現代フランスを代表する映画監督パトリシア・マズィによる衝撃のネオ・ノワール『サターン・ボウリング』が、2025年10月4日(土)よりユーロスペースほか全国で公開される。このたび、本予告映像とメインビジュアルが解禁された。
解禁された予告編は、闇の駐車場でスカーフがはためく不穏なカットから幕を開ける。「野生の雌オオカミがいた」といった不気味なナレーションとともに、犬を連れ歩くアルマンの姿、そして怒りと涙に震える表情が映し出される。
物語の舞台となるのは、亡き父の遺産である赤いネオンが灯る地下のボウリング場。警察官の兄ギヨームが疎遠だった弟アルマンに経営を託す場面や、街を震撼させる若い女性を狙った連続殺人事件の兆しが描かれ、次第に暴力と支配欲が渦巻く儀式めいた宴へと展開していく。狩猟仲間たちが酒を掲げ歌い上げる姿は、暴力と男性優位の象徴として不気味に浮かび上がり、アルマンの内なる闇がさらに濃くなっていく様が強烈な印象を残す。
同時に公開されたメインビジュアルは、赤と黒を基調にした強烈なコントラストが特徴。逆さに配置されたアルマンのアップは、ぎらついた眼差しで観る者を射抜き、物語に横たわる悲劇性を一枚に凝縮した。ティザービジュアルに続き、不穏な緊張感を全身に漂わせている。
マズィ監督は「とにかく悲劇を描いた」と語り、伝統的なフィルム・ノワールの骨格に有害な男性性やフェミサイド、ネグレクトといった現代的テーマを織り込んでいる。作品はロカルノ国際映画祭2022金獅子賞にノミネートされ、さらに「カイエ・デュ・シネマ」誌のベストテン第6位に選出された注目作。撮影監督は『落下の解剖学』のシモン・ボーフィスが務め、陰鬱で美しい映像美と俳優陣の圧倒的な演技が、グランジなネオ・ノワールの世界を際立たせる。
▼本予告
■作品情報
タイトル:『サターン・ボウリング』
公開日:2025年10月4日(土)よりユーロスペースほか全国ロードショー
監督:パトリシア・マズィ
脚本:イヴ・トマ、パトリシア・マズィ
出演:アリエ・ワルトアルテ、アシル・レジアニ、Y・ラン・ルーカス、レイラ・ミューズ
2022年/フランス・ベルギー/114分/カラー/1.85:1/R18+
原題:SATURN BOWLING
字幕翻訳:橋本裕充
配給・宣伝:SENLIS FILMS
ストーリー:
寝る場所を求めて街を彷徨うアルマンのもとへ、疎遠だった異母兄ギヨームが父の死を告げに現れる。遺産としてボウリング場<サターン・ボウリング>を継いだ兄は、その経営をアルマンに委ねる。だが父への怒りを抱えるアルマンは無軌道な経営に走り、兄弟の周囲では若い女性を狙った連続殺人事件が発生。ギヨームは事件を追う中で、暴力と呪いの連鎖に巻き込まれていく。
© Ex Nihilo – Les Films du fleuve – 2021