斎藤工「ある意味『ジョーカー』を超えたものになった」『MANRIKI』公開直前イベント

俳優・フィルムメーカーとマルチに活躍する斎藤工が、お笑い芸人の永野、ミュージシャン・俳優の金子ノブアキ、CMや金子のMVを手掛ける清水康彦とともに結成した映像制作プロジェクトチーム「チームMANRIKI」による長編第一弾作品『MANRIKI』が、11月29日より公開される。それに先立ち、11月22日にPLUSTOKYOにて、FRIDAY+TOKYO×映画『MANRIKI』のコラボイベント「MANRIKI NIGHT」が開催され、主演の斎藤工をはじめ、永野、SWAY、清水康彦監督が登壇した。

登壇した斎藤は、「ある意味、今の日本映画に対しての復讐心に燃えた映画となりました」と満足げに話した。一方で永野は、本イベントのMCを務める後輩芸人のパーティ内山をいじり倒し、「挨拶の前に徹底的に詰めるね(笑)」と斎藤に突っ込まれるシーンも。MCから「チーム万力」について聞かれた斎藤は、「“チーム万力”とは、この作品を成立させるために作られたチームです。永野さんを中心に、永野さんの世界観を本質を理解している監督、金子ノブアキ、僕、そして半強制的に入れられたSWAYのみんなでやってます」と説明。続いて企画・プロデュースだけでなく原作も担当した永野は、自身の脳内を映像化するというプロジェクトについて、「(本作は)もともと小顔矯正サスペンスで進めたんですが、映画化までたどり着かなくて、色々あって3年くらいかかったんですが、最初の小顔矯正という話からどんどん自分自身の深層心理のような方向性に堀下がっていって。そんな時に工君はあえてノータッチで僕の世界に信頼を置いて好きにやらせてくれて、その上で外側へ向けて舵を切ってくれて。映画完成までいろいろ動いて、妥協しなくていい!という環境を作ってくれました」と政策の裏側を語る。また実際出来上がった本作を観た斎藤は、「『鉄男』や『ネオン・デーモン』とかいろいろな意見があるんですが、そういう独特のオリジナリティを醸し出している映像となったのも、監督と永野さんの鬱屈した思いを全部作品に込めて、作品自体が「復讐劇」というような作品になり、ある意味『ジョーカー』を超えたものになったと思います」と熱い思いを述べた。

“チーム万力”の印象を聞かれたSWAYは、「パッと見ただけでも同じジャンルの人が誰一人いなくて、全然違う村の人たちが1個に集まったような。みんなそれぞれ好き勝手に走っちゃってるのが“チーム万力”で、そんなチームで1つの作品が出来上がっていることがとんでもないミラクルをふんだんに持ったチームだと思います。プロの集団のようで、すごいマニアックなことをやっているのが“チーム万力”のパワーだと思います」と興奮気味に話した。それを聞いた斎藤は、「映画を観ると分かると思うんですが、この“チーム万力”にSWAYさんがいることがどれだけ重要か、本当に分かると思います。路地裏テイストなジメっとした4人にとって、太陽のような存在なんです」と話す。また清水監督は、「永野さんの才能は映画になるはず!というところからはじめて、その世界観をどのように映画にしたらいかということを考えました。その後ずっと2人でLINEをして、でもずっとやり取りをしていると『もう映画にならないんじゃないか?』って駄目になる時もあって、そんな時は工くんが諦めないで頑張ろう!と鼓舞してくれたり。さらに3人(斎藤・永野・清水)の心が折れそうになったら、今度は金子くんが曲だけもう完成させてくれたりして。で、こんな疲れ切ったじめじめな4人に対してSWAYくんが爽やかに『お願いします!』って入ってきてくれたおかげでまたパワーをもらったりして、本当にこのメンバーは必要だったなと思います」と、“チーム万力”愛を熱弁した。

映画公開をかけた「公式SNSフォロワー10,000人いかなかったら公開中止」キャンペーンをしていた本作だが、ついにこの度10,000人を突破。公開決定を記念して、鏡割りを決行した。「よいしょ!よいしょ!よいしょ!」の掛け声で、4人が一斉に酒樽を割り、斎藤は「ぜひ皆さん飲んでいってください。この後別の取材があったとしても…!」とマスコミに勧める一面も。すかさず永野が、「次の現場でホンネ言っちゃってくださいよ!やってらんないっしょ!」というと会場は大爆笑。鏡割りの後、最後に清水監督は、「こんなに報道の方が来ていただいて、親に自慢できます」と喜びを語った。SWAYは、「無事公開が決まって嬉しいです。僕自身、公開前にたくさんの事件がおきる作品は初めてて、すでに公開されてるんじゃないかってくらい存在感のある作品でした。たくさんの人に観てももらいたいので、1人1人の力が必要です。観たら5人以上の人におすすめしないと『MANRIKIの呪い』にかかるとか、噂で聞いたので…(笑) 宜しくお願い致します」とジョークを交えながらコメントした。永野は、「えらそうですが、自分ってこういう人間だ!っていこうことを込めた作品です。エンタテインメントの作品が溢れている中で、ある種後ろ指さされるような、ここまで格好をつけている映画はなかなかないので、ぜひ観てください!」と本作に込めた思いを語った。斎藤は、「今の映画界でこの企画書が受理されなかった3年間で、日本はこんなにも自由で不自由なんだと痛感しました。でもそういった圧のおかげで、破裂するようなパッションもこの映画に同時に宿ったと思います。たった1本の映画ですが、映画業界に大きな大きな一石を投じたと思うので、ぜひこのMANRIKIを体感してください!」とコメントし、本イベントは幕を閉じた。

『MANRIKI』
11月29日(金)より、シネマート新宿ほか全国順次公開
監督・脚本・編集:清水康彦
原作・脚本:永野
企画・プロデュース:齊藤工 永野
音楽監督:金子ノブアキ
出演:斎藤工 永野 金子ノブアキ SWAY 小池樹里杏 神野三鈴
配給:HIGH BROW CINEMA 東映ビデオ

【ストーリー】 日本。秩序と混沌の国。美と醜の国。過度な経済成長で得た豊かさの代償として、国民は様々なコンプレックスを抱えている。醜きを覆い隠し、美しきことのように振る舞う。奥ゆかしさとも言えるその性は、この国の様式美そのものなのだ。整形しているモデルの方が仕事が多い。駆け出しのファッションモデルが仕事欲しさに小顔矯正を決意。美容クリニックを営む美しき整顔師に小顔矯正施術を依頼し、モデルは変身を遂げる。整顔師の猟奇的哲学と万力によって…。ざる蕎麦を食べたのち、整顔師はクリニックを去り、新たな野望の地へ向かう。場末の街で美人局をするフーテンと年増。彼らと整顔師が突如遭遇することにより、物語は加速してゆく。光と闇。主観と客観。偽善と必要悪。美と醜。我々は、万力の間で暴かれる。世は、人は、すでに醜く美しい。

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