山田杏奈「次は人さ生まれてきたら駄目だよ」赤ん坊を川に捨てる役目を…『山女』本予告編&ポスタービジュアル

『リベリアの白い血』『アイヌモシリ』の福永壮志監督が、山田杏奈を主演に柳田國男の名著「遠野物語」から着想を得た唯一無二の物語を紡ぐ『山女』が、6月30日より公開される。このほど、本予告編、ポスタービジュアル、場面写真がお披露目となった。

大飢饉に襲われた18世紀後半の東北の村。先代の罪を負った家の娘・凛は、人々から蔑まされながらも逞しく生きている。ある日、飢えに耐えかねた父の伊兵衛が盗みを働いてしまう。父の罪を被った凛は、自ら村を去り、禁じられた山奥へと足を踏み入れる。そこで、伝説の存在として恐れられる“山男”と出会う…。

本予告編では、運命に翻弄されながらもひたむきに生きる凛の物語を中心に、閉鎖的な村社会とそこに生きる人々の様子、伝説の存在として恐れられる“山男”の姿、神秘的な自然風景の数々が、本作の音楽を務めた台湾出身のアーティスト、アレックス・チャン・ハンタイによる音楽とともに、妖しくも美しく映し出されていく。山田杏奈、森山未來、永瀬正敏ほか豪華役者陣が魅せる、繊細な表情と演技も見どころだ。

舞台は、18世紀後半の冷害に喘ぐ東北の寒村。凛(山田杏奈)が「次は人さ生まれてきたら駄目だよ」と呟き、赤子の亡骸を川に流すシーンから始まり、直後、凛が盗人の女神様が宿ると言われる早池峰山に手を合わせる様子は、間引きされる赤ん坊を川に捨てる役目を担う呵責を彷彿とさせる。先代の罪を負い、村人から蔑まれる凛の一家。凛を取り巻く村人たちを演じるのは、二ノ宮隆太郎、三浦透子、山中崇、川瀬陽太、赤堀雅秋、白川和子、品川徹、でんでんら日本の映画界に欠かせない実力派俳優たちだ。凛は「穢れる」と水汲みを拒まれ、父の伊兵衛(永瀬正敏)は「いつまで恨めばいいってよ」と怒りをぶつける。凛は、自分に思いを寄せる駄賃付けの泰造(二ノ宮隆太郎)に言う。「おめえは、外さ出で、色んなもんが見れでいいな」。

ある日、飢えに耐えかねた伊兵衛が盗みを働いてしまい、村人たちが凛の家に押しかける。糾弾される伊兵衛を見兼ね、父の罪を被った凛は、自ら村を去り、決して越えてはいけない言い伝えられる山神様の祠を越え、山の奥へと進んでいく。そこで出会ったのは、伝説の存在として恐れられる、白い⻑髪と髭をたくわえた山男(森山未來)だった。この野蛮にも神聖にも見える山男との出会いが、凛の運命を大きく動かしていく。

映像の最後には、村へ連れ戻そうとする泰造とそれを拒む凛の姿と鳴り響く銃声、そして森の中で山男の髪をとぐ凛の姿や神秘的な自然風景など、山での生活を想起させるシーンが映し出される。果たして凛の身に何が起こったのか。本編への期待と謎が深まる予告映像となっている。

本ポスタービジュアルは、添えられたキャッチコピー「わたしの人生は、誰にも奪わせない」とともに、凛が真っ直ぐに一点を見つめる表情を捉えたもの。森の中に凛が佇む神秘的なティザービジュアルから一変して、どんな逆境をも受け止める芯の強さを山田杏奈の持ち前の透明感が際立たせる。

場面写真は、全カットに青々とした草花や山々が映り、村人から蔑まれながらも自然と共に懸命に生きる凛や伊兵衛の様子はもちろん、凛が二ノ宮隆太郎演じる泰蔵を何か言いたげに見つめる場面とは対照的に、三浦透子演じる春が泰蔵を追い詰め睨みつける場面など、村人たちの関係性が推察されるカットとなっている。

『山女』
2023年6月30日(金)より、ユーロスペース、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
監督:福永壮志
脚本:福永壮志 ⻑田育恵
出演:山田杏奈 森山未來 二ノ宮隆太郎 三浦透子 山中崇 川瀬陽太 赤堀雅秋 白川和子 品川徹 でんでん 永瀬正敏
配給:アニモプロデュース

【ストーリー】 18世紀後半、東北。冷害による食糧難に苦しむ村で、人々から蔑まされながらも逞しく生きる凛。彼女の心の救いは、盗人の女神様が宿ると言われる早池峰山だった。ある日、凛の父親・伊兵衛が村中を揺るがす事件を起こす。家を守るため、村人達から責められる父をかばい、凛は自ら村を去る。決して越えてはいけないと言い伝えられる山神様の祠を越え、山の奥深くへと進む凛。狼達から逃げる凛の前に現れたのは、化け物なのか人間なのかもわからぬ不思議な存在であった…。

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