永瀬正敏「ただの背中がもっとも雄弁に心模様を語るのだと。素晴らしかった」『霧の淵』予告編

第72回サン・セバスチャン国際映画祭の新人監督部門に最年少で選出、「奥深い日本の暮らしを描いている」と称賛され、アジア最大規模の映画祭、第28回釜山国際映画祭のA Window on Asian Cinema部門招待作品としてアジアプレミアを遂げた映画『霧の淵』が、4月19日より公開される。このほど、予告編とポスタービジュアルが披露された。

本作のメガホンをとったのは、若手クリエイターの台頭・村瀬大智監督。本作が長編商業デビュー作品となる。村瀬監督は、京都芸術大(旧:京都造形芸術大)在学中に『忘れてくけど』、『彷徨う煙のように』、『赤い惑星』を制作し、短編映画『忘れてくけど』ではカンヌ国際映画祭のショートフィルムコーナーに出品され、注目を集めた。そして卒業制作『ROLL』は、なら国際映画祭の学生作品部門NARA-waveで観客賞を受賞。本作は、同映画祭のプロジェクト「NARAtive(ナラティブ)」にて制作され、監督自ら単独で川上村に長期滞在し、現地の人々と交流することから生まれた。

予告編は、秒針の音が響く中、家族の生活の営み、そして彼女たちに訪れる変化の瞬間が映し出され、誰しもが持つ故郷への郷愁が感じられる仕上がりになっている。また予告編の最後には、本作を一足先に鑑賞した俳優・永瀬正敏からのコメントも添えられており、「1000の言葉より 100の表情より ただの背中が もっとも雄弁に 心模様を語るのだと 改めて確信させてもらった作品 素晴らしかった」と絶賛している。

ポスタービジュアルは、三宅朱莉演じる主人公・イヒカの視線がとても印象的なビジュアルに仕上がっており、変わっていく家族、そしていつか無くなってしまう故郷を見つめ、少しずつ大人への階段を上っていく儚さが感じられる。ポスタービジュアルの写真は、本作の撮影監督を担当した写真家・百々武(どど・たけし)のシーンを切りとった写真となる。百々は、これまで河瀬直美監督『殯の森』や東京2020オリンピック映画のスチール担当を務めるなどスチールカメラマンとして活躍。今作では、初めて撮影として制作に携わり、スチールカメラマンならではの、一瞬一瞬を切り取った美しいシーンが本編にもちりばめられている。

『霧の淵』
2024年4月6日(土) ユーロスペース先行上映
4月19日(金) TOHOシネマズ シャンテ他順次公開 
監督・脚本:村瀬大智
出演:三宅朱莉 三浦誠己 堀田眞三 杉原亜実 中山慎悟 宮本伊織 大友至恩 水川あさみ
配給:ナカチカピクチャーズ

【ストーリー】 奈良県南東部の山々に囲まれたある静かな集落。かつては商店や旅館が軒を並べ、登山客などで賑わったこの集落で、代々旅館を営む家に生まれた12歳のイヒカ。数年前から父は別居をしているが、母の咲は、父との結婚を機に嫁いだこの旅館を義理の父・シゲと切り盛りしている。そんなある日、シゲが姿を消してしまう。旅館存続の危機が迫る中、イヒカの家族に変化の時がやってくる。

©2023“霧の淵”Nara International Film Festiva