東日本大震災という未曽有の災害の中で、深い喪失を抱えながらも前を向こうとする人々の姿を描いたヒューマンドラマ『宣誓』が、2025年3月6日(金)より全国公開される。『陽が落ちる』で重厚な人間ドラマを描き高い評価を得た柿崎ゆうじ監督が、震災で家族を失った自衛隊員と少年の心の再生を、静かで真摯な眼差しで描き出す。

物語の舞台は、2011年3月11日の東日本大震災直後の被災地。津波によって妻と幼い娘を失いながらも、支援任務に立ち続ける陸上自衛官・春日三尉。彼を演じるのは前川泰之。悲しみを胸の奥に押し込み、任務を全うしようとする自衛隊員の葛藤を、抑制の効いた演技で体現する。
春日は、震災で家族を失った少年・和樹と出会う。深い喪失から心を閉ざした和樹は、自衛隊員たちとの関わりの中で、少しずつ感情を取り戻していく。避難所で泣きじゃくる和樹を、女性自衛官・佐藤が「絶対に諦めないから」と抱きしめる場面は、混乱と絶望の中に差し込む小さな希望を象徴する印象的なシーンとなっている。
やがて和樹は、自衛隊員たちとともに避難所支援を手伝うようになり、春日とも心を通わせていく。共に敬礼を交わす二人の姿は、喪失を抱えながらも前に進もうとする意志の表れだ。しかし、強くあろうとする春日自身もまた、悲しみを抱えきれず、ついに涙を流す。その姿は、震災を生きた多くの人々の感情を代弁するかのように胸に迫る。
陸上自衛隊の全面協力のもと制作された本作は、被災地の日常や現場の空気感をリアルに映し出しながら、「生きること」「支え合うこと」の意味を丁寧に問いかける。ラストに語られる「諦めないでください」という言葉は、震災の記憶とともに、再生への祈りとして深い余韻を残す。
▼本予告映像
■作品情報
タイトル:宣誓
公開日:2025年3月6日(金)全国公開
出演:前川泰之、竹島由夏
黄川田雅哉、出合正幸、水橋研二、伊藤つかさ、宮本真希、半井小絵、齋藤優聖
羽場裕一、内田朝陽、辰巳琢郎、徳重聡、大地康雄
脚本・監督:柿崎ゆうじ(『陽が落ちる』)
製作:カートエンターテイメント
配給:NAKACHIKA PICTURES
上映時間:122分
製作年:2025年
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