5人の作家が描く“今”の鼓動!短編集『ショート・パルス 5つの鼓動』公開決定

世界の映画祭やアートシーンで注目を集める映像作家たちが、それぞれの視点で“現代の脈動”を切り取った短編映画を一つに束ねた短編集『ショート・パルス 5つの鼓動』が、2026年3月6日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開される。短い上映時間の中に凝縮された強烈な映像表現が、言葉やジャンルを越えて観る者の感覚に直接訴えかける、刺激的なプログラムだ。

本作に集められたのは、国内外の最前線で活躍する監督たちによる5本の短編。形式もジャンルも異なる作品群が並びながら、そこに通底するのは「今、この時代」を生きる私たちの内側を揺さぶる衝動である。

空音央監督による『まっすぐな首』は、首の激しい痛みに苦しむ女性が、夢と現実、過去と現在の境界を行き交う姿を静謐に描いた映像詩。日常のささいな動作さえ困難になる身体感覚を通して、人間の記憶や存在の揺らぎを映し出す。本作はロカルノ国際映画祭最優秀短編賞を受賞し、その鋭い感性が高く評価された。

ヨルゴス・ランティモスが手がけた『ニミック NIMIC』は、地下鉄での奇妙な出会いをきっかけに、男の人生が少しずつ他者に“模倣”されていく寓意劇。不穏さと美しさが同居する映像世界が、アイデンティティの崩壊という恐怖を静かに浮かび上がらせる。

『関心領域』のジョナサン・グレイザーによる2作も本特集の大きな見どころだ。『ザ・フォール THE FALL』は、ゴヤの版画《理性の眠りは怪物を生む》に着想を得た、言葉なき不穏な短編。仮面や沈黙に覆われた映像が、秩序と暴力の境界を鋭く問いかける。一方『ストラスブール1518 STRASBOURG 1518』は、16世紀に実在した“踊りのペスト”を題材に、ダンサーたちの身体表現を通して、集団的狂騒と現代社会の孤立を重ね合わせて描き出す。 

アリーチェ・ロルヴァケルとアーティストのJRが共同で手がけた『都市の寓話 An Urban Allegory』は、プラトンの「洞窟の比喩」を現代都市に重ねた一作。外の世界へと踏み出す少年の“気づき”を通して、現実と虚構、光と影の関係を詩的に描く。

映像、音、身体、記憶──世界各地の作家たちが短いフォーマットに封じ込めた、現代を生きる強い鼓動。スクリーンでこそ体感したい、ショートフィルムの最前線がここにある。

■作品情報
タイトル:ショート・パルス 5つの鼓動
公開日:2026年3月6日(金)
公開:新宿武蔵野館ほか全国順次
上映作品:
『まっすぐな首』(監督:空音央)
『ニミック NIMIC』(監督:ヨルゴス・ランティモス)
『ザ・フォール THE FALL』『ストラスブール1518 STRASBOURG 1518』(監督:ジョナサン・グレイザー)
『都市の寓話 An Urban Allegory』(監督:アリーチェ・ロルヴァケル&JR)
提供:JAIHO
配給:グッチーズ・フリースクール 

© Short Pulse / JAIHO / Gucci’s Free School