濱口竜介監督作『ハッピーアワー』、『偶然と想像』の助監督を務め、ひと夏の恋愛を描いた短編映画『二十代の夏』がフランス・ベルフォール国際映画祭でグランプリ&観客賞を受賞するなど、世界的に注目されつつある監督・高野徹が、成田結美、ピエール瀧、松田弘子共演で描いた恋愛映画『マリの話』が、12月8日より公開される。このほど、予告編が披露され、濱口竜介監督より本作を絶賛するコメントが寄せられた。
海辺の町で脚本を書く映画監督の杉田は、偶然出会ったマリという若い女性に心奪われ、映画に出演してほしいと声をかける。その情熱的で、にくめない杉田のキャラクターに、戸惑いながらも恋心を抱くマリ。ふたりは映画づくりをはじめるが、突然、杉田は失踪してしまう。喪失感に苦しんでいたマリは、愛猫を探すフミコと出会い、人生を変えるような対話をする。自らを見つめ直したマリは、小さくも大きい一歩を踏み出す「ある決心」をする…。
予告編では、ヨハン・シュトラウス1世が作曲した行進曲「ラデツキー行進曲」の軽快なテンポに乗せて、スランプ中の映画監督・杉田が、韓国料理屋の入り口で、夢にみた運命の女性を見かけるシーンから幕をあける。「演技することに興味ありませんか?」と彼女に映画への出演を誘う杉田。マリは、戸惑いながらも、にくめない杉田のキャラクターに魅了されていく。やがて恋仲に落ちた二人だったが、その関係に悩むマリは、愛猫を探す不思議な女性・フミコと出会うことで「ある決心」をする。
メインビジュアルでは、マリの美しい横顔が採用されており、「スランプ中の映画監督、夢で出会った女性、逃げた猫はどこにいった? そして映画はー完成したの?」と謎めいたキャッチコピーが配置されている。
■濱⼝⻯介(映画監督) コメント
ひたすら逸脱を繰り広げる映画『マリの話』が決して踏み外さない⼀点は「⾯⽩い」ということだ。そもそも⾯⽩い映画は極めてまれなものだけれど、この映画が更に特異なのは「何がどうして⾯⽩いのかまったくよくつかめない」ということだ。四話構成の第⼀話こそ、果たしてここまで同時代の他の映画作家に似ていてよいのか……と⾯⾷らうが(それにしたって上⼿いと⾆を巻きもする)、話が進むにつれて映画はまったく思いがけないものへと変貌していく。映画の終わる頃には、観客は⾼野徹という⼀⼈の映画作家の誕⽣に⽴ち会うことになる。⾯⽩い。しかし、この得体の知れなさは何だか恐ろしくもある。
『マリの話』
2023年12月8日(金)よりシモキタ – エキマエ – シネマ「K2」にて公開
監督・脚本・プロデューサー:高野徹
出演:成田結美 ピエール瀧 松田弘子 戎哲史 パスカル・ヴォリマーチ デルフィーヌ・ラニエル
配給:ドゥヴィネット
【ストーリー】 冬がはじまったばかりの海辺の町。シナリオ執筆中の映画監督・杉田は、偶然出会ったマリという若い女性に心奪われ、映画に出演してほしいと声をかける。その情熱的で、にくめない杉田のキャラクターに、戸惑いながらも恋心を抱くマリ。やがて恋仲に落ちた二人だったが、その関係に悩むマリは、愛猫を探す不思議な女性・フミコと出会うことで「ある決心」をする。
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