友の出生前診断をきっかけに妊娠・出産について取材し、実話を基に制作した群像劇『渇愛の果て、』5月公開!

「家族・人間愛」をテーマに、あて書きベースの脚本で舞台の公演を行なってきた「野生児童」主宰の有田あんが、友人の出生前診断(しゅっせいぜんしんだん)の経験をきっかけに、助産師、産婦人科医、出生前診断を受けた方・受けなかった方、障がい児を持つ家族に取材をし、実話を基に制作した群像劇『渇愛の果て、』が、5月18日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルが披露された。

山元眞希は、里美・桜・美紀の4人から成る高校以来の親友グループに、「将来は絶対に子供が欲しい!」と言い続け、“普通の幸せ”を夢見ていた。妊娠が発覚し、夫・良樹と共に順風満帆な妊婦生活を過ごしていた眞希だが、出産予定日が近づいていたある日、体調不良によって緊急入院をする。子供の安否を確認するために出生前診断を受けるが、結果は陰性。胸をなでおろした眞希であったが、いざ出産を迎えると、赤ちゃんは難病を患っていた。我が子を受け入れる間もなく、次々と医師から選択を求められ、疲弊していく眞希。唯一、妹の渚にだけ本音を語っていたが、親友には打ち明けられず、良樹と子供のことで悩む日々。そんな中、親友たちは眞希の出産パーティーを計画するが、それぞれの子供や出産に対する考えがぶつかり…。

本作は、シリアスな内容ながら、大阪出身の有田特有の軽快な会話劇を活かした作品で、有田が監督・脚本・主演を務め、長編映画監督デビュー作となった。助産師・看護師・障がい児の母との出会い、家族・友人の支えにより、山元家が少しずつ我が子と向き合う様子を繊細に描きつつ、子供に対する様々な立場の人の考えを描いている。

20人〜30人に1人が何らかの先天異常を持って生まれる現代。答えは一つではなく、本作は、眞希と親友との友情や病院スタッフ側の心情などを通して、出生前診断・妊娠・出産・障がいに対する様々な考えや選択肢を提示する。

■有田あん(監督・脚本・主演) コメント
ー知らないことが多すぎるー 妊娠中の友人の相談を聞いた時に何度も感じた。妊娠、出産。当然だが、今生きているのはお母さんが妊娠して出産してくれたから。ということはどんな考えを持っていても関係ない人なんていない。しかし、前のめりにならないと知る機会がない。私自身も、「いつか」と思っていた。「こんな大事なこと、誰か取り上げてくれないかな」悩みに悩んだ友人が私に言った。それがこの映画の第一歩となった。妊娠・出産に不安はつきものだがその実態は本人しか分からない。急に母親父親になり莫大な情報量に悩む。診察室で医師とどんな会話を交わすのか。そもそも妊娠するまでにも沢山のドラマがある。やむを得ない事情で中絶する方もいる。自分の両親はどんなことで悩んだのか、いつも見かけるあのご家族はどんな苦難を乗り越えたのか。そんなことを考えられるきっかけがあったら、少しだけ優しい世界になるんじゃないか。未来の選択肢が広がるんじゃないか。そう思い、このテーマに向き合うことを決めた。私はこの映画制作をきっかけに妊活・不妊治療を始めた。想像していた以上に「孤独」だった。初めての事への不安と情報量の多さにストレスも溜まる。身体の変化を体感できない男性は、何を言葉にしていいか迷う時もある。男女共に、周囲に話しづらかったり、理解してもらえないもどかしさも感じるだろう。時には自分を責めてしまう時もある。そんな方々に「どんな決断も間違っていない」と伝えたい。この映画が大切な人と話すきっかけになったり、皆さんの未来の選択肢が増えると幸いです。

■洞下由記/産婦人科医(監修) コメント
本作の医療監修のお話しをいただいたとき、この簡単ではないテーマをどう描くのかと、過去の患者さん達の顔とともに様々な思いがよぎりました。しかし、有田さんに会って、自分とその周りに起こった実体験を共有したいという想い、知るべきであるという信念を感じ、それは私が医療現場で思っていることと同じでした。何事も受け入れるということは、簡単ではなく時間もかかります。1人になりたくて、でも1人じゃなくてよかったと思えるまでにも時間がかかります。本作にでてくる人達はみんな、正解のない課題を本気で自分ごととして考えてくれる人達。人のことは誰にもわからないと言いながらも、ほんとうは何かを想像し、その中で自分ができることをやるしかないと、泣いて笑って逃げずにいてくれる。もちろん当事者も、自分の中の正解を探し続けます。私は産婦人科の臨床医として、今でも正しかったのかどうかわからないことはあり、これでよかったと思える時はいつか必ずくる、とは言い切れません。でも、今、目の前で苦しんでいる患者さんのまわりに、この作品のように寄り添う人たちがいてくれたらと、心から願います。強さも弱さも等身大で描かれているこの映画が、たくさんの方々に届きますように。

■高杉絵理/助産師サロン(取材協力) コメント
授かった命を目の前にして、産む・産まないの選択を迫られること、こんなに難しく、辛い選択はないように思います。助産師として、こういう現実があることを多くの人に知って欲しいと思いました。そして、それは苦しいことだけど、誰にでも起こりうる可能性があること、自分だったらその命とどう向き合うか考えて欲しい。助産師は人生に寄り添う仕事です。ひとりひとりに丁寧に寄り添い、その人が納得できる結論を出すことを時には1番近くで、そして、距離を保って見守っています。どの選択にも正解はないと感じています。私だったらどうするかな、と毎回考えます。一緒に悩み、泣き。。想いを共有します。私も助産師である前に1人の女性であり、そして母です。この映画の主人公のように、悩んだ経験もあります。産んで良かったのかな。たくさんの人がいろんな想いを抱えて妊娠・出産し、そして育てています。「知らない」ということで済ましてほしくない。「知って」「向き合って欲しい」これが私が伝えたかった想いです。そして、出来上がった作品を観た時に、これまでの私の助産師人生や母としての体験が走馬灯のように巡って涙が止まらなくなりました。寄り添ってきたこれまでのたくさんの生命の重さが込められていたからだと思います。ぜひ、たくさんの人に知って欲しいです。そして、心で感じて、考えて欲しいです。ひとつの命と向き合うということを。

『渇愛の果て、』
2024年5月18日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開
監督・脚本・プロデュース:有田あん
監修医:洞下由記
取材協力:高杉絵理(助産師サロン)
出演:有田あん 山岡竜弘 輝有子 小原徳子 瑞生桜子 小林春世 大山大 伊藤亜美瑠 二條正士 辻凪子 烏森まど 廣川千紘 伊島青 内田健介 藤原咲恵 大木亜希子 松本亮 関幸治 みょんふぁ オクイシュージ
配給:野生児童

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