるサーフィンにあって、脇田貴之のこれまでの貢献度は計り知れず、彼の背中を見て育った2人の子供は、今プロサーファーとしての才能を花開かせようとしている。この映画では脇田ファミリーのハワイでの普段の生活も垣間見られる。

『WAKITA PEAK』
6月8日(金)よりユナイテッド・シネマアクアシティお台場ほか全国順次公開
監督・撮影・編集:清野正孝
出演:脇田貴之 脇田泰地 脇田紗良 脇田小百合 リアム・マクナマラ クライド・アイカウ チャック・アンドリュース ケリー・スレーター 木本直哉 大野修聖
配給:アヴィエイター・ジャパン シネメディア