キルギスが世界に誇る名匠アクタン・アリム・クバト監督の最新作『馬を放つ』が、3月17日より公開される。このほど、作家、漫画家、写真家など各界著名人から本作を絶賛するコメントが寄せられた。
中央アジアの美しい国・キルギスで、村人たちから“ケンタウロス”と呼ばれていた男は、妻と息子と共に慎ましく暮らしていたが、誰にも打ち明けていない秘密があった。遊牧民を祖先にもつキルギスの民の間に伝わる伝説を強く信じているケンタウロスは、人知れずある行動にでる。
本作は、第90回アカデミー賞外国語映画賞キルギス代表になったほか、第67回ベルリン国際映画祭パノラマ部門国際アートシネマ連盟賞受賞など各国の映画祭で高く評価された。
著名人 絶賛コメント
■いしいしんじ(作家)
砂塵の舞う風の大地で、人間の声、血と汗、涙を、みつめている馬たちの黒い目。それはあまりにもうつくしく、あまりにも、かなしい。
■ほしよりこ(漫画家)
変わりゆく世の中で失われたかに思えたケンタウロスの翼。それは彼の背中に確かにあって羽ばたかずにはおられなかった。そのうずきが解き放たれる瞬間、美しい景色が空と繋がり、観る人の野生を呼び覚ますようです。
■石川直樹(写真家)
昨今の派手な映画の対極にありながら、最後まで惹きつけられた。抑え目の感情表現や映像美も素晴らしい。キルギスという大地に心底共感させられる。
■佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)
雄々しい神話の時代は、必ずどこかで現代の私たちとつながっている。その切ない願望が心に沁みた。深く深く、切り裂くような傑作。
■赤坂憲雄(民俗学者)
遊牧民の血によって紡がれた神話的なものがたり。 夜ごと馬を解き放ち、男は風のように駆ける。母と子に、映画そのものに希望を託して。
■草野仁(TVキャスター)
裕福な者だけが持つ馬を解き放ち、人馬一体となる瞬間こそがケンタウロスにとって喜びの時。それが正にキルギスのDNAなのだから。
■竹中直人(俳優・映画監督)
お伽話を観ているような映画だった。監督主演のアクタン・アリム・クバトがあまりにもチャーミング。そっと静かに胸に染み入る映画だった。
■南こうせつ(フォークシンガー)
これはキルギスのドキュメンタリー映画であり、今を生きる我々への天からのメッセージである。
■志茂田景樹(作家・よい子に読み聞かせ隊隊長)
これで本望だろ!あふれる涙を振り払い、僕は喜びの叫びを主人公に放った。ラストでけして滅びることのない騎馬遊牧民の魂に同化されたのだ。
■梨木香歩(作家)
村人が馬を操るシーンの全てに目が釘付けになる。文字通りのケンタウロス。天と大地と人が馬によって一体化するような疾走は、民族の魂の叫びのようだ。
『馬を放つ』
3月17日(土)より岩波ホールほか全国順次公開
監督・脚本・主演:アクタン・アリム・クバト
出演:ヌラリー・トゥルサンコジョフ ザレマ・アサナリヴァ
配給:ビターズ・エンド
【ストーリー】 キルギスのある村。村人たちから“ケンタウロス”と呼ばれている物静かで穏やかな男は、妻と息子の3人でつつましく暮らしていた。しかし、そんな彼には秘密があった。ある理由から、キルギスに古くから伝わる伝説を信じ、夜な夜な馬を盗んでは野に放っていたのだった。次第に馬泥棒の存在が村で問題になり、犯人を捕まえる為に罠が仕掛けられるが…。