永瀬正敏「毎回、新しい宝物をいただいている」岩田剛典「森に住んで欲しいとお願いされた」映画『Vision』完成報告会見レポート

世界中で高い評価を受けている河瀨直美監督が、生まれ故郷である奈良県を舞台に、ジュリエット・ビノシュと永瀬正敏をダブル主演に迎えた映画『Vision』が、6月8日より全国公開となる。本作の完成報告会見が4月26日にホテル雅叙園東京で行われ、永瀬正敏、夏木マリ、岩田剛典、美波、そして河瀨監督が登壇した。

『あん』(’15)、『光』(’17)に続き、河瀨監督との三度目のタッグとなる永瀬。「昨日試写を観ました。毎回、河瀨監督とご一緒すると、観た後すぐに席から立ち上がれなくなったり、監督を抱きしめたりするんですが、今回は帰ってから心が震えてきてしまって…」と、興奮して寝られず徹夜で会見に来たことを明かした。「(河瀨監督)は異次元からいらっしゃったんだと思います(笑)。脚本を読ませていただいて、役を生きていく過程で見ている到達点は一緒だという自信があります。でも昨日作品を観させていただいたら、はるか遠くから見ている監督の目線があって…。もっと頑張らなければいけないと思った」と述べ、「毎回、新しい宝物をいただいている気がします」と監督に感謝した。

河瀨組初参加となる岩田は、撮影でいろいろな洗礼を受けたという。「同じ会場に、夏木さんや美波がいらっしゃっても、ご挨拶に行けないんですよ。役の中で会わない人とは、一切口も聞けず、目も合わせてはいけない。永瀬さんとも本番のカメラが回っているところで初対面しました。本当はクランクインする1ヶ月前から森に住んで欲しいとお願いされたんですけど…(笑)、ツアー中だったので物理的に難しった」と、監督の妥協なきこだわりに驚いたという。続けて「劇中に出てくるジュリエット・ビノシュさんも寝ている設定の2階の納屋に住ませていただきまして、寝起きとともに顔にカメムシが3匹ほど付いていた。虫と共存していた」と森でのエピソードを明かし、撮影から戻ると三代目J Soul Brothersのメンバーに心配されたと述べ、「顔つきが違ったみたいで、本当に森の人になってるよと言われて(笑)」と撮影後の裏話を語ってくれた。

監督は、ジュリエット・ビノシュについて「世界的に有名な女優さんですけど、映画というものを中心に置くと、生身でぶつかってくるようなプロ意識がある。『どんな場所に住もうと、ここに爆弾が落ちようと、私は絶対に逃げない』と言われました」とコメント。「ここに集った素晴らしき、日本を代表する俳優陣が、映画というものに集結されています。この映画に出会いに来てください」と熱く語った。

イベントでは、本作の音楽を担当した文部科学大臣賞受賞の経歴を持つ国際的ジャズピアニスト・小曽根真さんによる生演奏も披露されていた。

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『Vision』
6月8日(金)全国ロードショー
監督・脚本:河瀨直美
エグゼクティブプロデューサー:EXILE HIRO
プロデューサー:マリアン・スロット 宮崎聡 河瀨直美
出演:ジュリエット・ビノシュ 永瀬正敏 岩田剛典 美波 森山未來 田中泯 夏木マリ
配給:LDH PICTURES

【ストーリー】 世界中を旅しながら紀行文エッセイを執筆しているフランスの女性エッセイスト・ジャンヌ。アシスタントの花と共にとあるリサーチのため奈良の吉野を訪れる。杉の木立が連立する山間で生活をしている山守の男・智(とも)は、ジャンヌが山に入ってくるという老女アキからの予言通り、ジャンヌと出会い、文化の壁を超え、次第に心を通わせていく。智と同様、山守の鈴(りん)、猟師である岳(がく)、源(げん)もまた、山に生き、山を守る。それぞれの運命は思いもよらぬ形で交錯していく…。ジャンヌはなぜ自然豊かな神秘の地を訪れたのか。山とともに生きる智が見た未来とは―。

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