「友人が亡くなった原因は、薬物だけでなく僕に対しての失望感」魂を揺さぶる社会派ドラマ『命の満ち欠け』7月公開

薬物依存者の苦悩、脱却を痛切に描いた魂を揺さぶる社会派ドラマ『命の満ち欠け』が、7月1日より公開されることが決定した。併せて、特報映像、ポスタービジュアル、場面写真がお披露目となり、本作の監督を務めた小関翔太、岸建太朗よりコメントが寄せられた。

薬物依存の壮絶な実態、苛烈を極める虐待の連鎖、そして隠蔽。一人の薬物依存者の「受難」を丹念に描きながら、その原因を一つ一つ暴いていく本作。やがて明らかになる「闇」に、主人公は自らの意思で立ち向かい、「光」を照らそうとする。

主人公のユウサク役を務めるのは、本作が初監督であり脚本も手掛けた小関翔太。青黒い顔色、落ち窪んだ瞼と頬など、薬物依存に苦しむ一人の若者に魂全体で憑依したかのような演技を見せ、ユウサクの兄・ショウタ役の上原剛史と共に全身全霊で本作に挑んだ。愛憎の念が入り混じる兄弟は、互いを満たし、同時にすり減らしてゆく「命の満ち欠け」とも呼べるつながりの中で、何を見出していくのか。苦悩や痛みを抱えながら生き抜いていかなければならない者たちの姿を凄まじい熱量で描き出す。

共演には、『由宇子の天秤』で第35回高崎映画祭最優秀新進俳優賞を受賞し、本作では不気味な存在感を放つ梅田誠弘、そして『Winny』『ガンニバル』等話題作への出演が続く大塚ヒロタ、自立支援施設長役を怪演する伊藤慶徳、『いつくしみふかき』で注目を集めた遠山雄、『距ててて』等若手監督としても活躍する加藤紗希らが集結した。

また、共同監督・撮影を務めた岸建太朗は、『Winny』では撮影と脚本を、『海辺の彼女たち』では撮影監督を、大阪アジアン映画祭では監督作『Hammock』が最優秀短編映画賞を獲得する等映像作家としても幅広く活躍。本作では少年時代の回想とフラッシュバックで見せる花火のシーンを筆頭に、その映像の美しさとパワーで作品に崇高さを与えている。

■小関翔太(監督)コメント
この作品は薬物のオーバードーズで亡くなった僕の大事な友人に向けた祈りの作品です。亡くなる直前、僕は何もできずただ傍観した無力な人間でした。そして、その友人が亡くなった原因は、薬物だけでなく僕に対しての失望感からくる孤独な気持ちにあったと思います。15年経った今もその時の最後の電話や、友人の父親から頂いた「友達でいてくれてありがとう」という言葉が胸に突き刺さっています。⻑い月日を経て、作品の中ではありますが、友人と真剣に向き合い、友人の命を僕自身の手で満たしてあげたい、その一心でこの映画を作りました。そしてこの先、その想いを胸に、今もなお薬物依存に苦しむ人達に向けて、このメッセージを届けたいと考えています。

■岸建太朗(監督)コメント
小関くんと初めて会った時、その表情に「この映画を作れたら死んでもいい」というような「狂気」を感じました。その狂気=彼の中で撮らざるを得ない「切実さ」こそが、「命の満ち欠け」の原動力だと思っています。彼は映画作りを通して「友人の弔い・祈り」を望んでおりましたが、私に出来ることは、彼の内奥に潜むエネルギーを引き出し、俳優達に拡散・衝突させながら、その力をストーリーに還元させることでした。では何をもって「弔い」となるのか。撮影が始まった時、その答えは誰にも分かりませんでした。しかし私たちは、それでも全力で「希望」を紡ぎだそうとしました。その「壮絶な戦いの記録」を、多くの人たちに体感して欲しいです。

『命の満ち欠け』
2023年7月1日(土)より、新宿K’s cinemaほか全国順次公開
監督:小関翔太 岸建太朗
脚本:小関翔太
出演:小関翔太 上原剛史 加藤紗希 伊藤慶徳 大塚ヒロタ 礒部泰宏 細川佳央 豊満亮 長部努 遠山雄 はぎの一 西川礼 松木大輔 大河内奏至 山田唯 清島岳 岸叶会 山口詩史 佐藤まり 順哉 前田新 梅田誠弘
配給:ユーステール 合同会社K-zone.
海外配給:合同会社Green Light

【ストーリー】 家族を忘れ自分勝手に生きてきた兄・ショウタと、薬物依存に陥り更生施設で暮らす弟・ユウサク。唯一の家族であった祖母が亡くなり、弟を引き取り共に暮らすことを決めたショウタ。ショウタは弟を救いたいが為、弟の人生を基にした映画を作ろうと、『命の満ち欠け』の脚本を書き始める。一方、新しい生活に馴染めないユウサクは、次第に薬物の禁断症状に苦しみはじめ、やがて、更正施設で起きた、ある”事件”のことを思い出していくが…。

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