「俺の話をメモしろ。街中の娼婦を始末してやる」連続殺人犯より犯行声明が『聖地には蜘蛛が巣を張る』4月公開

今年のカンヌ国際映画祭にてザーラ・アミール・エブラヒミが女優賞を受賞した鬼才アリ・アッバシ監督(『ボーダー 二つの世界』(18))の最新作で、イランで実際にあった売春婦連続殺人事件から着想を得た衝撃作『聖地には蜘蛛が巣を張る』が4月14日より公開される。このほど、日本版予告編がお披露目となった。

イランの聖地を揺るがす売春婦連続殺人事件。女性ジャーナリストがたどり着く真相とは?鬼才アリ・アッバシ監督が手掛けた、実際の事件に基づく、驚愕の衝撃作。イランの聖地アシャドで2000年から2001年にかけて16人もの犠牲者を出した “スパイダー・キラー”と呼ばれたサイード・ハナイによる売春婦連続殺人事件に基づき描かれた本作は、2022年第75回カンヌ国際映画祭女優賞受賞の他、セビリア・ヨーロピアン映画祭主演女優賞、ストックホルム映画祭主演男優賞、作品賞を受賞するなど、世界中の映画祭を席巻した。

日本版予告編は、「俺の話をメモしろ。街中の娼婦を始末してやる」という新聞社に届いた犯行声明の声と、連続殺人犯“スパイダー・キラー”が次のターゲットを探すために夜の街をバイクで走る後ろ姿から始まる。真相を追う女性ジャーナリスト・ラヒミは、「同じ手口で殺害」され多くの被害者が出ているにもかかわらず、犯人が捕まらない状況に、「誰かがかばっている」と疑いを持ち、「真相を暴く」ため周辺取材を進める。消極的な捜査の割には高圧的な警察のトップ。ラヒミの「犯人はイスラム法を実行してるとも」という問いに「聖職者は常に裏で何かを企んでると?」と相手にしない聖職者。街で生活をする主婦は「街の腐った女たちよ。殺されて当然」と蔑む。一方で、事件が起きても変わらず夜の街に立ち、挑発する娼婦たち。そんな中、犯人は平然と街をバイクで走り、娼婦たちを狙っていく。次第にラヒミ自身にも「態度に気をつけたまえ、特に聖地マシュハドではな」という忠告や「この事件は忘れろ」と警察に迫られるなど不穏な影が迫るが、自分が囮(おとり)になり犯人を追いつめようとする。そんなラヒミの前についに犯人が…。「街を浄化するのだ」と殺人を続ける犯人と、「浄化しろ」と犯人を英雄視していく一部の市民。追いつめられているのは、犯人か、それともラヒミか…。一線を越え、私たちが目撃するものは何か、本作への期待が高まる予告編となっている。

「連続殺人鬼の映画を作りたかったわけではない。私が作ろうと思ったのは、連続殺人鬼も同然の社会についての映画だった」と語るアリ・アッバシ監督が、私たち人間に潜在する狂気と恐怖を暴き出す衝撃作に期待したい。

本作のムビチケカードは、3月3日より、上映劇場窓口、通販サイト「メイジャー」にて発売される(税込1500円)。

聖地には蜘蛛が巣を張る』
2023年4月14日(金)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて順次公開
監督:アリ・アッバシ
脚本:アリ・アッバシ アフシン・カムラン・バーラミ
出演:メフディ・バジェスタニ ザーラ・アミール・エブラヒミ
配給:ギャガ

【ストーリー】 聖地マシュハドで起きた娼婦連続殺人事件。「街を浄化する」という犯行声明のもと殺人を繰り返す“スパイダー・キラー”に街は震撼していたが、一部の市民は犯人を英雄視していた。事件を覆い隠そうとする不穏な圧力のもと、女性ジャーナリスト・ラヒミは危険を顧みずに事件を追う。ある夜、彼女は、家族と暮らす平凡な一人の男の心の深淵に潜んでいた狂気を目撃し、戦慄する。

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