能登半島地震から9か⽉、俳優で映画監督の⿑藤⼯が発案した移動映画館プロジェクト「cinéma bird(シネマバード)」が、2025年10⽉4⽇、⽯川県珠洲市ラポルトすずにて開催された。被災地・奥能登での上映会は今回で15回⽬。地元住⺠約500名を無料招待し、映画と⾳楽、笑い、そして“再会”が織りなす特別な劇場体験となった。
⿑藤⼯は、前年3⽉に志賀町での開催時に交わした「未来で待ち合わせしよう」という約束を振り返りながら、「今回こうして奥能登で実現できたことが本当に嬉しいです」と語った。「復興への道のりはまだ続いていると感じましたが、⽯川県の⽅々はご⾃⾝が⼤変な状況でも、周囲を気づかい励まし合っている。その優しさの奥にもしSOSがあるなら、⾒逃さずに寄り添いたい」と真摯に⾔葉を紡いだ。
テレビ朝⽇系ドラマ『誘拐の⽇』で共演した天才⼦役・永尾柚乃がスペシャルゲストとして登場。「珠洲市に来られて本当に嬉しい。珪藻⼟の七輪を買って、お餅を焼いてみたい!」と笑顔を⾒せると、会場は歓声に包まれた。⿑藤は「柚乃ちゃんは本当に忙しくて、因数分解のようなスケジュールの中、来てくれた」と感謝を述べ、永尾も「ここにいる⽅全員友達です!」と満⾯の笑みで応じた。⿑藤はさらに「柚乃ちゃんは映画の脚本も書いている。永野さんも映画を作っている。いつかそれぞれの作品を持ち寄れる場所になれば」と語り、会場を温かな拍⼿で包んだ。
恒例のお笑いライブには、常連・永野と初出演の忠犬立ハチ高が登場。リズム芸や参加型ネタで子どもから大人まで爆笑の渦に巻き込んだ。永野の代表ネタ「ラッセン」では永尾柚乃と忠犬立ハチ高が緊急参戦し、珠洲の夜は笑いと歓声に包まれた。
スペシャルライブでは世界的ジャズピアニスト⼩曽根真が登場。「音楽という言語は言葉にしなくても共有できる“ミラクルな時間”が作れる」と語り、『Gotta Be Happy』『Where do we go from here?』の2曲を披露。圧巻の生演奏に観客は息を呑んだ。
上映作品は、第96回アカデミー賞⻑編アニメーション映画賞ノミネート作『ロボット・ドリームズ』と、⿑藤⼯が企画・脚本・声優を務めたクレイアニメ『映画の妖精 フィルとムー』の2本。⿑藤は「何かメッセージを持ち帰っていただけたら嬉しい」とコメント。言葉を超えた映像と音楽の力で、観客の心を優しく包み込んだ。
イベント終了後、⿑藤たちは珠洲市の仮設住宅を訪問。地元住⺠に「頑張ってください」とエールを送り、笑顔を届けた。「同じ空間で見るというのが、運命共同体であり、映画の魔法」と語る⿑藤の言葉には、映画という文化を通じて人をつなぐ信念が込められていた。
ラストで⿑藤は「cinéma birdは“点”ではなく“線”になって初めて意味を持ちます。今日この空間を通してみなさんと手を繋げたと感じています。またお会いしましょう」と締めくくった。“鳥のように自由に”。被災地から始まったcinéma birdの翼は、これからも全国へ希望の光を届けていく。
イベント名:cinéma bird in 石川県奥能登
開催日:2025年10月4日(土)
会場:ラポルトすず(石川県珠洲市飯田町1丁目1−8)
来場者:約500名(完全招待制・無料)
出演:cinéma birds(斎藤工、豪起)
ゲスト:永野、忠犬立ハチ高、谷尻萌(MC)
スペシャルゲスト:永尾柚乃
スペシャルライブ:小曽根真
上映作品:『ロボット・ドリームズ』(配給:クロックワークス)、『映画の妖精 フィルとムー』(監督:秦俊子)
主催:cinéma bird in 石川県奥能登 実行委員会
特別協力:富国生命保険相互会社
後援:株式会社フジテレビジョン
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