甘いドーナツで一攫千金を夢見る2人の友情の物語『ファースト・カウ』予告編

現代アメリカ映画の最重要作家と評されるケリー・ライカート監督作『ファースト・カウ』が、12月22日より公開される。このほど、予告編と日本版ビジュアル2種が披露された。

本作は、世界の映画祭でお披露目されるやいなや、たちまち絶賛の声が上がり、第70回ベルリン国際映画祭金熊賞にノミネートされたほか、世界中の映画祭で計157部門にノミネート、27部門を受賞。さらに、映画人からの評価も高く、『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督は「私には決して真似のできないものであって、とてつもなく、うらやましい」と、その才能を羨望。他にもジム・ジャームッシュ、トッド・ヘインズ、濱口竜介ら、世界の名だたる監督たちも本作を称賛している。

牛との出会いが物語の行方を握る本作。トビー・ジョーンズ演じる仲買商が、お茶にミルクを入れるために呼び寄せた、この地にたった一頭の牛。料理人のクッキーとキング・ルーは夜な夜な仲買商の豪邸に忍び込み、盗んだ貴重なミルクで作ったドーナツで一攫千金を狙うことに。すると、その美味しさがたちまち話題となり、やがて仲買人本人の目にも止まるが…。

そんな物語の鍵を握る“牛”が印象的な日本版ビジュアル2バージョンが公開された。デザインを手がけたのは、『君の名前で僕を読んで』『mid90s ミッドナインティーズ』『わたしは最悪。』など、これまで人気作のビジュアルを数々担当してきた、デザイナーの石井勇一。一つ目は、本国ビジュアルの世界を踏襲したもの。牛が船で運ばれている様子が切り取られ、静かにこちらを覗く姿が目に留まる。さらに「おいしい話にご用心。」というコピーが浮かび、決して一筋縄ではいかない、ふたりの旅路の行方が気になる1枚となっている。もう一つは、日本オリジナルで作成したもので、牛がまさに未開の地に降り立つ瞬間が映し出され、物語の始まりを連想させる。背景には紅葉色づく美しい木々が見られ、本作の魅力の一つでもある、豊な自然を感じることができる。

劇中の牛を演じたのは、イーヴィーという雌牛。ケリー・ライカート監督は、映画の重要なキャラクターとなるイーヴィーとのエピソードとして、たくさんの顔写真の中からいちばん大きな目をしていた彼女を抜擢したと語っている。

予告編では、アメリカン・ドリームを夢見るふたりの男が、未開の地に初めてやってきた、たった一頭の牛と出会い、物語が動き出す様子が描かれる。ポン・ジュノ、ジム・ジャームッシュら世界の映画人が絶賛する本作は、“今年No.1の牛映画”との呼び声も。甘いドーナツで一攫千金を夢見るふたりの友情の物語の行方が気になる予告編となっている。

『ファースト・カウ』
2023年12月22日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国公開
監督・脚本:ケリー・ライカート
脚本:ジョナサン・レイモンド
出演:ジョン・マガロ オリオン・リー トビー・ジョーンズ
配給:東京テアトル、ロングライド

【ストーリー】 物語の舞台は西部開拓時代のオレゴン州。アメリカン・ドリームを求めて未開の地にやってきた料理人のクッキーと、中国人移民のキング・ルー。共に成功を夢見る2人は自然と意気投合し、やがてある大胆な計画を思いつく。それは、この地に初めてやってきた“富の象徴”である牛からミルクを盗み、ドーナツで一攫千金を狙うという、甘い甘いビジネスだった…。

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