佐藤浩市「道端に手首が落ちてる。映画の小道具だと思って…」世界との違いを感じた衝撃的な出来事とは?

数々の名作を産んできた名匠・阪本順治が、主演・黒木華、共演・寛一郎、池松壮亮で送る最新作『せかいのおきく』が4月28日より公開中。このほど、5月16日に渋谷ユーロスペースにて“せかいのおやじ”ナイトと題したトークイベントが行われ、キャストの眞木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司、そして阪本順治監督が登壇した。

循環型社会をテーマにしている映画ということで、便所の思い出から始まった本イベント。『敦煌』(’88) の撮影で中国へ行ったという佐藤は、撮影現場で公衆トイレに入ったそうで「仕切りも何もないところで小便をするんですが、後ろを振り返ると大をする個室がない。細い溝が一本あって、その横にロープが一本張ってあって、木槌が横に置いてある。要するに、溝で用を足して、ロープについた乾いたそれを木槌で落として、その後にロープでゴシゴシする」と、用の足し方を説明しつつ、「すいません、こんな話で(笑)。これはショッキングでした」と、35年前の中国での衝撃的な思い出を語った。

「世界を認識した瞬間、日本との違いを感じた瞬間」について聞かれた佐藤は、「香港でジョン・ローンと映画を撮ったときに、虫の闘いにお金を賭ける“虫の闘技場”シーンがあって。その時の僕がこうやって(虫に耳を傾けて)虫の音色を聞いたんです。そしたらジョンが、不思議な顔して『何やってんだ、お前?』と。『いやいや、虫の音を聞いてるんですよ』、『虫の音?なんでそんなことするの?』と。その時に初めて知ったんだけど、僕ら日本で生活してるから、四季を感じる中で、蝉の声、コオロギの声で季節を感じたりする。ところがそういう習慣っていうのが海外ではないんですよ。だから虫の音を聞く行為が、彼らには不思議でしょうがなかった。そこで世界を感じましたね」と、香港での撮影を振り返っていた。

また、中国でも世界との違い感じたという佐藤は、『敦煌』でのロケ中に、「休みの日にバザールへ行ったら、道端に手首が落ちてる。映画の小道具だと思って通訳に聞いたら『あれは本物の手首です。泥棒だったんでしょう。泥棒は見つかった瞬間、手首切られるんですよ』って言われて。もうびっくり。世界は広いな」と、思ったことを明かしていた。

『せかいのおきく』 
2023年4月28日(金)より、全国公開
脚本・監督:阪本順治
出演:黒木華 寛一郎 池松壮亮 眞木蔵人 佐藤浩市 石橋蓮司
配給:東京テアトル/U-NEXT/リトルモア

【ストーリー】 日本が世界の渦に巻き込まれていく江戸末期。寺子屋で子供たちに読み書きを教えているおきくは、ある雨の日、厠(寺所有の公衆便所)のひさしの下で、雨宿りをしていた紙屑拾いの中次(ちゅうじ)と、下肥買いの矢亮(やすけ)と出会う。武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる三人はやがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう…。

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