“ゾンビ映画”というジャンルの枠を軽やかに飛び越え、現代を生きる人々の〈生きづらさ〉に静かに寄り添う異色作『DEAD OR ZOMBIE』が、2月21日より新宿K’s cinemaほか全国順次公開される。

本作は、2022年に発表され話題を呼んだ短編映画『DEAD OR ZOMBIE ゾンビが発生しようとも、ボクたちは自己評価を変えない』を起点に、前日譚と後日譚を加えた全4エピソードで構成された長編作品。ホラーやアクションに重きを置くのではなく、ゾンビ禍という極限状況下で生きる人々の内面や選択を丁寧に描き出す“ゾンビ狂想曲”として、新たな地平を切り拓いている。
物語の中心にいるのは、不登校の女子高生・早希。ゾンビ化した家族とともに隔離地域で暮らす彼女の姿は、社会から取り残された感覚や、自己評価を下げてしまう現代人の心情と静かに重なっていく。前作の物語を軸に、本作では新たに3つのエピソードが展開される。
エピソード0では、育児休業をめぐる価値観のすれ違いに直面する若い夫婦が、ゾンビ化現象の拡大とともに人生の選択を迫られる姿が描かれる。エピソード2では、ゾンビ研究のため日本に派遣された中国の学者たちが、人類とゾンビの関係性に新たな視点をもたらす。そしてエピソード3では、成長した早希が再び隔離地域へ足を踏み入れ、“生きる意味”を模索する旅に出る。
それぞれの物語に共通するのは、声高な絶望ではなく、日常の延長線上にある静かな葛藤と抵抗だ。ゾンビは恐怖の象徴としてではなく、むしろ人間社会の歪みや弱さを照らし出す存在として描かれ、「ゾンビもそんなに悪くないよ。」というコピーが示す通り、本作は観る者に価値観の揺さぶりを与えてくる。
監督・脚本を務めたのは、『湖底の空』で高い評価を受けた佐藤智也。主演は倉島颯良が続投し、確かな存在感で早希という人物の変化と成長を体現する。特殊メイクには日本の第一人者・江川悦子が参加し、リアリティと寓話性を併せ持つ世界観を支えている。
閉塞感が当たり前となった現代において、「生きるとは何か」「自己評価とは何か」をゾンビというモチーフを通して問いかける本作。静かだが確かな余韻を残す異端の一作として、観る者の心に深く刻まれるだろう。 
▼予告編

■作品情報
タイトル:DEAD OR ZOMBIE
監督・脚本:佐藤智也
出演:倉島颯良 ほか
製作年:2025年
製作国:日本
上映時間:128分
公開日:2026年2月21日(土)
公開館:新宿K’s cinema ほか全国順次
© MAREHITO PRODUCTION

