現在もなお、“フェイクニュースの祖”とも言われ、ヒトラーの腹心・プロパガンダを主導する宣伝大臣として国民を煽動したゲッベルスの半生を描いたドイツ映画「Führer und Verführer」が、邦題『ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男』として、4月11日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルが披露された。
1933年のヒトラー首相就任から1945年にヒトラーが亡くなるまでの間、プロパガンダを主導する宣伝大臣として、国民を扇動してきたヨーゼフ・ゲッベルス。当初は平和を強調していたが、ユダヤ人の一掃と侵略戦争へと突き進むヒトラーから激しく批判され、ゲッベルスは信頼を失う。愛人との関係も断ち切られ、自身の地位を回復させるため、ヒトラーが望む反ユダヤ映画の製作、大衆を扇動する演説、綿密に計画された戦勝パレードを次々と企画したゲッベルスは、国民の熱狂とヒトラーからの信頼を再び勝ち取る。独ソ戦でヒトラーの戦争は本格化し、ユダヤ人の大量虐殺はピークに達するも、スターリングラード敗戦後、ゲッベルスは国民の戦争参加をあおる“総力戦演説”を行う。状況がますます絶望的になっていく中、ゲッベルスはヒトラーとともに第三帝国のイメージを後世に残す最も過激なプロパガンダを最後に仕掛ける。
本作が2024年ミュンヘン映画祭で観客賞を受賞し、ドイツ国内で公開され話題となったのは、ゲッベルスの手法が彼の死後も広がり続け、我々がまさに今直面する多くの出来事と関連していることを実感しているからに他ならない。ウクライナやガザにおける戦争、ポピュリズムや極右台頭の背後で喧伝される言葉や映像、量産されるフェイクニュース。インターネット、SNS全盛の現代社会で我々がどのようにウソを見抜き、真実を見極めることができるのか。それにはゲッベルスのプロパガンダ戦略を解体し、ナチ指導部の内幕を知ることが重要である。これはまさに、現代社会へのアンチテーゼである。
ポスタービジュアルは、ヒトラーの肖像の前に悠然と座るゲッベルスがタバコをふかしながら、“真実は私が決める”という表情でこちらにいる観客(民衆)を見つめており、すべてを見透かされ、彼によって煽動されてしまいそうな怖さを感じる。
『ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男』
2025年4月11日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開
監督・脚本:ヨアヒム・A・ラング
出演:ロベルト・シュタットローバー フリッツ・カール フランツィスカ・ワイズ
配給:アットエンタテインメント
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