マダガスカルの音楽と死生観に魅せられた亀井岳監督によるロードムービー『ヴァタ~箱あるいは体~』8月公開!

マダガスカルの音楽と死生観に魅せられた亀井岳監督が、全編マダガスカルで撮影したロードムービー『ヴァタ~箱あるいは体~』が、8月3日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルが披露された。

高校時代からマダガスカルの音楽に魅せられてきた亀井岳監督。旅と音楽をテーマに、ドキュメンタリーとドラマを融合させるスタイルで映画を監督してきた亀井は、2014年、2作目の『ギターマダガスカル』を完成させるも、撮影時にマダガスカルの南部で偶然出会った、遺骨を入れた箱を長距離にわたり徒歩で運ぶ人々のことが忘れられず、監督3作目もマダガスカルで製作することを決意。音楽によって祖先と交わってきたマダガスカルの死生観を元に、家族を失った人々がその悲しみをどう乗り越えていくかという普遍的なテーマの映画を全編マダガスカルロケで、マダガスカル人のキャストのみで製作した。

村の長老に遺骨を運ぶよう命じられるタンテリとザカとスルの3人組は、『ギターマダガスカル』の出演者・トミノの一族の3人が演じた他、3人と旅をする離れ小屋の親父役は、監督が20歳位の時にすごく好きで聞いていたバンド「タリカ・サミー」のサミー、途中から合流するレマニンジ役は、マダガスカルの各地方を代表するミュージシャンを集めて結成されたNy Maragasy ORKESTRAのメンバーに選出され、一躍その存在を知らしめたアンタンルイ族のレマニンジが演じた。

■亀井岳(監督・脚本) コメント
モンゴルで初めて伝統的な音楽であるホーミー(喉歌)を聞いた時、果てしなく続く草原と遊牧という生き方があって、この音楽が生まれたのだと強く感じました。今はインターネットで世界中の音楽を楽しむことができますが、実際に現地を訪れると、音楽を取り巻くにおい、湿度、人々の醸し出す熱気などを肌で感じることができ、音楽の聴こえ方も違います。音楽は、グローバルなものであると同時に、生み出された場所とは切り離すことができません。私にとって音楽とは、人間と自然の営みから生み出される結晶のようなものであると感じています。マダガスカルでは、人は生まれ年老いて死ぬのではなく、死後もラザナ Razana(祖先)として永遠に生き続けていると考えられています。この映画では、生者の世界とラザナの世界を描き、二つの世界の橋渡しとして、村の長老であるルナキ Lonakyという人物が登場します。さらに、時空間を超えて生者とラザナを結びつける重要な要素として音楽があり、この結びつきによる協和や調和が私が描きたい映画のテーマです。マダガスカルでは、生活の中に息づく儀礼やしきたりなどの伝統が、人々のよりどころとして大切に受け継がれてきました。劇中で交わされる何気ない会話や仕草、そして演奏される音楽のなかに、マダガスカルで長い時間受け継がれてきた民族の記憶や世界観の一端を感じていただけたら嬉しいです。日本から遠く離れたマダガスカルを舞台にした映画ですので、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭で観客賞をいただけるとは全く想像していませんでした。観ていただいた方に支持をいただけたことは、とても嬉しく思っております。この映画で映し出されるマダガスカルの人々の営みの中には、遠く離れた土地に暮らす私たちにも共通する何かがあるように感じます。時間と空間を超えた生者とラザナの世界を、ぜひ劇場のスクリーンでご覧ください。

『ヴァタ~箱あるいは体~』
2024年8月3日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本・編集:亀井岳
出演:フィ、ラドゥ アルバン オンジェニ レマニンジ サミー
配給:FLYING IMAGE

【ストーリー】 舞台は、亡くなった故人の故郷の村人がその遺骨を生まれ育った場所に持ち帰らなくてはいけないマダガスカル南東部。タンテリとザカ、スル、そして離れ小屋の親父の4人は、出稼ぎ先で亡くなったタンテリの姉・ニリナの遺骨を取りに行き、ルールを守って持ち帰るよう命を受け、それぞれ楽器を手に片道2、3日かかる村へ旅に出る。4人は途中、出稼ぎに行ったまま行方知れずの家族の消息を求めて旅するルカンガの名手・レマニンジに遭遇。果たして4人は、無事ニリナの遺骨を故郷に持ち帰り、ニリナは“祖先”となれるのか。レマニンジは、家族を見つけ、長い旅を終えられるのか。

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