第70回カンヌ国際映画祭でダイアン・クルーガーが主演女優賞を受賞した、ファティ・アキン監督最新作『女は二度決断する』が、4月14日より公開となる。このほど、各界著名人から本作を絶賛するコメントが寄せられた。
ドイツで実際に起こった連続テロ事件に着想を得て生まれた本作。突然のテロにより最愛の家族を失ったカティヤは、人種差別などの障壁を前に思うように進まない裁判に絶望する中、ある決断をする。本作は、第75回ゴールデン・グローブ賞で外国語映画賞を受賞した。
著名人コメント
■浅井健一(ミュージシャン)
光の無い、作品は見たく無いんだけど。暗さしか残らない映画なんて、何のために存在するのか理解できない。それが自分の考え方。この映画は、途中、暗さしか残らない映画なのかも、と思い始めていた。ラストシーンでやっぱりそうかと思ったんだけど、最後の曲が始まった瞬間、全てが変わった。なぜだかわからないが、心が綺麗になってることに気づく。その曲が流れることによって。映画の本意が初めて心に届いたことに今気づいてる。大事な映画だと思う、人類にとって。
■加藤登紀子(歌手)
大好きな監督ファティ・アキン、緻密で深くて優しく突き刺さる映画をまた贈ってくれたね。ラストソングの歌詞が心に残った。私たちの行ける未来は、確かにあるはずなのに、その道はどれだけ遠いのだろうか?
■松田青子(作家、翻訳家)
どうして平和は、こんなにも遠いのだろう。エンディングで歌われる「その場所」に、私たちはいつかたどり着けるのだろうか。
■窪塚洋介(俳優/ミュージシャン)
実在の事件を下地にしているとはいえ、ドキュメンタリーと錯覚するような描写と演技、音楽やライティングの表現も含め、末端のスタッフまで一体となっていたであろうその世界観の作り込み方に釘付けになった。ダイアン・クルーガー、めちゃくちゃ良いぜ。
■小島秀夫(ゲームクリエイター)
ファティ・アキン監督がいつも取り上げるのは、遠い異国や遥か未来、忘れかけた歴史上の物語ではない。世界中の誰もが直面し、今、我々の周りで起きている題材を扱っている。本作はまさに今、観るべき映画である。そして、皆で共有すべき“家族の未来”を問いかける映画なのだ。
■中村文則(小説家)
物語の予定調和を捨て、分かち合えなかった悲しみを誠実に描いている。今年最高の映画の一つ。
■高橋源一郎(作家)
彼女がたどり着く結末。最後の瞬間まで人間性を失わなかったことが私たちの希望なのだ。
■小堺一機
葬ったはずの差別と偏見のゾンビと主人公は戦う。彼女の二度の決断をどう受け止めるか?もし一緒に居たら、あなたはどうする?この映画は観客にも決断を問う。他人事ではない。必見です。
■前川泰之(俳優)
自分ならどうするか?その答えは頭で考えても出るものではないかもしれません。「父であり夫として」家族の事を想うと、とても胸が締め付けられる思いでした。
■安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
彼女の“決断”は問いかける。えぐるような悲しみに、私たちは寄り添えているか。差別と孤独が人を復讐へと追い込む、その前に。
■姜尚中(熊本県立劇場 館長)
ネオナチに家族を奪われたひとりの女性がとった衝撃の選択とは。愛と正義は、これほど悲しい犠牲によってしか贖えられないのか。
■池田香代子(翻訳家)
世界に沸き起こる「ヘイトクライムを許すな!」の叫びを、家族という親密圏に引きつけ、悲劇的な形で突きつけた。断固支持するしかない。
■ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
「正義」は難しい。民主主義国の法廷でも納得が行かない結果が少なくない。じゃ、どうする?この映画の結末はすっきりするものではありませんが、今必要な議論のきっかけに間違いなくなりますから、世の中で起きていることに関心ある方に強く推薦します。
■増田ユリヤ(ジャーナリスト)
移民問題に揺れるドイツを舞台にしたこのサスペンスは、あまりにもリアルで私の胸をも締め付ける。家族を奪われた主人公カティヤがなぜこれほどまでに苦しめられねばならないのか、彼女にはこの決断しかなかったのか。答えの出ない問いを繰り返している。
■おおたわ史絵(内科医・作家)
あまりにも悲しい、主人公カティヤの決断。でもそれを止められるものは世界中のどこにもない。改めて平和を祈りたく思う。
『女は二度決断する』
4月14日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町 新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
監督:ファティ・アキン
出演:ダイアン・クルーガー デニス・モシット ヨハネス・クリシュ ヌーマン・アチャル ウルリッヒ・トゥクール
配給:ビターズ・エンド
【ストーリー】 ドイツ、ハンブルク。カティヤはトルコからの移民であるヌーリと結婚し、幸せな家庭を築いていた。ある日、白昼に爆弾が爆発し、ヌーリと愛息ロッコが犠牲になる。トルコ人同士の抗争を警察は疑うが、人種差別主義者のドイツ人によるテロであることが判明する。しかし、裁判は思うように進まない。突然愛する家族を奪われたカティヤ。憎悪と絶望の中、カティヤの魂はどこへ向かうのか―。
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