ベルリン国際映画祭で3年連続4度目の銀熊賞受賞の快挙!ホン・サンス監督が描く女性たちの友愛と連帯の物語『小説家の映画』6月公開

2022年ベルリン国際映画祭で3年連続4度目の銀熊賞受賞を果たした名匠ホン・サンス監督の日本公開最新作となる「The Novelist’s Film(英題)」が邦題を『小説家の映画』として6月30日より公開されることが決定。併せて、予告編と日本版ポスタービジュアル、場面写真がお披露目となり、ホン・サンス監督とキム・ミニよりコメントが寄せられた。

今や世界有数の娯楽コンテンツ大国となった韓国エンターテインメント界で、ひょうひょうとマイペースを貫き、作品を発表するたびに世界三大映画祭をはじめ国際映画祭の舞台で絶賛され、確固たる巨匠の地位を確立した映画作家ホン・サンス。人生の不思議なめぐり合わせや人間の深遠なる本質を覗かせる映像世界を発表し続けている。そんなホン・サンス監督の長編27作目となる『小説家の映画』は、女性アーティスト同士の幸福なめぐり合いを描いた、友愛と連帯の物語。本作は2022年ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員大賞)を受賞し、ベルリンでは『夜の浜辺でひとり』(主演女優賞)、『逃げた女』(監督賞)、『イントロダクション』(脚本賞)に続き、実に3年連続4度目の受賞を果たす快挙となった。執筆から遠ざかった小説家ジュニと一線から退いた女優ギルスは、偶然の出会いを通じてたちまち惹かれ合い、ジュニはギルスを主役に映画を撮りたいと持ち掛ける。主人公のふたりをはじめ、彼女たちの行く手に現れるのは、創作活動に行き詰まったり、何かに挫折した女性たち。アーティスト/表現者として成功を収めながらも、共に人知れず迷いを抱えたふたりの女性が偶然の出会いを通して、人生の新たな可能性に向かって共に歩み出していく姿を映し出し、女性たちのめぐり合い、友愛と連帯の芽生えをほのかな幸福感にくるんで紡ぎ上げた。

映倫R18区分指定作品ながら日本でも大ヒットした衝撃作『お嬢さん』(パク・チャヌク監督作/16)で世界を魅了し、『正しい日 間違えた日』(15)でホン・サンス監督作に初出演以降、『夜の浜辺でひとり』(17)、『それから』(17)など7作品に出演、ホン監督の前作『あなたの顔の前に』(21)ではプロダクション・マネージャーを担当し、本作で『逃げた女』(20)以来の主演女優として復帰したホン監督の公私にわたるパートナー、キム・ミニ。そして、巨匠イ・マンヒの娘として生まれ、イム・グォンテク監督をはじめ多くの巨匠たちの映画に出演、初めてホン監督作に出演し主演を飾った前作『あなたの顔の前に』で2022年国際シネフィル協会賞主演女優賞、百想芸術大賞女性最優秀演技賞(映画部門)を受賞するなど、ホン監督作の新たな“顔”として国内外で絶賛を博した大ベテラン女優イ・ヘヨン。この韓国を代表する二大女優をダブル主演に迎え、夢の共演が実現した。ホン監督は本作のキャスティングについて、「まず最初にキム・ミニを主役にしようと決めました。それからこの前の映画(『あなたの顔の前に』)で一緒に仕事をしたイ・へヨンに出演してもらうことに決めました。」と語った。また映画を構想する際、俳優と舞台を最初に設定するというホン監督の特異な制作過程は本作でも健在で、「キャスティングは映画作りで最も重要なことかもしれません。今回はイ・へヨンに会って、小説家が自分の映画を作る、というアイデアを着想しました。人と会い、その人から印象を受け取り、それに刺激され想像力とアイデアを働かせて映画を作っていくのです。」と制作秘話を明かした。イ・ヘヨンとの初共演について、キム・ミニは「イ・へヨンとの仕事は俳優としてはこれが初めてでしたが、彼女が主演した『あなたの顔の前に』で私はプロダクション・マネージャーを務めています。ホン・サンスと仕事する俳優たちは、自分がどのような人物を演じることになるのかと大いに期待しています。小さな撮影チームですが、だからこそみんなで協力しあって、リラックスした雰囲気の中で撮影します。イ・へヨンはまわりにとても居心地の良い雰囲気を作り出す人で、一緒の仕事は素晴らしかったです。この映画は人間関係についての映画ですが、それについて彼女からたくさんのことを学びました」と語った。

日本版ポスタービジュアルは、かつて名声を得ながらも内に葛藤を抱えたジュニ(イ・ヘヨン)とギルス(キム・ミニ)が、レストランのテーブルで会話をしている様子を小さな女の子が見つめている場面だ。優しい印象を残す淡いピンク色の中で、二人が互いの立場に共感し、心の距離を近づけていく姿に、「小説家と女優、彼女たちの第二章。」というキャッチコピーが添えられ、彼女たちの人生の新たな幕開けを予感させる、あたたかな希望を内包したビジュアルとなっている。

予告編は、野の花を束ねているキム・ミニがカメラに向かってほほ笑む穏やかなシーンで幕を開ける。執筆から遠ざかった小説家ジュニと、一線から退いた女優ギルスの偶然の出会いから、惹かれあったふたりが人生の迷いを語り合い、友愛の感情が芽生えていく様子が切り取られている。小説家ジュニは、「今日 偶然会ったギルスさんを主役に映画を撮りたいの」と告げ、女優ギルスも小説家が映画を作ることを「斬新でいい」と意気投合。ふたりの幸福な掛け合いを垣間見ることができる。小説家と女優の人生の第二章には何が待っているのか?本編への期待が高まる予告編映像になっている。

場面写真では、ソウルから少し離れた閑静な町、河南(ハナム)市を舞台に、ソ・ヨンファ、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ、キ・ジュボンといったホン監督作品お馴染みのキャストも顔を揃え、主演女優ふたりを囲んで常連俳優たちが披露する絶妙のアンサンブルを楽しむことができる。また複雑な人間関係が生み出す、高揚感と緊張感が同居するようなホン監督作品お馴染みの酒席シーンの写真も。ファンには堪らない仕上がりとなっている。

小説家と女優の至高のコラボレーションの後に観客を待つ、とっておきの映画体験とは。「これまでにないほどパーソナル」(Indie Wire)、「奇跡のエンディング」(Film Comment Magazine)と称えられた、ホン監督独自の映像表現を堪能する注目作に目が離せない。

『小説家の映画』
2023年6月30日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽:ホン・サンス
出演:イ・へヨン キム・ミニ ソ・ヨンファ パク・ミソ クォン・ヘヒョ チョ・ユニ ハ・ソングク キ・ジュボン イ・ユンミ キム・シハ
配給:ミモザフィルムズ

【ストーリー】 長らく執筆から遠ざかっている著名作家のジュニが、音信不通になっていた後輩を訪ね、ソウルから離れた旅先で偶然出会ったのは、第一線を退いた人気女優のギルス。初対面ながらギルスに興味を持ったジュニは、彼女を主役に短編映画を撮りたい、と予想外の提案を持ち掛ける。かつて名声を得ながらも内に葛藤を抱えたふたりの思いがけないコラボレーションの行方は……。

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