昨年の第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にてグランプリに輝いたフランス映画『Les Pires(原題)/The Worst Ones(英題)』が、邦題『最悪な子どもたち』として、12月9日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルが披露された。
本作は、ある夏の日、フランス北部の荒れた地区を舞台にした映画が企画され、地元の少年少女を集めた公開オーディションが開かれることから始まる物語。選ばれたのは、異性との噂が絶えないリリ、怒りをコントロールできないライアン、心を閉ざしたマイリス、そして出所したばかりのジェシーの4人のティーンエイジャーたち。出来上がったシナリオは、彼ら自身をモデルにした物語だった。なぜ問題児ばかりが主役なのか?監督の狙いとは?住民たちが訝しむなか、波乱に満ちた撮影が始まり、予想外の展開が訪れる。
原題タイトル『Les Pires(原題)/The Worst Ones(英題)』にあるように、演技未経験の、“最悪”な子どもたちを配役した映画撮影の様子を捉えた本作は、「映画の登場人物」を演じることで「自分自身」と向き合うことになった主人公たちが、はじめての体験に格闘し、違う世界に飛びこむことで、彼らのなかの何かが少しずつ変わっていく…。現実とフィクション、映画制作のプロセスと物語の間を絶え間なく行き来する、子どもたちの瑞々しくリアルで、奇跡的な演技が光る唯一無二な作品に仕上がっている。
本作は、リーズ・アコカとロマーヌ・ゲレからなる新進監督コンビの実体験から生まれた。キャスティングディレクターや演技コーチとして数千人以上の若者と接してきた二人は2012年、公開オーディションを題材とした短編「シャス・ロワイヤル」で監督デビューし、セザール賞短編賞にノミネート。その後、長期にわたる取材やキャスト探しを経て、初長編となる本作を完成させた。
監督のふたりは、かねてより「なぜ映画というジャンルが、過酷な環境で生きる子どもたちに惹かれカメラを向けようとするのか?」と関心を持ったことが企画の始まりで、世代や文化の違いから生じるハプニング満載の展開で観客を楽しませると同時に、映画が個人やコミュニティにもたらす影響、作り手の倫理、社会格差といったテーマを鋭く突きつける。
主人公の子ども4人を演じるのは、実際に北フランスの撮影地近くの学校や児童養護施設でのオーディションに参加し、選ばれた演技未経験の子どもたち。作中では、はみ出し者のレッテルを貼られた主人公たちが、映画の現場でさまざまな壁にぶつかりながら、自身の新たな可能性を発見していく過程を全身で体現する。特に主人公らが演技の才能を開花させるシーンは圧巻で、役と重なるキャスト本人の出演経緯も相まって、観る者の心を捉えて離さない。
『最悪な子どもたち』
2023年12月9日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
監督:リーズ・アコカ ロマーヌ・ゲレ
出演:マロリー・ワネック ティメオ・マオー ヨハン・ヘルデンベルグ ロイック・ペッシュ メリーナ・ファンデルプランケ
配給:マジックアワー
©Eric DUMONT – Les Films Velvet