デンマーク出身の女性監督カミラ・ニールセンが、ジンバブエ共和国の真の民主主義を求める戦いを記録したドキュメンタリー『プレジデント』が、7月28日より公開される。このほど、予告編と追加の場面写真がお披露目となり、オスマン・サンコンと監督のカミラ・ニールセンよりコメントが寄せられた。
2017年の軍事クーデターで、独裁者ロバート・ムガベ大統領が辞任し、エメルソン・ムナンガグワを暫定大統領に任命したジンバブエ共和国。本作は、クーデター後初となる大統領選の行方を現職のムナンガグワに挑戦する野党MDC連合の党首ネルソン・チャミサの姿を通して記録したドキュメンタリー。
予告編や追加場面写真からも、チャミサが民衆の支持を得ている様子や、チャミサが所属するMDC連合の本部の前に駐車された警察車両など物々しい雰囲気が垣間見える。
■オスマン・サンコン(駐日ギニア共和国大使館顧問) コメント
長期政権→クーデター→軍事政権。ボクの生れたギニアは今この状態にあります。欧米の価値観ではこの状態では民主主義国家と認めてもらえません。ジンバブエではこの状態から大統領選挙を行なうことになりました。本当に民主的な国家とはなんなのか。これから選挙が行なわれるギニアではどうすべきなのか。この映画を見て一緒に考えてもらえませんでしょうか。
■カミラ・ニールセン(監督)コメント
観客の頭でなく心に訴えかける必要があるので、私は、観客自身が考えながら観るシネマ・ヴェリテというスタイルでドキュメンタリー映画を作っています。本作は、ハリウッド映画のように、あらすじはドラマチックな三幕構成となっていて、音楽を使っています。そのため、ジャーナリズムとは違い、観客は物語に引き込まれ、理解し、感じることができると思います。現在、世界はほとんどの場合高齢の男性に動かされていて、若い人は、政治に興味がないかもしれませんが、もし民主的なプロセスを尊重し、何年かに1度投票するということをしないと、ある日世界はさらに悪くなるかもしれません。本作の日本での公開のタイミングは、これ以上ないほど完璧なタイミングです。8月23日にジンバブエで次の大統領選挙があります。国際社会の(本作で描かれている)前回の大統領選の扱いは、恥ずべきものでした。本作が国際社会の目を覚ますことができればと思っています。ジンバブエの国民と連帯して、確実に、2018年に起こったことが繰り返されないようにすべきです。
『プレジデント』
2023年7月28日(金)より池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督:カミラ・ニールセン
製作:シーネ・ビュレ・ソーレンセン ジョスリン・バーンズ
製作総指揮:ファンディウェ・ニュートン ダニー・グラバー
撮影監督:ヘンリック・ボーン・イプセン
編集:イェッペ・ボッドスコフ
配給:NEGA
【ストーリー】 1980年の独立以来、37年間にわたりジンバブエ共和国の政権を支配していたムガベ大統領がクーデターにより失脚。後継者として同国第3代大統領に就任した与党、ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF党)の代表ムナンガグワは翌2018年に行われる大統領選において「平和で信用できる公正な選挙を行う」と口では公言する。対する野党、民主変革運動(MDC連合)はモーガン・ツァンギライ党首のもと選挙に備えるが、大統領選の4ヶ月前にツァンギライ党首が癌で死去、MDC連合の新党首として若きカリスマと呼ばれるネルソン・チャミサが任命される。変わらぬ支配を目論む与党と、長年の腐敗に疲弊し、国内政治体制の変革を求める民衆に後押しされる野党。多くの国内外のマスコミや国民が注目するなか、国の未来を決める投票が始まるが……。
© Final Cut for Real, Louverture Films & Sant & Usant