衰えゆく地方都市を舞台にした、生きづらさを抱えた若者たちのひと夏の物語『ナマズのいた夏』が、2025年2月8日より公開されることが決定した。併せて、予告編とポスタービジュアルが披露された。
本作は、衰えゆく地方都市を舞台に、生きづらさを抱えた若者たちのひと夏の物語を、技能実習生との交流など、アメリカナマズ等の外来生物の生態と重ね合わせるように描く青春群像劇。中学時代に亡くした友人の墓前で旧友の哲也と再会した達夫は、バイト先の元同僚・結衣の3人で夏休みの数日間を地元の田舎町で過ごすことになる。そこで出会ったベトナム人技能実習生たちと交流しながら、次第にそれぞれが抱えていた過去と向き合っていくというストーリー。
主人公・達生役に、『朝がくるとむなしくなる』『ココでのはなし』の中⼭雄⽃。ヒロイン・結衣に『グッドバイ、バッドマガジンズ』『僕の月はきたない』の架乃ゆら。達生の中学時代の同級生・哲也役に『四月になれば彼女は』の松山歩夢。他に、達生の父・晋一役に『れいこいるか』の河屋秀俊、晋一の工場で働く渡辺役に映画制作集団・大田原愚豚舎で映画監督としても活動する渡辺紘文。『エッシャー通りの赤いポスト』の山岡竜弘、『激怒』『箱男』の川瀬陽太が脇を固める。
監督は『あ・く・あ ~ふたりだけの部屋~』の中川究矢。脚本に『富美子の足』『うみべの女の子』の平谷悦郎。主題歌は、シンガーソングライターの寺尾紗穂が「川辺にて」を提供。ひたむきに生きる彼らに寄り添う歌声が、深い余韻を残す。
予告編では、達夫たち3人がベトナム人技能実習生たちと出会い、過去に向き合いながら、ひと夏を一緒に過ごす煌めくようなな日々と、その一方で厳しい環境下で生きざるを得ない登場人物たちが対比させるように映しだされる。
ポスタービジュアルでは、雑草が生い茂る川辺で、曇天の空の下、遠くを見つめる結衣(架乃ゆら)の、心許なく立ち尽くしながらも、それでも生きていこうと未来を見つめる強い眼差しが印象を残す。
▼キャスト&スタッフ コメント
■中山雄斗(遠山達生役)
友達や身近な人の死をどう受け入れればいいか、この映画の自分の役を通して考え抜きました。まだわかりません。一つ、自分の中でたどり着いた答えは、生きている人間は死んでいった大事な人を思い出すことができる。という当たり前のことでした。そんな当たり前の答えと、わからなかった問いを達生の中に込めました。大切な作品になりました。真冬に夏の暑さを思い出しながら観てもらえると嬉しいです。
■架乃ゆら(佐伯結衣役)
『ナマズのいた夏』いよいよ公開です。人はみんな誰かに理解されたいと思っているし、同時に誰かを理解したいとも思っているんじゃないかと考えています。『ナマズのいた夏』の登場人物たちもみんな誰かに理解されたくて、誰かを理解したくて触れ合ったりすれ違ったりしながら生きていて、そのどこかどうしようもない寂しさにきっと共感してもらえると思います。ぜひ劇場でご覧ください。
■松山歩夢(高木哲也役)
僕が演じた哲也は、単純で抜けているところはあるけど、自分にも他人にも真っ直ぐで、正義感の強い人間です。僕自身と似ている部分も多く、哲也にすっと入り込めた記憶があります。挫折した苦しみや痛みを知っているからこそ、人に寄り添ったり、立ち向かうことが出来るのではないか。「ナマズのいた夏」は、その可能性と向き合った作品だと思っています。沢山の方に見て頂きたい作品です。是非、劇場に足をお運びください。
■中川究矢(監督)
2020年の春にCOVID-19の初めての緊急事態宣言が出て、街から人がいなくなった時、僕は千葉の印旛沼水系の川の側で野宿して、徹夜でカミツキガメとアメリカナマズを狙っていました。日本にとっての外来種であるカミツキガメは印旛沼水系に、アメリカナマズはそこと霞ヶ浦水系に繁殖しています。ちょうどその頃、日本で働くアジアから来た技能実習生が抱える様々な問題がメディアで取り上げられていました。生物の世界では外来種が在来種を駆逐していますが、技能実習生の問題ではその逆のように感じました。その対比を絡めて、アメリカナマズが生息している衰えゆく地方都市を舞台に映画を撮りたいと思いました。
『ナマズのいた夏』
2025年2月8日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開
監督:中川究矢
出演:中山雄斗 架乃ゆら 松山歩夢 渡辺紘文 河屋秀俊 グエン・ティ・ザン グエン・ティ・バオ 山岡竜弘 川瀬陽太 西尾信也 古林南 岡村洋一 林田麻里 高崎二郎 清なおみ まなこ 平岡明純 大瀬勇希 細谷隆広 柴田愛之助
配給:MAP
【ストーリー】 中学時代に亡くなった友人の墓前で旧友の哲也と再会した達生は、バイト先の元同僚・結衣と3人で、夏休みの数日間を地元の田舎町で過ごすことになる。達生の父が社長を務める経営不振の工場の寮に滞在しながら、彼らはそこで働くベトナム人技能実習生たちと交流し、それぞれが抱えていた過去と向き合っていく。