セックス中に局部を噛まれることを恐れ“歯のない娼婦”を好む独の殺人鬼『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』本人との比較写真

第69回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品された、ドイツの名匠ファティ・アキン監督最新作『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』が、2020年2月14日より公開される。このほど、実在した殺人鬼フリッツ・ホンカ本人とヨナス・ダスラー扮するフリッツの比較写真がお披露目となった。

70年代ドイツに実在した殺人鬼フリッツ・ホンカ本人の写真と、ヨナス・ダスラー扮するフリッツの比較写真からは、本作でのフリッツが、曲がった鼻、特徴的な斜視、髪の生え際まで、生々しすぎるほどに再現されていることがわかる。

70年代ドイツを震撼させた殺人鬼フリッツは1935年ドイツ・ライプツィヒ生まれで、10人兄弟の3人目として生まれた。母は掃除婦で父は強制収容所に入れられていたこともある共産党員。父はアルコール依存症で、度々フリッツに暴力をふるった。母に育児放棄されたフリッツは 児童養護施設で育った。1956年にハンブルクに移住し、港湾労働者として働き始めるが、交通事故に遭い、鼻を砕き、後遺症が残った。1957年に結婚し子を儲けるが、1960年に離婚。再婚するも、1967年に再度離婚。1972年に娼婦を強姦しようとして通報されるが、この頃にはアルコール中毒は深刻なものとなっていた。1970年、当時夜間警備員だったフリッツは、42歳の娼婦を殺害。少し間が空いて1974年に54歳の娼婦と57歳の娼婦を、1975年に52歳の娼婦を殺害した。そのうち、3人の娼婦の失踪は警察に報告されることはなかった。フリッツはオーラルセックス中に局部を女性に噛まれるのではないか、という恐怖心から、自分よりも非力で身長の低い、「歯のない娼婦」を好んでいたと言われている。本作を手掛けたファティ・アキン監督はドイツ・ハンブルク出身。子供の頃にいたずらをすると、「気をつけないと、フリッツがやってくるぞ!」とよく言われていたそう。それほど、当時のドイツで人々に強烈な印象を残したシリアルキラーだったのだ。

劇中でフリッツ・ホンカは、バー“ゴールデン・グローブ”にやってくる娼婦を次々と家に招き入れるが、このバーは実在する店で、実際にこの場所でフリッツが娼婦を物色していた。ハンブルクのザンクト・パウリ地区にある「レーパーバーン」という欧州屈指の歓楽街の、観光スポット「ビートルズ広場」の通り二つ挟んだ場所にあり、現在も営業中。そして、なんとも悪趣味なことに、堂々と入口に「ホンカの部屋」という看板がかけられている。※ホンカの部屋ではない。

『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
2020年2月14日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:ファティ・アキン
出演:ヨナス・ダスラー マルガレーテ・ティーゼル ハーク・ボーム
配給:ビターズ・エンド

【ストーリー】 敗戦がまだ尾を引いていた1970年代ドイツ、ハンブルク。安アパートの屋根裏部屋に住むフリッツ・ホンカ(ヨナス・ダスラー)は、夜な夜な寂しい男と女が集るバー“ゴールデン・グローブ”で酒をあおっていた。彼がカウンターに座る女に声を掛けても、いつも顔をしかめられるだけ。一見、無害そうに見えるフリッツの狂気に気づく常連客は誰一人いなかった…。

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