ベネチア国際映画祭、東京フィルメックスなどで好評を博した、五十嵐耕平、ダミアン・マニヴェル共同監督作品『泳ぎすぎた夜』の公開日が4月14日に決定した。併せて、第2弾メインビジュアルがお披露目となり、美術家の奈良美智、詩人の谷川俊太郎、映画監督の諏訪敦彦から本作の推薦コメントが寄せられた。
国も言葉も異なる二人の若き新鋭監督、ダミアン・マニヴェル(『若き詩人』)と五十嵐耕平(『息を殺して』)が、共に魅せられた美しい原風景のような冬の青森を舞台に、共同監督作品として企画し、青森で生まれ育った人々と限られたスタッフによって製作された本作。雪で覆われた青森の山々に囲まれた街で暮らす一人の少年は、学校へ向かう途中にふと道をそれ、いつしか電車に乗り、父親の働いている魚市場へ向かう。
類い稀な存在感で少年を演じた古川鳳羅(こがわたから)くんは、実際に青森県平川市に住む男の子。劇中で彼を取り巻く家族も、実際の家族が出演している。子どもだけが持っている動物的ともいえる豊かな感覚、そこに流れる無限に近い時間を捉えた本作は、ベネチア国際映画祭、東京フィルメックスほか映画祭で上映され高く評価された。
メインビジュアルでは、雪原の中、左の手袋を無くしてしまった少年が、凍えた指を、息を吹きかけて温める仕草が捉えられている。
著名人 推薦コメント
■奈良美智(美術家)
小さかった自分はそこにいて、その雪国の風景は、見上げれば空が広く、歩き出せば真っ白な雪原だ。あの頃の自分の感情が蘇ってくる。
■谷川俊太郎(詩人)
人間ももともとはけものと同じ生きものだった。言葉がないと、意味の仮面がはがれて、いのちのナマの姿が見えてくる。
■諏訪敦彦(映画監督)
少年の些細な一挙手一投足になぜか私の視線は釘付けになる。ひとりの少年が雪の中を歩き、走り、立ち止まり、見つめ、眠る。誰にも出会うことなく、ひとりさまよう少年、ただそれだけで一本の映画ができると誰が想像するだろう。
『泳ぎすぎた夜』
4月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムほかにて公開
監督:五十嵐耕平&ダミアン・マニヴェル
出演:古川鳳羅 古川蛍姫 古川知里 古川孝 工藤雄志 はな(犬)
【ストーリー】 雪で覆われた青森の山々。夜明け前、父は街の魚市場に出かけてゆく。父の出がけに目を覚ました6歳の息子は、そのあと眠ることが出来ない。皆が寝静まる家の中、少年は絵を描き、それをランドセルにしまう。翌朝、彼は眠い目をこすりながら学校へと登校するのだが、いつしか道をそれて、雪の中をよろめきながら街を目指す。少年の小さな冒険が始まる。
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