「いつの日か、ここから這い上がることができるだろうか?」『このろくでもない世界で』予告編

『ロ・ギワン』のソン・ジュンギが裏社会に生きる孤独な男に扮する『このろくでもない世界で』が、7月26日より公開される。このほど、予告編とポスタービジュアルが披露された。

本作はある寂れた町を舞台に、継父からの暴力と貧困に喘ぐ18歳の少年ヨンギュと、彼の絶望漂う瞳にかつての自分を重ねた裏社会の男チゴンの物語。傷だらけのふたつの魂が交錯した時、悲劇がさらなる悲劇を生み、彼らの運命は思わぬ方向へ走り出す。

予告編では、校庭で談笑する高校生たちに無言で近づき、手に持った石を振り下ろす主人公のヨンギュ。そして足元の水たまりに落ちた石から血がその水面に滲む映像に『このろくでもない世界で』のタイトルが浮かび上がる。一瞬にして観る者の心を惹きつける衝撃的な幕開けだ。貧しい家庭に育った18歳のヨンギュは継父からの暴力に耐える荒んだ日々を送っているが、唯一の救いは義理の妹ハヤン(キム・ヒョンソ)と悪態をつきながらも一緒にハンバーガーを食べる時間だった。しかし、ハヤンを守るために起こした暴力事件に追い詰められ、裏社会に生きるチゴン(ソン・ジュンギ)に頼るしかなかった。これまで一部の隙もない美しさ、クールさで様々な役を演じ、観客を魅了してきたソン・ジュンギが、救いようのない町で生まれ育ち、そこから抜け出せない孤独な男を、傷だらけの背中で魅せる印象的なシーン、チゲを食べながら「顔の傷は使える、教えてやるよ。俺を兄(ヒョン)だと思え」とこの町で“生き抜く”ということ…金、暴力、そして犯罪を教え込む目が離せないシーンが続く。そして「一瞬、楽園を見た」というコピーと共に陽が差すなか、バイクに乗るヨンギュとハヤンのシーンで締めくくられ、これは現実なのか、それとも夢なのか…この先の展開が気になる予告編となっている。

ポスタービジュアルでは、ヨンギュとチゴンの顔がそれぞれ反対を向いた配置で描かれるが、2人が重なり合っている構図から、彼らの運命が交錯することが見て取れる。「ヒョン(兄貴)、いつの日か、ここから這い上がることができるだろうか」というチゴンを慕うヨンギュ視点の呼びかけがコピーとして掲載されており、瞼から頬を伝うヨンギュの傷と、耳に切り口鋭く裂けたような跡とともに残るチゴンの傷とが呼応、まさに“傷だらけの2人”が織りなす物語を喚起させるビジュアルとなった。

『このろくでもない世界で』
2024年7月26日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
監督・脚本:キム・チャンフン
出演:ホン・サビン ソン・ジュンギ キム・ヒョンソ
配給:ハピネットファントム・スタジオ

【ストーリー】 継父のDVに怯える18歳のヨンギュ(ホン・サビン)は、義理の妹ハヤン(キム・ヒョンソ)を守るために暴力沙汰を起こして高校を停学、その上、示談金を求められる。生き抜く術のないヨンギュは、地元の犯罪組織のリーダー、チゴン(ソン・ジュンギ)の門戸を叩くほかなかった。仕事という名の“盗み”を働き、徐々に憧れのチゴンに認められていくが、ある日、組織の非情な掟に背いてしまい…。

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