巨匠パトリシオ・グスマンが捉えたチリの新しい運動『私の想う国』12月公開

『チリの闘い』パトリシオ・グスマン監督が捉えた、リーダーもイデオロギーも不在のチリの新しい運動『私の想う国』が、12月20日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルが披露された。

2019年10月にチリの首都サンティアゴでの地下鉄料金値上げ反対に端を発した民主化運動。その若者や女性が中心となった、リーダーもイデオロギーもいない爆発的なうねりは、チリの社会構造を大きく揺るがしていくのだった。そんな劇的に変わりゆく母国チリの姿を、世界最高のドキュメンタリー映画と評される『チリの闘い』でも社会が大きく変わりゆく過程をダイナミックに描いた巨匠パトリシオ・グスマンが鋭く捉える。

目出し帽に鮮やかな花をつけデモに参加する母親、家父長制に異を唱える4人の女性詩人たち、先住民族のマプチェ女性として初めて重要な政治的地位についたエリサ・ロンコンなど、多くの女性たちへのインタビューと、グスマン監督自身のナレーションが観客に寄り添い、革命の瞬間に立ち会っているかのような体験に我々を誘う。かつてのチリの大統領サルバドール・アジェンデが始めた「永遠の改革」を捉えた世界最高のドキュメンタリー映画と評される名作『チリの闘い』、チリ弾圧の歴史を描いた3部作『光のノスタルジア』、『真珠のボタン』、『夢のアンデス』に続き、グスマン監督は過去の記憶と往来を重ね、劇的に変わりゆくチリを、新たな社会運動を前にして希望を信じ、かつて想像した国が実現することに願い込めて詩的な、圧倒的映像美で描き出す。

ポスタービジュアルのトップには、じっとこちらを見つめ「政治とは関係なく、支持政党はありません、人々を助け、人々のために闘う」と淡々と語る目出し帽の女性。そして、劇中でも特に印象的なチリの女性権利擁護団体ラス・テシスのメンバー4人の写真をセンターに使用。散りばめられた「石」には、強権的なルールに代わる新しい憲法を求める100万人以上の人々が集まったデモを軸に「リーダー不在の運動で、社会問題の解決策にはフェミニスト的観点が必要です」と語る彼女たちの強い意志をも感じさせるビジュアルへと仕上がっている。

『私の想う国』
2024年12月20日(金) アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督:パトリシオ・グスマン
配給:アップリンク

©Atacama Productions-ARTE France Cinema-Market Chile/2022/